アメリカの民族衣装
目に見えるわかりやすい文化

世界中の国には色々な人種、民族が住んでいます。そしてそれらの人種、民族は独自の文化を形成し、代々それらを引き継いでおります。
アメリカは建国後230年しか経っておらず、またいろいろな人種、民族の集まりなので「アメリカ文化」と呼ばれるものはあるにはあるのですが、ちょっと我々のイメージとは違います。

その中で、端的に見てわかる文化に服装があります。
最近はコロンバス辺りも外国人が増え、街に出るとインド人のサリー、中東イスラム圏の頭からすっぽり布で顔を隠した黒い服装(何という装束なのか名前を忘れました)の人等を見かけるようになりました。
またユダヤ人は頭に小さな帽子のようなものをかぶり、アーミッシュの女性も独特の格好をしており、これを見かけます。

日本には民族衣装としていわゆる、着物があります。しかしこれを着るのは日本でさえ、1年に何回もないのが普通で、普段はタンスの中で待機しているのが現状です。
タンスの中で待機はしているものの、日本人は着物というものを当然ではありますが、日本独自の服装、つまり民族衣装として誰もが認めております。
アメリカに民族衣装はあるのか

ではアメリカ文化なるものの中に民族衣装はあるか?
アメリカ大陸の先住民族はアメリカインディアンで、これらの人々には当然素晴らしい民族衣装があります。でも残念ながら今のアメリカはこれらの先住民族が支配する国ではありません。

ではやはりアメリカの民族衣装はないのか?いえあるのです。

世界中からの移民(大半はヨーロッパからの)の国で、しかも230年しか経っていない国で、伝統民族衣装がある?
そんなの聞いた事がない?

それは何かと言いますと、「GパンとTシャツ」、それと「短パンとスニーカー」なのです。そうです、これこそ実にアメリカの民族衣装なのです。
民族衣装の定義

民族衣装の定義はいろいろとあると思いますが、昔から着ている服装で他の国にないもの、という歴史という観点から言うのが最も分かり易いかも知れませんが、もう一つ「その国の人が誇りを持って着る事のできるもの。」、「その国の誰もがタンスの中に持っているもの」、いろいろとありますが、「Gパン/Tシャツ」と「短パン/スニーカー」は全部合致するのです。

「短パン/スニーカーにアメリカ人は誇りを持っているの?」という疑問に対しては、私は躊躇なく「YES」と答えます。

理由は、彼らはどこの国へ行っても、ちょっと暖かくなると「短パン/スニーカー」で行動をします。東京の地下鉄に乗るときだって、ベルギーのブリュッセルの街を歩くときだって、メキシコへ行ったって、とにかくどこへ行っても「短パン/スニーカー」の白人を見たら、まず間違いなく「アメリカ人」です。

こんなにどこへ行っても身に付ける服装に対して、彼らが「誇りを持っていない」とは失礼で言えないじゃありませんか!
直ぐにアメリカ人とわかる服装

以前ドイツ、ベルギー、オランダ、イギリス、スイス,その他の国をぐるっと3カ月近くかけて回った事があります。それぞれの国はイギリスを除き大陸でつながっており、観光客の行き来も多いのですが、その中でアメリカ人の観光客は100m先からでもわかりました。
時期は春先だったのですが、男も女も必ずGパンをはいた連中がかなりの割合で混じっているからです。そして靴はやはりスニーカーです。

ヨーロッパではある程度の年齢以上の人は、男も女もGパンは殆どはきません。Gパンとスニーカー、それにだらっとしたジャンパーみたいな上着、これを見たら大体アメリカ人と思って間違いないと思います。(もちろん例外はある。)
ヨーロッパの人は意外ではありましたが、隣を横切る人が何人か、鋭く見分けます。

スエーデンに行った時、遠くから4人連れの白人が歩いて来ました。それこそ50m以上前からいっしょにいたスエーデン人が、
「SHIN、向こうから来る3人、ありゃドイツ人だと思うよ。」
とニヤリとして言ったのを覚えております。そのスエーデン人は、すれ違いざまにしゃべっている言葉を聞いて、
「ほら、オレの言ったとおりだろ?」
と自慢げに言いました。

彼に理由を聞いたところ歩き方と、3人の間の距離がポイントであると言っておりました。特に他人とぴったりとくっついて歩くのはドイツ人の特徴、なんて言っておりました。

私には距離の事は全然わかりませんでしたが、「Gパン/スニーカー」は非常にわかりやすい。
「Gパン/スニーカー/Tシャツ/短パン」この組み合わせが2つ以上の白人を見たらまず、フランス人でもなく、ドイツ人でもない、つまりアメリカ人と考えて間違いありません。特に、年輩のオバサンでこの格好をしていたら90%くらいアメリカ人とい言えます。
夫婦とかの2人連れでこの組み合わせが2人とも成立していたなら、もう100%アメリカ人!!

ここまで明確にアメリカ人とわかる服装を「アメリカの民族衣装」という言い方をして間違いですか?
民族衣装の価値

日本に行ったアメリカ人がときどき浴衣とゲタが欲しい、といいます。
本当は着物が欲しいと言うところなのでしょが、着付けの方法がわからないし、第一目の玉が飛び出るほど高価なことを大体のアメリカ人は知っております。
私はデパートにアメリカ人を連れて行った事がありますが、浴衣でさえ結構な値段でしたので、大衆超安売り店で5000円の浴衣と3000円のゲタ(女物)をやっと探して買った覚えがあります。

アメリカの民族衣装である4点セット、つまり「Gパン/短パン/Tシャツ/スニーカー」を買うといくらになるか。高くても300ドル、安いのを探せば100ドルで一式揃える事ができます。実に手頃な値段でアメリカの民族衣装は手に入ります。

でもアメリカの民族衣装、日本とかと違って
「このTシャツと短パンはおばあちゃんの代で使ったもので仕立て直したのよ。」
という自慢には使えないようです。

アメリカの民族衣装は1シーズンの消耗品であります。これもアメリカらしいではありませんか。
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