12−02−10 信州の工場と城
今週の金曜日は長野県上田市にある部品会社で会議があり、前日の木曜日に上田まで移動をしました。
木曜日は朝から雪が舞い、気温も相当に低く寒い日でした。上田には名古屋から中央線に乗って篠ノ井まで行って長野鉄道に乗り換えます。

名古屋から篠ノ井の間の車窓からの田舎の風景は忘れかけていた昔の風景です。乗車率は20%くらいで、列車の中はガラガラです。
上田に着いたのは6時ちょっと前で、既に薄暗くなっていました。外気温は確実にマイナスで鈴鹿とは全く違う冷え込み方です。(後で聞いたところではマイナス3℃だったそうです)
ちなみにオハイオにいた頃の気温と感覚のイメージは次のようです。

0℃:こりゃ暖かい!
マイナス5℃:まあまあだね、寒くはない。いつもこれくらいだとウレシイね。
マイナス10℃:おお、冬らしい気温だ〜。冷えるゼイ。
マイナス15℃:こりゃ寒いわ
マイナス20℃以下:危険、外に出てはだめ(正式に外出禁止令が出る)


これからいくと上田の気温はオハイオでは寒いうちにはいらないのですが、ナゼか体感温度はうんと低い。

やはり日本では外を歩くことが多いし、建物の中の暖房も局所暖房なので寒く感じるのだと思います。北海道出身の人が、「内地は寒い。」、というのと同じだと思います。

そんな訳で(どんな訳?)夜は寒い上田の街の中の居酒屋へ部品会社のWさんと食事に行きました。
長野県は日本酒においしいところ、いろいろな銘酒を少しずつ賞味させて頂きました。

翌日は朝から予定どおり打ち合わせを行いました。出席されたのはTさん以下4名です。
Tさんは多分私と同じくらいか、少し年上で私の会社から9年前にここの会社に転籍をされた方です。
転籍者というのは2種類の人に分かれるのですが、元の会社の内情を逆手にとって陰険にやるひと、お互いの会社の事情を考えながら上手に調整をやってくれる人、Tさんは後者のタイプの方で大変助かりました。
打ち合わせは予定より少し早く終わったので、工場の中を見せていただくことにしました。
工場の現場というのはそこでどういうものが作られているのか、製品の特性によって一概には言えないところがありますが、よく観察するとその会社の特徴と言うか人間で言えば性格が端的に現れる場所です。

ここの工場には600人の人が働いており、上田市の中では大きな工場の一つです。この会社は昔は純粋なメカ部品を作っていたのですが、次第にメカを電子制御するための電子部品が組み込まれるようになり、ここの工程は自動機中心です。

今回はある問題があった工程を詳しく見せてもらう事にしました。
そこの工程は多くの設備に囲まれており、これをたった2人でオペーレーションをやっていました。2人とは20代の若い男性と50代前半と思われる女性の2人です。

設備に部品を投入して加工、出来上がったものを取り出して、出来映えをテスターでチェック、更に目でもチェックして記録をとって、また操作を続ける。
工程は丁度段替作業を始めたところで生産はストップしていました。段替作業とは仕様の異なる製品を生産するために設備の変更とか部品の入れ替え等をする作業です。

2人は設備の型を入れ替え、そして複雑な調整作業を5分ほどで完了しました。最後に細かい帳票にいろいろな記録を記入して、その後生産を開始しました。
この工場は2交代、一部は3交代で部品を生産しています。現場を見ると作業員の4分の1くらいは女性です。女性は特に組み立て工程に多いということでした。

しかしこの工場もいつまでこの規模で事業を続けることができるのでしょうか。既に期間従業員は全員が契約満期で退職してもらったそうで100人以上が会社を去ったとTさんは言ってました。

組立工程で見た若者と年配の女性、この2人は5年後もここにいる事ができるのでしょうか。
この工場はこういう工程が工場内にびっしりと並んでいました。製造現場というのはノウハウのカタマリで、キチンとした一定のレベル以上の人材が数多く揃っていなければ成り立ちません。

このここの何百人の人達がこれから先もすっとここで働くことができればいいのだがな〜、、、そんな事ばかりを考えながら工場の中を歩いていました。
午後の会議も3時頃に終わり、今回の出張の用件は全部済ませることができました。
帰りの電車は上田駅を4時10分です。Wさんに駅まで送って頂くついでに上田城を廻って頂く事にしました。
上田城は真田城とも言われ、真田昌幸が建てた城で関ヶ原の戦いでは西軍だったのですが、子どもの一人が徳川方に寝返ったと記憶しています。

Wさんの話によるとここは天守閣あったのかなかったのか記録ははっきりしない城だそうです。
真冬の午後の上田城は訪れる人も殆どなく、寒々としています。

この城跡には石垣もしっかりと残っており、本丸入り口門の櫓などは再建されたものが昔を偲ばせています。
城跡の広い場所には桜の木がたくさん植えられており、開花の頃に訪れたならばさぞ素晴らしい事でしょう。

時間に余裕があればもっとゆっくりと歩いてみたかったのですが、電車に乗り遅れてもまずいので15分ほどで上田城跡をあとにして駅に向かいました。

鈴鹿から上田は4時間ほどかかり、鈴鹿から東京に行くよりも時間的には遠いところです。上田から大宮までは新幹線で1時間、つまり東京までは1時間30分で行けます。

私は長野県というところ自体あまり旅をしたことがなく、割と馴染みのうすいところのひとつです。でも今度来るときは仕事ではなく、桜のシーズンにのんびりとブラリ旅で来たいところです。
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