12−05−02 ブラリと室生寺
私の会社はこのゴールデンウイークは、4月28日から5月6日までの何と9連休となっています。オハイオから帰国してこれで2回目のゴールデンウイークで、私の会社のオハイオ人も ” Golden week ” というジャングリッシュを知っているのがたくさんいました。

ナゼ知っているかというと、この時期は日本にメールなどで連絡をとっても返事が返ってこないので、夏と冬以外に何の休みがあるのだろう、という事で実は日本には5月にも長期連休があるのを知る、という訳です。

さてこの長い長いゴールデンウイーク、どうやって過ごすか、まとまった時間なのでいろいろとできそうです。
と、みなんなは考えるのですが、気が付くと結局はダラダラと過ごしてしまった、というのが実績となる人が多いのは会社の連中の話を聞いてもわかります。

私の場合、どこか一カ所くらいはどこかに行ってみる、という事で一応カレンダー上は旗日になっていない5月2日に三重県と奈良県の県境にある”室生寺”にブラリと行ってきました。
いつもの近鉄特急

室牛までは簡単に行けます。
鈴鹿(白子駅)から近鉄特急に乗って2駅目名張で下ります。
そこで普通電車に乗り換えて3駅目の”室生口大野”という駅で降ります。そこkらバスで10分ちょっとで室生寺に着きます。

近鉄特急はゴールデンウイーク中とは言え平日なのでガラガラ。乗車率15%です。

お天気が心配です。雨が降ってきました。
橋本屋旅館

鈴鹿からここまでの電車、バスの乗り継ぎは待ち時間が殆どありません。
近鉄特急に合わせて時間が組んであるからです。

室生口大野駅から室生寺まで歩いても丁度いい距離です。1時間半くらいのハイキングです。

室生寺橋(太鼓橋)の横には橋本屋旅館という、旅館があります。何か有名人が泊まる事があるそうです。
室生寺入り口(1)

私が室生寺に初めて来たのは中学生の時です。
そしてその後数回来ています。
最後に来たのは30年位前、会社に入ってちょっとした頃に職場のみんなと来ました。

中学生の時に来たのは11月の末頃だったでしょうか、太鼓橋の上に立った時のこの風景がナゼか目に焼きついており、一瞬その時にタイムスリップするような気分になります。
このバランスのとれた構図、やはり少年だった私の心に焼きついたのだと思います。
室生寺入り口(2)

右に立っている石碑には”女人高野室生寺”と刻まれています。
中学生の時にここを訪れ、この石碑の文字の事を僧侶であった叔父に言いました。
「そうか、信は室生寺に行ったんか、、、。」

叔父は室生寺の歴史を詳しく教えてくれました。
残念ながらその時の話はほとんど忘れてしまいました。
覚えているのは”女人高野”という意味だけです。
室生寺とシャクナゲ

室生寺は石楠花(シャクナゲ)で有名で、3000本程もあるという事です。
時期は実にこのゴールデンウイークの頃、でも早い時間のせいと、小雨のせいで訪れている人は疎らです。

この坂は”鎧坂”と言うそうで、左右に咲き乱れています。

雨がシトシト、バスを降りた時に傘を買いました。
弥勒堂、金堂横の階段

弥勒堂と金堂と階段のバランスの良さが撮れていませんが、非常に整った構図です。

最近そろそろポケットデジカメを卒業して一眼レフを買おうかと思っていましたが、こんな写真を撮っているようではまだポケットデジカメで十分です。

それぞれのお堂は伽藍に上がって、中に鎮座している重文、国宝の多くの仏像を自由に見ることができます。
中は撮影禁止です。
奥の院への階段(1)

