アメリカのテレビ : 真珠湾攻撃しかないの
ケーブルテレビ

アメリカに来て1年間を単身赴任で過ごしていた私は、その間テレビを持っておりませんでした。テレビを見たいという余裕がなかったのかも知れません。


家族が来てからは一応テレビを見れるようにセットしましたが、アンテナで電波を受信する放送はあまり面白くないのと、少々写りが悪かったので、ケーブルテレビを申し込んでみました。

ケーブルテレビをつなぐきっかけになったのは、1日30分−1時間程度日本の放送がが放映されるチャンネルがあったのでそれを見たいからでした。
但しこれは日中に放送しているので、録画をしてもらい夜に帰宅してから見るという事になっております。

ケーブルテレビは何十チャンネルもあって、基本の契約だけでも相当な数のチャンネルを見る事ができます。でも人気のある映画とかを見ようとすると、契約を追加する必要があり、わが家も3チャンネルの映画チャンネルを追加契約しております。

費用は基本だけですと、20ドル−30ドルでそれに追加の費用がかかるという仕組みになっております。
それぞれのチャンネルは、一つのジャンルのみの放送を1日中やっており、料理だけとか、ニュースだけとか様々になっております。

最近はインタネットの接続がこのケーブルテレビの回線でするのが流行っており、50−60ドルで時間無制限とか聞いております。
その国の歴史とは?

そんなにテレビを見ない私ですが、ケーブルテレビを見ていて少し気になる事があります。それは、「歴史チャンネル」というのがあって、アメリカの建国以来の歴史について、いろいろな角度から放送をしているチャンネルの事です。

アメリカは20世紀になって強大な国家になった国で、特に第二次大戦後は群を抜いた大国で、しかもソ連の崩壊後はアメリカに楯をつく国もなくなり、20世紀はアメリカの世紀と言う人もおります。

第二次世界大戦を契機に強大な国になったアメリカの歴史と言えば、その第二次世界大戦をどのように戦ったのか、これが中心になっております。
もちろんイギリスの植民地からの独立という建国の歴史も重要なのですが、何と言っても第二次大戦こそが、アメリカの原点なのです。

その中で最も重要な出来事は、日本の「真珠湾攻撃」であり、これをきっかけにヨーロッパの戦いにも参戦する事になり、結果勝利者になり今の繁栄を築いたと言えます。

従って、テレビの「歴史チャンネル」はその番組の中身の殆どが、第二次世界大戦でアメリカがいかに戦ったかに集約されております。番組でしゃべっている中身はあまり理解できませんが、4年間の間の出来事を本当にこれでもかという程に詳しく放送をして、しかもその時の兵士を出演させて生々しく語らせるのです。

その対象はヨーロッパの戦線であったり、南太平洋の戦線であったりするのですが、どちらかというと南太平洋での戦いについての番組が少し多いような気がします。またこの戦いを支えた産業についても細かに放送しております。

第二次大戦を勝利に導いた兵器の一つに「M1ライフル」というのがあり、これがどのように開発され、そして生産され、他の国の同様の兵器に比べていかに優秀な性能であったかを延々2時間半やっておりました。

いろいろな見方があるのですが、アメリカを見るときは「歴史」というものをズバリ第二次世界大戦を中心に捉えている国である事は忘れてはいけない事だと思います。
ベトナム戦争の事はタブー、放送しない?

アメリカはベトナム戦争で10年以上戦って、アメリカ自体に大きな傷跡も残しておりますが、このベトナム戦争についての番組というのは、以外とというよりも殆どやりません。これは「歴史」という観点であって、もちろんハリウッドの映画はいろいろとありますが。

テレビの「歴史チャンネル」でベトナム戦争について取り上げた番組はまだ1回も見た事がありません。それと1950年に始まった朝鮮戦争もあまり取り上げられません。

私の会社にもベトナム戦争に行った社員が何人もいますが、一度ベトナムの事を話題にしたら吐き捨てるように、
「ベトナム(人)は嫌いだ。」
と言いました。

勝利を得る事のできなかった戦争、それはベトナム戦争であり、その前の朝鮮戦争であるわけですが、本当に不思議なくらい放送しません。
アメリカ自体がベトナム戦争を契機にいろいろと変わり、それが退廃的な方向に変わったのも事実です。

第二次世界大戦で勝利を収め、その後いろいろな戦争に関与してきたアメリカですが、勝てなかったけど決して負けたわけではないという事ではあるのですが、大いに誇れる戦ではなかったという事でしょうか。

ハリウッドの映画でベトナム戦争を描いたものはその裏側に大体が厭戦ムードを感じとる事ができます。

アメリカはベトナムで6万人近くの犠牲者と20万人の負傷者を出したと聞きましたが、アメリカは他の国のために今後このような犠牲を払う事はもう絶対にないだろう、というのが一般的な考え方のようです。
再び真珠湾攻撃の番組について

あの有名な(?)真珠湾で燃え盛るアメリカの軍艦の映像は、本当によくテレビで見る事ができます
もちろん、園芸とか体操とかマンガの専用チャンネルには登場しないのは当たり前ですが。

「日本と第二次世界大戦」というのは我々が思っているよりも鮮明、具体的にアメリカ人の心の中には出来上がっており、残念ながらそれは良いイメージではありません。
小学生の日本人の子供が公園で遊んでいたらアメリカ人の子供に、
「戦争で負けた国の子はここで遊ぶな。あっちへ行け。」
と言われて、何の事だかわからなくて悔しかった、という作文がこちらで配達される新聞に載っておりました。

これに似たような事が、ある会社との取引の時にちらと出たという話も聞いた事があります。
事実だからどうしようもないのですが、何か釈然としないのも確かです。
そんな事は放っておけばいいのさ、という人もおりますしそうかも知れません。

会社の中で付き合うアメリカ人からはこのような雰囲気は一切感じられないし、そもそもアメリカ人という名前で一つに括って考えるのは大きな間違いである事もこちらへ来て実感しております。

あの燃え盛る真珠湾の軍艦の映像は「Remember Pearl Habor.」(真珠湾を忘れるな)、つまり油断してはダメですよ、という意味です。

何に対してでしょうか。
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