12−05−12 必読、激安の旅
日本に帰ってきて新聞などを見てちょっと驚いた事のひとつに、格安というか激安ツアーの広告が毎日たくさん載っていることです。39800円グアム・サイパン4泊5日なんてのは序の口で、19800円韓国ソウル2泊3日の旅、とかになるとウーンと唸ってしまいます。

こういう企画を見ると一度は行ってみたいと思っていますが、その前に行った人の感想を聞きたいと思っていました。
そんな時私のある先輩から3泊4日24000円で中国は北京と北京郊外の旅に行ってきた感想文が届きました。

ご本人の了解を得ましたのでここにその全文を披露します。非常にリアルな描写・名文でなかなか興味深い24000円の旅行記であります。
この先輩、海外駐在は合計10数年、訪れた国は数知れず、私が尊敬する国際人のひとりであります。。
2月末から3月初めの4日間、激安ツアーで北京とその郊外の世界遺産巡りに行ってきました。
もともと現役の時に中国へは出張で2回行って中国嫌いになったのですが、万里の長城だけは一度観たいと思っていたので、まあ観光ならイメージも違うかもという思いもあって出掛けました。

激安の中身は、AIR代、ホテル代、食事は3食付き、世界遺産の入場料、移動のバス代全て込みで2万4千円とホンマかいなという安さでした。
ツアーは29人のグループでした。先ず久し振りのJALの食事の旨さに感激して空港に着いた途端、嫁殿が「今日は霧やね」と言いました。(注:北京はいつも、というかどんなに晴天でも基本的に”霧”です。)

北京市内に近づくにつれ渋滞がひどくなり、車はどの色も全て埃で灰色でした。横断歩道は車がクラクションと共に加速して人を蹴散らす、という感じで優先順位は完全に車です。
それにしても人がやたら多い。

ホテルは近代的でしたがトイレは紙を流せなくて、傍らの籠に入れる(詰まらせたら罰金)というもの、また備え付けのものはお持ち帰りになったらいくらと、感心するほど細かく書いて有りまして、さすが中国と感心しました。
シーツは4日間交換せず、生水は飲めないと予想通りのものでしたが有料の避妊具は色どりあざやかに豊富に揃えて有りました。これも一人っ子政策が徹底されている為でしょう。

食事はずっと北京、上海、広東、四川、といった中華料理で、中国人のガイドに「どや?旨いやろ?」、と何度も聞かれましたが、違いは辛さぐらいしか分かりませんでした。
中華料理は絶対に日本が旨い!

万里の長城は吐いてあるツバを避けて急な傾斜を登る、、、殆ど登山、途中で現地人も結構ギブアップ、、、というものでしたが晴れでもスモッグで霞んでいるので景観は今一でした。
しかし行った事だけで取りあえず満足。

その他の世界遺産も何処もやたら広くて、毎日2万歩以上は歩いていました。
ツアーは何度も土産物屋へ連れて行かれその勧誘の強引さとしつこさは予想以上でこれは間違いなく世界一です。
支払いは何処も日本円OK(全く使いませんでしたが)円の強さは流石です。まあ見知らぬもの29人が4日間行動を共にすると実に色々有りまして、近いうちに後篇にてご報告します。
で、後篇です。なかなかの人間模様でした。
激安ツアーは29人のグループだったのですが中華料理は例のターンテブルで、3卓(仮にA、B、Cとします)になって皆で料理を取り分けるスタイルでした。

私達のAグループは他のグループより飛び抜けて早く食べ終わるのです。何故かと言うと1組の中年夫婦が真っ先に、ガイドが説明する、「これが旨いよ」と言ったのを取って食ってしまい、廻って来た時には無いという状態でした。
他の人もそれに気が付いて早く取る様になり、他のテーブルが話しながら楽しそうに食べているのに早々と終わり、白けたムードでした。

