12−01−14 初めての静岡
会社の方は世の中の変化に揉まれて四苦八苦しているものの生産も軌道に乗ってきており、当面の間の様々な事情により現場社員の大幅な補強が必要な状況になってきました。
こういう場合は期間従業員を採用して対応をするのが一般的で、我が社もこの例に洩れず期間従業員の採用をスタートしました。

期間授業員の募集は新聞、インターネット、就職情報誌などを通じて全国規模で行われます。
採用の説明会と面接は各地で何度にも分けて行われ、私はこの期間従業員採用の面接をするために静岡市にやってきました。

今週は火曜日から栃木に出張をしており、静岡には宇都宮からの到着です。
今まで静岡は新幹線に乗っての通過地点で、降りるのは今回が初めてです。結構大きな町です。

ホテルまで歩こうかと思いましたが夜になっているし、エイ面倒くさい、という事でタクシーに乗りました。

ホテルは飲み屋街の端っこにありました。チェックインをしてキーを受け取り部屋に入ると、何とそこは喫煙の部屋。

オレも8年前までこういう部屋で煙とヤニに浸っていたのだな〜、と一瞬感無量になりましたがこの臭いでは泊まることができません。

フロントに電話をかけるとマネージャーがすっ飛んできて、禁煙の部屋まで案内をしてくれました。
別にマネージャーに大クレームをつけた訳ではないのですが、今度はダブルのでっかい部屋でした。

荷物を置いて、さてどこか居酒屋で食事でもすっか〜、と外に出ると今からご出勤の夜の蝶とすれ違います。
蝶は2匹、3匹連れでみんな蝶語(東南アジア系外国語)を喋っています。今夜は残念ながら昆虫採集のタモ網も持ってないので蝶はそのまま放置して、目に入った一軒の居酒屋に入りました。

引き戸を引いて中を見ると誰もいません。いるのは店のアンちゃん一人だけ。このまま入るのか、出ようか一瞬迷いましたが、他を探すのも面倒なのでカウンター席に腰を落ち着けることにしました。

アンちゃんは静岡生まれの静岡育ちだそうで、割りと気さくな男で、一杯やりながら静岡の事などをいろいろと聞くことができました。
店には多くの同級生がいつも飲みに来るてくれると言っていました。

でも最近、サラリーマンになった友人達と商売をやっている自分との間に段々と考え方の違いなどが出てきて、いろいろと悩んだり不満に思ったりする事が多くなったと言っていました。

曰く、サラリーマンは甘い!、特に公務員になった連中は給料に見合った仕事をしているとは思えない!、etc。
そうだ!!公務員なんて4分の1にしてしまえ!!残りの4分の3は失業対策で雇っているみたいなもんだろ!それだったら警察と自衛隊と教員とヘルパーを増やせ!!! と、かなり過激な意見が飛び交いました。

そんな話をしてお茶漬けで〆ておひらきとしました。しかしこの店、注文して出されたつまみがイマイチ。
私は食い物は見た目、質、量の3つの観点で採点をしますが、全部並以下で不合格。
私はこの3要素を<並上:2点、並;1点、並以下;0点>として合格が3点以上を合格、というのが基準です。
今夜のお店で合格は、”冷や奴”だけでした。
翌日は昨夜遅く到着したTさんとホテル近所の貸しビルに向かいます。
8階と9階の2つの大きな会議室を確認、予め総務が宅急便で送ってある"期間従業員採用説明会・面接七つ道具"を確認して説明会場と面接会場の準備をします。

7つ道具はいろいろな書類、筆記用具など必要なものが入っており、これらを並べたりテーブル・椅子の配列を変えたり約30分で準備完了です。
説明会の開始時間は午前が10時、午後が1時になっており、9時40分くらいから少しずつ採用希望者集まってきました。

10時きっかりに説明会を開始、まず仕事の内容・待遇・その他かなり細かい説明を約30分くらいかけて行い、その後適性検査をやって最後に面接を行います。

これらの仕事を私とTさんの2人で行いましたが、スムーズに整然と行う事ができました。
採用希望者の方達は実に様々で年令も若い人は23才、年配の人は50才という方もみえました。