これが室生寺で有名な奥の院へ上がっていく階段です。
階段は入り口から全部合わせると約700段ありますから相当なものです。

マンションの10階まで150段、先週行った神島の八代神社の階段が200段ちょっと、こんなの室生寺の階段に比べたら屁でもありません。

階段は踊り場も少なく、ずっと続いていますがら踏み外すと結構ヤバイ事になりそうです。

室生寺は800年代に建てられたそうですが、その頃はこういう奥の院への階段などはなかったそうで、今の形になったのはもう少し後の事だったとあります。

室生寺へ来たらこの階段を上るべし、でも何歳まで上れるか、、、。

70歳を越えた老夫婦が階段を見上げて、上ろうかどうしようか迷っている姿が忘れられません。
奥の院への階段(2)

先に階段を上がっていたカミさんを、私が一気に追い越して上から撮った写真、、、
ではありません。

これは帰りに撮った写真で、先に下りていったカミさんを呼んで、こちらを向かせて撮りました。

雨もやんで日も射してきました。
 
位牌堂

階段を上がりきったところに位牌堂があります。
位牌堂の周りには欄干があって休憩ができるようになっています。

下を見ると木々の隙間のはるか下に室生村の家の屋根がパラパラと見えるだけです。
景観良し、絶景かな!という眺めではありません。

私はここに着いたときはかなり汗をかいてしまいました。気温は17〜8℃、心地よい風があり本当に爽やかです。
おみくじと祈願

ここを訪れた人がいろいろな祈願のためでしょうか、灯篭に小石を乗せたり、お御籤があちこちに縛りつけてあります。
私も小石を灯篭の上に投げて乗せ、祈願をしておきました。

ここまで上っている人は数人しかいません。
ゴールデンウイークだろ?こんなもんかな、、、。
静かです。
三途の川

実は室生寺には三途の川があります。
この奥の院に上がってくる途中にあって、賽の河原もあります。
階段をウンウン言いながら上がってくるので、みんな気がつきません。

これは三途の川を渡る様子を描いた絵です。
位牌堂の上に架けてあります。

極楽は左上に書かれてあり、それ以外は針の山とか血の海でみんな苦しんでいます。
この絵からいくと、どうも殆どの人は地獄に行くみたいです。
位牌堂の外観

休憩をして爽やかな風にあたり汗を乾かし、灯篭に石を載せて祈願して、えん魔様の怖い顔を書いた絵もみたし、そろそろ下りますかね〜、、、。
そうそうお賽銭もちゃんと入れましたヨ。

なお、この横には御影堂(みえどう)とか石の七重の塔とかがあります。
今まで何度も来ているのに、室生寺についてきちんと事前勉強をした事がないので、”猫に小判”、”豚に真珠”状態だったのは反省。
五重塔

これも室生寺のシンボルの一つです。
私がオハイオにいた1998年、この塔が台風で大損傷を受けたのは日本からのニュースで知っていました。
台風で大木が倒れ、それが塔を直撃したのでした。

高さは16mで野外に建つ五重塔では最小のものだそうで平安時代初頭に建てられた、室生山中最古の建築物だそうです。
団体さんです

金堂のところまで戻ってきたらやはり団体さんが来ています。
かなりの人数です。

今日は私達は10時前に室生寺に着いたので、見学客が少なかっただけだったのだと思います。

シャクナゲの季節なのにどうしてこんなに見学客が少ないのだろうと思っていたのですが、、、。、
再度五重塔

このアングルが一番有名なので、私も1枚撮ってみましたが、既に見学客が増えており人の写っていない撮影は無理でした。

何人もの人が三脚にカメラを乗せて、シャッターチャンスをジーっと狙ってみえましたが、結果はどうだったでしょうか。

これらの人の特徴はみんな退職をした65才〜70才くらいの方で、一様にかなり高価な一眼レフカメラを持っている点です。

私のように3万円のポケットカメラというのはオバサンに多く見られます。
それとオネエサン、オネエサンとオバサンの中間くらいの女性達もずいぶんいいカメラを持った人が目立ちます。

私はカメラは今のところ機動性重視でポケットカメラを愛用中です。
これは何でしょう?

