資源浪費大国
家の電灯が暗い、蛍光灯は使わない

オハイオ生活のページでこちらの家の紹介をしておりますが、いろいろな点で日本の家とは違いがありますが、最も大きな違いの一つは家の中の照明設備です。

先ず絶対に天井からの照明がない点で、日本の家では普通、天井からの照明で部屋全体を明るくします。
ではどうやって部屋を明るくするかと言いますと、部屋を明るくするという考え方が基本的にありません。つまり、必要なところだけを明るくするという考え方のようです。


部屋で新聞を読むとします。新聞を読む訳ですから、新聞だけを明るく照らせばいい、という発想です。テレビを見るために部屋を明るくする必要があるかと言えば、それは「ない」というのが答えです。

私はこちらの家に住むようになって家の中全体が暗い、という事に違和感を感じており今でもその違和感は取れておりません。我が家の来客用の食堂には小さなシャンデリアがあり、それと普段の食事をするダイニングには天井から吊した大きな電球があります。これ以外は天井からの照明はありません。

それともう一つの特徴が、家の中の照明に蛍光灯を使わないという点です。全て白熱電球を使います。大体そもそも、どこへ行っても蛍光灯の照明器具は売っておりません。

ですからトイレから居間、台所に至る全ての照明器具は電球です。ちなみに我が家の電球の数を全部数えてみると実に52個で,これ以外に外に4個がありますので56個、平均80Wの電球とすると合計4480W!!
日本の家では逆に白熱電球を今は殆ど使いませんので40Wの蛍光灯112本の計算になります。読書に80Wの電球3個

もちろん全部の電灯を一時に点ける事はありませんが、スゴイ電気の消費量になっているのは事実です。

この白熱電球を全部蛍光灯に切り替えたら、多分電気の消費量は今の1/2以下になるのは間違いありません。

何故家庭では蛍光灯を使わないのかアメリカ人に聞いてみたところ、蛍光灯はあれは事務所等の照明用で家庭では使う物ではない、という返事が返ってきました。
部屋は薄暗く、ボーッと照明するのが生活習慣なのでしょう。白人は青目で、どうも我々黒目の人種より、暗くても目がよく見えるような気もします。

部屋が暗いので、こちらに来た日本人は一般的に目を悪くする人が多いようです。
資源浪費の王様、芝生

良く手入れされた芝生は見ていて気持ちの良いものです。
ところがこの芝生を維持するためにはとんでもない資源の浪費が伴っております。

一般的に手入れのいい芝生とは、色が鮮やかな緑で密集しており、そしてきちんと刈り込まれている事が条件です。
鮮やかな緑を保つためには、適切に肥料を撒きます。一般的には年3ー5回。
そして雑草が生えないように除草剤もこれに混ぜて撒きます。この除草剤は撒いた直後は立ち入り禁止の札を立てる程の量です。

そしてたっぷりと水を撒きます。普通の家でも夏の6月から8月は1週間に2ー3回、3ー4時間水を出しっぱなしにして水分を与えます。
肥料と水分で芝生は青々としてぐんぐん伸びます。ぐんぐん伸びるので、夏の間は1週間に1回「以上」芝生を刈らなくてはなりません。
オハイオのような地方でも、芝刈りは4月の末から10月の終わりまでこのような手入れが必要です。見た目はきれいですが、、、

肥料をやって水を与えて、伸ばして、そして刈る。
よく考えてみると全く妙な事をやっているのに気が付きます。アメリカ中の家庭がこれをやる訳ですから、ものスゴイ量の肥料、水、そして芝刈りのガソリンを使う事になります。

これは家庭ばかりではなく、会社の敷地(こちらの会社の敷地は当然の事ながら広大な面積のものが多い)そして、公園、道路の路肩、学校等、あらゆる場所で行われるのです。

このような手入れを請け負う業者も星の数ほどあり、一般家庭でもこのような業者に頼んでいる人が結構おります。
芝刈りは自分でやり、肥料、除草等の手入れだけを頼むと1年間で$100ー$150、芝生ビジネスはアメリカでは非常にうまみのあるビジネスだそうです。

