01−05−11 お隣との境界線 |
私の住んでいる家は、4年前に不動産屋から買った典型的な安普請の建て売り住宅。 紹介された不動産屋に予算と、住みたい地区を言ってあれこれ候補を見せてもらった末に決めたのですが、家族があと1月で来るというので、あまり深く検討もしないで、結局言い値で買ってしまったものです。 敷地は200坪くらいで、この地域としてはちょっと狭いかな、と思う広さです。 ![]() 両隣は不動産屋の持ち物で、借家になっており、私の住む一角の十数軒の家のうち半分が借家になっているのが判ったのが住み始めてから3年目くらいでした。 そんななか、不動産屋が来て1通の手紙を置いて行ったのが先月の始めの事でした。手紙には 「あなたの隣の家に新しい人が入居するのですが、その人が庭に塀を作って欲しいと言っており、塀を建てたいので許可を欲しい」 というものでした。 ここまではよかったのですが、新しく建てる塀を私の敷地の塀に接続させて欲しいとも書いてあるのです。 ちょっと待てよ、私の家の塀は理由は判りませんが、敷地の境界線の2m以上内側に建ててあり、これに隣の家の新しい塀を接続されると約2mX20mの土地を隣に取られる事になってしまうのです。 |
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カミサンの話によると不動産屋は中年の女性(こちらの不動産屋の社員はは半分くらいが女性)で、ペラペラとまくしたてて帰って行ったそうです。 とにかく今の私の家の塀に新しく建てる隣の塀を接続させる訳には行きません。境界線の上に建てるのならともかく、「接続させて欲しい」とはもってのほか!さてはしらばっくれて訳のわからないウチにサインを取ろうとしているのか! さっそく会社で隣にいるJ君に相談。 「SHIN、そんなバカな話はない。絶対にダメだ。境界線の上に建てるように話をつけてやる。」 という事で、彼はその不動産屋に電話をかけてくれました。不動産屋が言うには今の私の家の塀が境界線より内側に建ててある事を知らなかった、という返事。 J君曰く、 「SHINの家の塀に接続すると言うことは、不動産屋に土地を取られるだけでなく、彼らはSHINの家の今の塀を利用できる訳だから、その分も塀を建てる必要がない訳さ。」 J君が出した条件は、今の私の家の塀を境界線まで動かし、そこに新しい塀を接続する、全ての工事代は不動産屋が払うというものでした。 不動産屋の担当の女性は「マネージャーに相談する。こちらからまた連絡します。」と言ってその場は電話を切りました。ところが2日経っても、3日経っても連絡がありません。 J君は責任を感じてか、その不動産屋に電話をかけてくれましたが、その担当は不在。ポケベル(まだアメリカではポケベルがポピュラーです。)で呼び出しても、返事なし。 その担当者とコンタクトを取ろうと、J君は毎日のように電話を入れ、2週間くらい経ってからやっとコンタクト成立。 「そんなに電話しないで、私ノイローゼになりそう!」 これがその担当者の第一声だったそうです。 「バカヤロー。塀の話はそちらから持ってきたのじゃないか。何がノイローゼになりそうだ!」 |
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そうこうしているうちに、この話の決着がつかないままJ君は他の部署に転属になってしまいました。 さあ困ったぞ。自分で交渉してもいいのですが、何か間違いがあっても困るし、不動産屋というのは日本でも苦手な人種の集団というイメージがあります。 そこで今度は交渉をD君に頼む事にしました。 D君曰く、 「SHIN、塀を境界線に建てるというのはダメ。境界線から15cm内側に建てるというのがOHIOの規則。それにもし、今の状態で塀を接続されて土地を取られ、そのままの状態で7年間放置すると登記上も隣の家の持ち物になってしまう。」 ![]() D君は早速不動産屋に連絡。 「どうぞ、塀を建てて下さい。但し、境界線の15cm内側にね。知ってるでしょう?」 有無を言わさないD君の交渉で、不動産屋はナットク。 「ところであなたの名前をどこかで聞いた事があるのですが」 とD君はその不動産屋に今度は個人的な話を始めました。結果、なんとその不動産屋の担当の女性はD君の従兄弟のカミサン! その女性の名字がSCHNEIDER(シュナイダー)という事で、交渉をする前に「こりゃ同じラストネームですね。」などと言っておりましたが、まさか遠い親戚だったとは。 そんな訳で、D君は少し世間話をして電話を切りました。 「イヤーびっくりしましたよ、私も。彼女とは確か7年目に親戚のパーティーで会ったきりですが。」 世間は広いようで狭いものです。 |
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5月になって隣の家のガレージの前に塀を建てる材料が運び込まれ、あっと言う間に塀は完成してしまいました。2人の作業員が来て、2日もかけないで作ってしまったのには驚きました。隣との境界にはそれぞれの塀が建っており、2重になってしまい、少し変な感じもするのですが、仕方ありません。![]() 結局その作業にかかる前も後も、不動産屋から私に対しては何の連絡もありませんでした。 私の家の塀がなぜ境界線から2m以上も内側に建てられているのか、前の持ち主に聞いてみないとわかりませんが、とにかく不可解です。 隣との境界は2m、前の家との境界は3m近くも内側に塀が立ててあります。 庭の幅は20mですから(3mX20m)の土地が塀の外側になっております。もちろん塀の外になっていても私の土地ですから芝生を刈ったり、その他の手入れはしなくてはなりません。 あと何年間アメリカにいるのか判りませんが、自分の家を買ったのを少し後悔しております。 洗面所の水漏れの修理、家の外壁のペンキ塗り、家の中のブラインドの交換、セントラルエアコンの故障、とにかくいろいろとあり、業者に頼むのもいろいろと勝手が違い面倒なものです。 外国で自分の家を持つというのは結構面倒なものなのです。この家を売って、どこか借家かアパートに入ろうか、思案を始めたところです。でもこの家、幾らで売れるのだろう?少し心配になってきました。 |
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