16−08−17 社員との距離
私の会社は金型・プレス部品を生産しています。得意とする分野は掌サイズの精密金型とこれを使ったプレス部品です。
私はこの分野の仕事の経験は全くありません。

フィリピンに来て3ヶ月、社内の様子、取引先との関係など段々わかってきました。
私は前の会社では生産領域を担当した事はありませんが、マネージメントの基本は身につけているつもりです。

しかし金型・プレス工場と言うのは騒音は大きいし、油まみれの機械と材料・部品でごった返しています。

私は入社したばかりの今年の4月、この業界45年選手に工場環境について聞いてみました。

「どこもこういう感じです。もっと汚い会社は一杯あります、と言うかウチはうんときれいな方だと思います」
という返事でした。

フィリピンの工場も日本と同様でした。イエ、もう少し悪い感じがします。フィリピンの工場はオフィスも入れると5000uの広さです。
工場の大きさの割に社員の数は130名とうんと少ないのは金型・プレス工場の特徴です。

ヨオ〜シ、やってみるか〜。私の最初の仕事として工場の環境整備に本格的に着手する事にしました。
先ず最初に工場長を連れて現場を徹底的に調査しました。

巨大なプレス機の裏には廃材が、通路には生産された部品のバケットが無造作に、金型のメンテナンステーブルの下には工具が無造作に放置されており、掲示板はボロボロです。

休憩所のロッカーを開けてみると飲み干したコーラのボトルが、そして絶対に使っていないと思われるサンダルなどが入っています。

「NEさん、これじゃダメだよね、どうする?」
工場長のNEさんは下を向いてしまいました。
フィリピンの会社は1か月に1回全社員を集めての集会があります。ここでは私は全社社員様々な話をします。
私は工場の環境改善に取り組むことを宣言しました。何故、環境改善が必要なのか、パワーポイントで6枚ほどの説明資料を作り丁寧に説明しました。
全社員にわかってもらうにはやはり言葉だけではなく、絵とか図を用いて説明するのが一番です。

工場長のNEさんは私との巡回で見つけた汚れたところ、整理がされていないところの写真を皆に見せました。
社員達はドッと沸きました。「うわー、汚い、、、ありゃなんだ!」、あくまでフィリピン人の社員達は明るいのです。

あれから2カ月弱、工場の中はかなり整理・整頓・清掃が行き届いてきました。現場のグループに委員会を作り活動の核にしました。各種要具も新品に入れ替えました。

無駄な棚などの撤去、出荷待ち部品の整列、床などの徹底的な清掃、廃材の整理、各種ルールの見直し、その他細かいところまで社員達の目が行くようになりました。

私は午前に1回、午後に1回、必ず工場の隅々まで見て回るようにしました。そしてひとりひとりに声をかけるのです。私は工場に入った時は目立つように作業服は着ません。
帽子は被りますがワイシャツと普通のズボン、それに革靴で巡回します。私が何をしているのか皆にわかってもらうためです。

フィリピン人達は非常に礼儀正しく、巡回するとみんな礼をします。当然目が合うのでニッコリします。大変気持ちのいい人たちです。
最近では私が工場の現場に出ると担当区の係長が一緒について来ます。こちらの係長クラスは事務所からあまり現場に出ません。こういう事もかなり改善されたように思います。

係長、班長さんは2/3が女性です。
朝のミーティングなど、大の男を前に堂々と話をします。作業中の指示をする時も堂々としています。

ナヨナヨした感じはあまりありません。
フィリピンは女社会と言いますが会社でも女性が中心で、きちんと仕事をしてくれます。
会社でそういう女性達を見ていると何だか男が可愛そうに見える時があります。

日本で男女平等とか言って目を釣り上げて騒いでる連中が未だにたくさんいますが、私の会社の女性監督者達を見せてやりたいと思います。日本で男女平等を口にする多くの人は只の甘え、のように思えてなりません。

私も女性の係長とか班長には気を使います。ちょっとしたレイアウトの変更も、「これとこれでどっちがいいと思いますか」、というような言い方をして、「こっちがいいと思います」、というような返事をもらう事にしています。これらの女性の現場監督者が率先して動くようになりました。

工場がきれいになっていくのが最近では本当に楽しみです。
今のところ工場内の事にはほとんど興味を示さない副社長のRさん(これも女性です)、来週くらいには私と一緒に巡回してもらいましょうかね、、、。
フィリピンに行って初めての日本一時帰国中を7月30日から8月9日までやりました。
2日間ほど会社へ出勤し、3日間は病院に行き、何人かの人と会ったりしてあっという間に過ぎてしまい、気が付いたらマニラに帰っていました。

食べ物はズーッと毎日刺身を食べていました。
マニラでも新鮮な刺身はいくらでも食べる事はできます。鮮度は日本と全く変わりません。
何が違うかと言うと調理環境です。

使っている水、包丁、まな板、布巾などの清潔度です。ですから食べただけでは全くわかりません。
鮮度はいいので当然大変おいしく感じます。

が、お客様は早ければ1時間後くらいでお腹にやってきます。何となくおかしい、、、あれ?やられたかな?。こんな感じです。

確率は決して高くはなくほんの少しだと思うのですが、誰でも必ずどこかでやられます。
そんな訳で私は刺身を日本で爆食した、という訳です。

それと日本では大きな湯船の風呂に入るのが楽しみです。今住んでいるコンドミアムのマスターベッドルームにはバスタブ付のシャワールームがあるのですが、何となく使いにくい。それに部屋も暗い。
そこで普段はシャワーのみで土曜日にサウナに行った時に大きな熱い湯船に浸かって風呂の代わりにしています。
サウナ、湯船、1時間のマッサージで1000ペソ(約2300円)ですからまあまあですね。
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