多分追加が来る(実際にはそんなものは激安には無し)と思ったのだろうと思いましたが、その後も中年夫婦は我関せずと食べ、態度も横柄で私達は激安ツアーなんか来なくてもいいんだと言わんばかりの態度で嫌な感じでした。

食べると露骨にシーハーシーハーやって余り旨くねえな、とか聞えよがしに言っていました。
次からは皆が中年夫婦が卓に座るのを待って他の卓に座る様になりました。

しかし2日目の昼食に中年夫婦の亭主が熱が出たとかでバスに留まり、嫁さんだけが食事にきました。

「食あたり、食べ過ぎ」と皆がヒソヒソと言っていましたが、夕食も嫁さんだけで、皆もゆっくりと食べ、和やかなムードに一変しました。

自然と出来た若者中心のBグループにはアメリカ在住の若い日本人の女医さん(アミーゴ系のアメリカ人のボーイフレンドと一緒)がいて、その亭主に解熱剤なんかをやっていましたが熱は下がらず、女医さんが「これ、インフルエンザよね」と言ったら皆が嫁さんも避ける様になりました。

そしてその日の夕方からは嫁さんも熱が出て食事に来なくなり、翌日からはホテルに留まったままで、見かけたのは帰りの飛行機でした。
この女医さんとは女房が思わず英語で返事をしたのがきっかけで話す様になり、私達ももっぱらこのBグループで行動しました。

アミーゴは背は低いし顔も普通だけど誰かれ無く、めっちゃサービス精神が旺盛で女医さんがこのアミーゴに惚れた理由が分かった気がしました。
でもこのアミーゴは飽きられたら即ポイされるだろうと女性軍は言っていました。
Cグループは2人の自己中老人、2世代、3世代一緒が占めていましたが爺さんの立場は微妙でした。
黙って歩いていたじいさんに娘が、「疲れたの?」と聞くので、「うん、少し」と答えたら、「そんな事言ったら皆が心配するじゃないの!」とピシャとやられる、、、だったら聞いてやんなよと、、、。

大体こんな構図のやりとりで、好き好んで来た訳でも無さそうだったのでかえって気の毒に思えました。爺さんはたまにモソモソ言うのが聞こえましたが、最後まで無口でした。どう見ても私より疲れていました。

自己中老人はバスの中で大きな声で喋りっぱなしでガイドは全く無視、集合時間は遅刻、行方不明、ホテルでもトラぶるとまあ協調性なし。
互いに自分の知識をひけらかすのが目的みたいでしたが、豊かな旅行経験がものをいって、ある土産物店で20万円の布団マットを買わされました。

日本だとせいぜい高くても5万円で買えるらしく、店へ行く度に誰が犠牲になるかを待っていた皆は、一斉に良い買い物だ!と褒めそやしました。
誰かがこういう買い物をすると直ちに店から解放され、次の目的地へ移動出来る様になり一挙に英雄扱いです。
その後はバスの中で延々とマットの説明がされましたが、みんなは迷惑そうに単に無視するだけになりました。

帰りのフライトでは中国人のCAが飲み物を女房の服にこぼして、女房が何でもないと言うのに日本人のCAが(チーフとかも)次々に謝りに来て、やれクリーニング代を払うやら、降りる時には荷物をお取りしますとか大きな声で言うので我々がやたら目立ってしまいました。

女房は、「これって中国人のCAに対する教育?あてつけにされている?」、と言っていましたが、最後にチーフがこれはつまらないものですがお詫びの気持ちですと何か袋を出しました。
他の乗客の目も有って(ちょっと期待もして)、余りごちゃごちゃしたくなかったので早々に受け取って降りました。
袋を開けたらお詫びの言葉と機内で配ったクッキーが5個入っていました。折角旨かった機内食が減点されました。

今となっては4日間のストーリーとしては起承転結が有って面白く、マイナス要因は今回の値段を考えると全て吹き飛びそうです。
次は何処へ行くか調査中です。第一候補はスペインのアルハンブラ宮殿。でもひょっとしたらまた中国?
ではまた。
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