01−09−15 テロ事件、戦争開始!?
ワシントンDCから帰ってきた翌日の朝、NYの貿易センタービルに2機の飛行機が体当たり、何とワシントンDCの国防総省にも1機が突っ込み、更に別の1機がペンシルバニアに墜落という信じられない事件が起きてしまいました。
あと1日遅かったら、道路封鎖その他で、DCから脱出できなかったのでは、と思うと危機一髪でした。

いずれもテロによる極めて綿密に計画された飛行機ハイジャックによるもので、アメリカは今騒然としております。
いえ、騒然という生やさしいものでではなく、国家非常事態宣言で大統領以下、アメリカ4軍(陸軍、海軍、空軍、海兵隊)沿岸警備隊、FBI、CIA、各州警察、その他全てが非常事態になっています。

これらのテロによる犠牲者は数千人規模で、ひょっとしたら1万人に達するかも知れないという噂です。
事件の日は私は会社を休んでおりましたが、翌日会社に行ったらもう既にこのテロに対する報復をどうするか、アメリカ人があちこちでひそひそと話をしておりました。
アメリカの総力を挙げての報復が議会の承認を得たのは昨日9月14日で、直ちに予備役軍人の召集が決定されました。その規模は5万人で、まず3万5000人が召集。

これは実は直接私の職場にも関係する事なのです。私の担当する職場には予備役の軍人が5名おります。
80人の所帯で5名。会社全体では一体何人くらいいるのかわかりませんが、約10年前の湾岸戦争では会社全体から35名の社員、つまり予備役の軍人が出征したそうです。
今回は何人になるのでしょうか。

このような状況は日本では理解ができない事だと思いますが、えっ、あいつが予備役?という感じで、これ以外にパートタイマーの兵隊さんもたくさんおります。
アメリカはいつでも軍事行動を起こせる体制にあり、しかも大量に動員ができる状態にあり、しかも日常の生活に密接をしております。
(恐らく予備役の総数は100万人を越えると思います。)
昨日会社に行くと、総務から緊急のメールが届いておりました。
何かと思って開くと、今回のテロ攻撃で亡くなった人に対してアメリカ国民に対する大統領からのメッセージです。

本日の12時に全国民は2分間の黙祷をして欲しい、教会は鐘を打ち鳴らして欲しい、更に夜は各家庭はキャンドルを灯して欲しい、という内容でした。
普段はモタモタしている我が社の総務もこのような事に対しては極めて迅速な対応です。

私の職場でも12時には全員で黙祷、家では夜にカミさんがロウソクを灯しておりました。
今日の午後は久しぶりに床屋に行ってきました。車で10分、行きつけの床屋です。
予約の時間に行くと、いつもはフットボールを見ながら頭を刈るハンスさん、今はスポーツ競技も自粛なので全てのチャンネルはテロ事件の報道です。

「たくさんの方が亡くなって残念です」
一応挨拶の代わりに外国人である私としては、ハンスさんにお悔やみの言葉をかけておきました。

「ところでアメリカの大統領は報復の軍事行動を既に決めたのでしたね」
更にこう言うと、ハンスさんは

「そうです。これにはアメリカだけではなく、イギリスとかのヨーロッパの国、何とロシアまでが賛成して、参加をするのです。貿易センタービルにはたくさんのイギリス人が働いており、犠牲者も多くいたようです。」

「もう世界中の国がテロを潰すために行動を開始しています。こうしないとこれからもテロは起きるし、やっつけなくてはいけないのです。」

ハンスさんは私は日本人だということは良く知っており、一時期は野球の野茂選手をベタほめの時もありました。
頭を刈る間、ずっと話しかけていましたが、彼の英語は私にはちょっとわかりにくい英語で、理解できないところが結構あったのですが、最後まで日本の話は出ませんでした。

ニュースによると日本の首相は全世界に先駆けて、「可能な限りの協力はする。」と宣言をしたらしいのですが、ハンスさんのような1日中テレビを見ている人にさえ伝わっていないのです。つまり、アメリカは日本の首相の発言はリップサービスとして相手にしていないのです。
今の段階では「協力」とは軍隊を動かす事しかないのですが、これはともかく、協力の内容を具体的に言わないことにはメッセージの発信にはならないのです。
これを日本国内の事情で言えない日本はやはり自由主義国の一員とは言うものの、仲間の輪に入っていないなー、と考えざるを得ませんでした。

これから会社で
「ところで日本は何人参加の予定だっけ?」
とアメリカ人から言われるに決まっていますから、ちょっとやりにくい。考えすぎですか?

私は毎日朝から、アメリカ人が帰宅する夕方の4時頃までは、アメリカ人以外と話をする機会が殆どない環境にいる「日本人」なのです。
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