ちなみに芝生の手入れだけに使用するガソリンは年間、30万トンのタンカー10隻分とかいう試算もあるそうです。
トイレの紙、食堂の紙、紙、紙、紙

トイレに行って、手を洗って何で水をふき取るか?
一般家庭ではタオルのようなものを掛けておき、それを使うのが普通です。では家庭以外の公共の場所ではどうでしょうか。

日本でも時々見かけますが、アメリカでは殆どがペーパータオルです。会社、デパート、レストラン、学校(!)、フリーウエーの休憩所、ありとあらゆる場所のトイレの手拭きは、殆どがそうです。
時々、ホットエアーを吹き出して乾かす装置(何という名称なのか知りません)も見かけますが。

私はこのペーパータオルというのは、何故かものすごくもったいないような気がしてなりません。トイレに幾たびに2ー3枚のペーパータオルをポイ。全国民の全てとは言いませんが、大半の人がトイレの手拭きはペーパータオル。

5x365x100000000=1825億枚
(全人口2.6億のうち1億人が一日に5枚のペーパータオルを使ったとしての計算。)

これを作るのにどれほどのパルプが必要なのか、多分再生紙を使っていると思われるので、結果としてはどのように資源が使われているのかはよくわかりませんが。

それと紙でもう一つ気になるのは外で食事をしたときの、ペーパーナプキン。
アメリカのペーパーナプキンは日本のものよりふた周り程大きく、使う量も見ていると日本の2倍くらい使っております。
外で食事をする比率がアメリカ人は日本人に比べて多いし、家庭でもペーパーナプキンは一般的に使われております。

これも私はいつも気になります。
こちらのスーパーではペーパーナプキン、ペーパータオルが本当に安く売られており、びっくりします。恐らく日本の1/5くらいの値段でしょう。

一般の事務所でもそんなにリサイクルは盛んではありませんので、アメリカ全体はリサイクルへの取り組みは先進国では最も遅れていると思います。
しかし、カナダを含めて、森林資源に恵まれており、あまりこのような事は気にする必要のない国かも知れません。

アメリカに来た当初に英語を習っていた先生が言っておりました。
「昔はクリーブランドにいたリスが木に登ると、地上の土を踏むことなく、シンシナティーまで行けた、というのがオハイオだったそうです。」

クリーブランドからシンシナティーまで400km。今は森林と呼ばれる場所は殆どありません。
省資源とアメリカ

何年か前に日本の京都で「地球温暖化防止条約」を制定しようとしたとき、先進国の中で唯一、アメリカが反対をしました。
アメリカに住んで、これに積極的にならなかったアメリカの姿勢の背景が何となく分かるようになってきました。

この京都会議の時、ヨーロッパの委員が散々日本の資源の無駄使いをこき下ろしておりましたが、アメリカはそんなレベルではありません。
アメリカはゴミも焼却ではなく、地中に埋めるという方法をとっております。アメリカ全土はやがて埋められたゴミで覆われ、それが地下水等に深刻な影響を及ぼすという、話を聞いた事もあります。

また自動車もアメリカで売られている約50%はトラックをベースにしたミニバンタイプなので、乗用車のような厳しい排ガス規制を受けておりません。
乗用車メーカーは技術の限りを尽くして、排ガスの極小化に努めておりますが、実に半分の車からはその何倍もの排ガスをまき散らしているのが実態です。

正直言って、私はアメリカに来るまでは省資源、省エネというものに殆ど関心がありませんでした。
しかし、実際に生活をしてみて、「こりゃ一体なんヤ。」と感じる事が多くなりました。

日本で活躍しているどこかのガイジンの歌手だか、女優が日本の割り箸を資源のムダ、とか言って目を三角にしておりましたが、アメリカのムダはケタ違いなのは間違いなしです。
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