弥勒道の下に谷池があり、でっかい金魚が泳いでいます。
ここでこれを発見です。

石の杭の上に置いてあります。そうです、入れ歯の一部です。
でもこんなもの、どうしてこんなところに置いていったのだろう。
いつ置いていったのか、今頃困っているんじゃないかな〜、、、、。
団体さん

弥勒道見学の行列です。
若い人は本当に稀で、殆どが70才前後の人、杖をついている人も多く見かけます。

若い人はこういう場所には来ないのか、それともそもそも若い人は外にでないのか、何だかよくわかりませんが、とにかく退職をした世代の集団です。

こういう団体さんも奥の院まであの階段を上がるのでしょうか?
室生寺本坊(1)

やはり手入れが行き届いています。一人中年の坊さんに行き交いました。
血色のいい、体格のいい坊さんでした。

室生寺が以前と違うのは600円の入場料を取るようになった事です。
これにはびっくりしました。
私が最後にここに来たのは30年前ですから、時代は変わったのですね。
室生寺本坊(2)

実は私が中学校2年生で初めて来たとき、ある伝があってここに一泊しているのです。
その時はどの辺りの部屋に泊まったのか、よく覚えていませんがこの写真の左側の方だったような記憶があります。

夕食に何を食べたのか、朝飯に何を食べたのか覚えていませんが、朝起きたら川のせせらぎが聞こえていたのも覚えています。。
ざるソバ定食

高校生になって来た時に、この橋本屋でカキ氷を食べたのを覚えています。
建物は改築されていますが、同じ位置に橋本屋はありました。

ざるソバ定食を食べてみました。注文したら2分くらいで出てきました。ざるソバにご飯をつけて申し訳程度の煮物がついて1600円!!

典型的な観光地食堂ですね、橋本屋さん。室生寺へはお弁当持参をお薦めします。
橋本屋からの眺め

この眺めもはっきりと記憶に残っています。
このお店は以前はテラスがあって、そこで食事ができるようになっていました。

そこからの眺めはなかなかよかったので、翼記憶に残っています。

でももう橋本屋には入らないぞ。1600円のざるソバ定食で、昔の淡い思い出が消えたような気分になってしまいました。
草もち屋

室生名物だそうです。
何となく1600円のざるソバ定食(まだこだわっています)では腹の納まりもよくないので、買って食べてみました。
草の香りがかなり強いもちで、スーパーなんかで売っている草もちとは全然違いました。

という訳で、別のお店で8個入りの草餅を買いました。よく見ると”賞味期限は本日限り”。
エーッ、カミさんと2人で8個全部今日中に食わなきゃいけないの〜、、、。参ったな〜、、、。
液体燃料のお土産

室生の地酒とありますが、こんな山の中ですから田んぼは殆どありません。
何をもって”室生の地酒”というのだろう。
こういう事は、私は真剣に考えます。

米はきっと我が故郷の三重県の水晶米を持ってくるのだな。
ここは山の中だから水はいいと思うのから、だからいい酒ができるのだな。

でも720mlで3500円か〜、買う人はいるのでしょうか。

自宅を出たのが8時前、バス→電車→バスで室生寺まで1時間45分ですから10時前には室生寺に着いて、自宅に帰ってきたのが3時15分、団体さんで込む前にゆっくりと見学をして奥の院まで行き、そして下りてきました。

昔も観光地ではありましたが、人がたくさん来ていたという記憶はありません。ひっそりとしていたと思います。
寺としては由緒はありましたが、観光地としては目立たない鄙びたところだったと思います。

それが30年ぶりに行ってみると少し変わっていました。
室生寺自体の佇まいは変わっていません。
変わってしまったのは商業主義的観光地になっていた点です。寺は入場料をとり、周りの商人たちは一見の観光客相手の商売にいそしむ、という雰囲気が伝わってきた事です。
少々残念です。

とは言うものの30年ぶりの室生寺、正確に言うと今回で8回目だと思うのですが、それぞれに来たときの事を思い出しながらの訪問でした。

次は弁当持って、晩秋にでも着てきますかね、なるべく人のいない時に。

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