16−02−05 バンコックにて(2)
バンコックには多くの日本人がいます。
日系企業の駐在員とその家族、定年退職後に現地企業に再就職した日本人、リタイアメントビザを取得して完全移住、又は半移住で暮らす日本人。

現地で起業をした日本人、"外こもり"の日本人、ワケありで日本を逃げてきた日本人。その他学生、不法滞在者etc。
("外こもり"とは日本でかせいだお金で物価の安いタイなどの外国でブラブラと暮らす人のこと)
それ以外に毎日多くの仕事関係の出張者、観光客も来ます。

ホテルで朝食を食べていると私と同じ年代、又は上の年代の男同士のグループにもよく出会います。

ゴルフとか、かなり不純な目的で来ている人も多いようです。

日本人に狙いをつけて近づきお金を貢がせて丸裸にするタイ人女性も巷ではウロウロいるようです。

そういう被害者らしきオジサンが半ば泣き顔で、携帯電話で何かを頼み込んでいるような話しをしているのを見た事もあります。

またタイでは日本人が日本人を騙すというのも珍しくないそうで、いろいろな事が起きているというのも聞きました。

今回私はいろいろな人に会いました。その中で興味を引いたのが"コンサルタント"をやっているある人でした。
タイに進出する企業の支援、会計・税務代行支援などをやっている人で、15名程度のタイ人を雇って事業としてやっているようでした。

また会社設立までの各種手続きの代行もやっているようで、果たしてこういう仕事だけで事業が成り立っていくのだろうか少々疑問でした。

会社というのは設立してからの経営(運営)が大事なわけでタイに進出してタイ人を使ってどうやって利益を出していくか、ここでそれぞれの会社は苦労をします。

今回会った方は会社設立後の運営そのものに関するコンサルはどの程度やっているのか不明でした。

私は以前、親しいるあるコンサルから、

「コンサルは手離れのいい仕事しかやってはいけません、いつまでもズルズルと引き込まれる仕事は結局はお金にならないのです、これを見分けるのが大事です」

「コンサルはどんな事があってもその実務に手を突っ込んではいけません、言うだけで全部やってもらうのです、これは鉄則です」

「いい事を強調して、マイナス面には積極的に触れてはいけません」

とかその他コンサルとして核心に迫る様々な話を聞いた事があります。これらはコンサルと言うことで商売をしている人にとっては当たり前の事です。

今回バンコックで会ったコンサルの話を聞きながら、私は先輩から聞いた話を思い出しておりました。
この方、なかなかいいお仕事をしている様子でした。
銀行とは何か。
簡単に言うとお金を集めて、そのお金を誰かに貸して利息を取る、という商売です。
普通の商売で言うと預金獲得は"仕入れ"で、貸し付けは"販売"です。

今回ある銀行のバンコック支店の2人に会ってきました。
我々(今回バンコックに行ったのは私を含めて3人)はお金を借りる側の立場、つまり銀行の商品(お金)を買う(借りる)側です。

日本の銀行の現地支店の役割の一つとして、お金を貸した会社の事業がうまく廻っているかどうかを把握しておく、というのがあります。

つまり貸したお金がちゃんと回収できるようになっているか、という事です。

今回はAさん(同行したある会社の社長さん)によると銀行側から会いたいと言ってきたそうです。

しかし銀行側からは事業に関する質問、例えば現在の状況、これからの見通し、などについての探りは特にありませんでした。

これは何を意味するのか、”金貸し屋”が儀礼的な会食に誘うとは到底思えません。

考えられる事は、3つほどあります。
でもいろいろ詮索しても仕方ありません、あと半年もすればはっきりするでしょうから。

ちなみにこの会食、銀行側から誘っておきながら費用は割り勘でした。
東南アジア各国には日系の多くの製造業が進出しており、東南アジア・インド・日本・北米間の物流は非常に複雑です。
この物流を担っている生業がトレーディングカンパニー、海貨業者、乙仲です。

今回日本、タイ、フィリピン、インドネシア、マレーシアにトレーディングカンパニーを持つBさんという方と会いました。

Bさんのタイの会社はバンコックと他に1拠点、社員は約100名で5カ国を合わせると数百名の社員を抱えているそうですから大きな会社と言えます。

Bさんは一代でここまで会社を育てた人であり、なかなかの人物とお見受けしました。

年令は73才、1年中これら5カ国を1〜2週間単位でグルグル廻っており、どこかにじっとしている事はないそうです。

私はこの話を聞いてマグロを思い出しました。(マグロは365日、一生休むことなくずっと泳いでいます)

Bさんは事業というものに対するこの方の考え方を語ってくれました。実に明快でした。73才にしては非常に若々しく声も大きく、シャキシャキしている人でした。

一応の話が終わってから雑談になった時、Bさんは興味深い事を言いました。
それは服装です。

Bさんは、ビジネスの世界でブランド品などをあちこち身につけていたり、持っている人には、”ある見方”をする、と言いました。

ブランド品を身につけるとはどういう事なのか、Bさんは極めて端的にズバリと述べました。

Bさんの服装を見ると安物ではない、”普通”のズボンとシャツで、ピシッとプレスがきいていました。
靴は手入れが行き届いており、顔はヒゲのそり残しなどはなし、髪の乱れもなしでした。

こういう事はその人の経済状況とは関係のない、心の中の現れです。
これをずっと何十年も維持するというのはその人の”精神状態”、つまり”緊張感と礼儀”、を表すものだと思います。

相手の信用を得る第一歩というのはそういうことだと思いました。
さてこの日の私の服装は、、、。
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