面接ではこちらが確認をしておきたい幾つかの内容にについて3分の2くらいの時間を費やし、残りは採用希望者の方々の質問等に答えるという方法をとりました。

期間従業員なので契約の期間は決まっている訳ですが、何人かの方は長く勤めたいということを口にされました。
働く意志のない人が急増している世の中、いずれにせよここに来ている人達は明確に働く意思を持っている人達なのだ、何とか合格してもらいたい、私はそういう気持ちで面接を行いました。

世の中にはいろいろな人がいて、1年とか2年働いてその後失業保険を受けて海外(特に東南アジア方面)をバックパック・ツアーして、お金がなくなったらまた少しだけ働くという人も多く、私もそういう(オッサンに近い)若者を何人か知っています。

それはそれで人生の選択の一つでしょう。
しかしこういうやり方は、「人は継続的かつある年令までは”働く”という行為を通じて自分を成長させ、社会との係わりを深めていかなくてはならない。」、という、私が信じて疑わない考え方に反します。

今回の採用説明会・面接にみえた方の履歴書の中には、バックパッカーみたいな事をやっている事を示すものは1枚もありませんでした。何だかほっとしました。
静岡市と言えば徳川家康の居城である駿府城あったところです。駿府城跡は面接会場のビルから歩いて10分程度なので昼休みを利用して訪れてみました。
駿府城跡は公園になっており、内堀は完全に埋め立てされて跡形もなくなっていますが、中堀は完璧に残っています。冬の平日という事もあって広い公園内に人影は疎らです。

本丸跡には立派な家康の銅像もあります。
ちょっと気になったのが家康像の横にあった、"家康公お手植えのみかん"なる大きなみかんの木です。

「みかんの木ってこんなに長生きするんだっけ?これホンマかいな?」、と一緒に行ったTさんと訝しく感想を述べましたが、ま、静岡市民の気に障って袋だたきになってもイヤなので、静かに眺めてきました。

無事1日目の面接も終わり、ホテルに引き揚げてTさんが昨夜見つけたという居酒屋に行って反省会をやります。
小さな小さな居酒屋ですが、まあまあのツマミを出してくれました。
でもTさんはナゼこういう店を探し出すのがうまいんだろう?これだけは彼には勝てません。

居酒屋で一杯やったあとは、さてどうするか、、、軽く2次会に行きますか、という事で静岡市の夜の町の探検を少しだけ続けたのでありました。

翌日の土曜日、2日目の説明会・面接も1日目と同様に無事終わりました。
借りていた部屋のテーブルとかイズ、それに演台を元のレイアウトに戻し、管理事務所の受付のオバサンに面接七つ道具"の入った箱を渡して宅急便で送ってもらうよう依頼して全て終わりです。

一緒に行ったTさんは、居酒屋を探すのが得意なだけではなく、出張先にはどういう有名なものがあるかなどきちんと調べるのも得意なようで、新幹線に乗る前に一緒に買い物をしていく事になりました。

私もTさんの後について伊勢丹デパートの地下に行って、桜エビのかき揚げ、それにわさび漬けを買いました。

わさび漬けの老舗は"田丸屋"だそうで、この出店が伊勢丹のデパートの地下にあったのでここで買ったのですが、静岡駅に行く途中で本店の横を通ったので、ここにも入ってみました。

わさびの入ったチョコレートとか、いわさびの入った煎餅とか、私はここでわさびの粉末を買いました。焼酎のお湯割りに入れると旨い、という事でしたので。

最初の予定ではこの日の夜は三島に行って、昔一緒に仕事をしたNMさんと会う予定だったのですが、どうしても帰らなくてはならない用事があったのでお会いできず残念でした。

いつもはR&Dとか取引先とややこしい打ち合わせをするための出張ですが、今回の仕事は私にとっては異色の仕事であり、別な緊張をした2日間でした。
説明会・面接に来てくれた方が一人でも多く、我が社の工場で働いてくれればこれ以上の喜びはありません。
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