11−10−02 思い出の映画
最近読んで面白かった本です

スーチー女史は善人か: 高山正之(新潮文庫) ★★★★☆

私はオハイオ在住の14年間、週刊新潮を購読していた。高山正之氏は週刊新潮の最後のページに連載されている"変見自在"というコラムを担当しているジャーナリストである。
このコラムの1年分を一冊の文庫本にまとめたものである。書いてある事は辛辣である。国際関係、日本の立場、我々の歴史がいかにねじ曲げられて伝わっているか、思い知らされる。

これは本当か?と思えるような事が山ほど書いてある。でも調べると、書かれている事は全部事実である。
例えばオーストラリアはいかに卑劣か、アポリジニの虐殺、首相が主導する反捕鯨、薄々は何かおかしいな〜、と思っていた事をズバリ明かしてくれる。
実はウソの情報を流しているのは、何かの強い意図を持った新聞である、と著者は断定している。

老後の生活破綻: 西垣千春(中公新書) ★★☆☆☆

仕事の現役から退きいわゆる老後の生活を始めるとそれまでとは違った様々なリスクに晒される。高齢者がどのように生活を破綻させてゆくのか、豊富な具体的な事例から解説している。
筆者は幸福のキーワードは"健康・家族・収入"であると書いており、この3つが密接に関連している事がこの本を読むとよくわかる。

健康がだんだん損なわれ、人とのつき合いが減っていく。どれをとっても自分の将来で起きないという保証はない。
前半の2/3は生活破綻の事例とリスクについて非常にリアルに書かれているが、ではどうすればこういう問題を未然に防ぐのか?という後半はちょっと一般論的過ぎる。

短期的、長期的に分けて家族・社会・行政がどうすればいいのか、もう少し大胆な意見が欲しいところである。
最後は何となく尻すぼみの感じがしないでもない本であるが、前半だけでも読む価値は十分にある。
決断できない日本: ケビン・メア著(文春新書) ★★★☆☆

筆者は今年の3月「沖縄はゆすりの名人」などの報道で更迭、辞職したアメリカ国務省の高官である。
国務省勤務30年近くの中で19年を日本で過ごし、日本人の女性と結婚している。
一度テレビの討論番組で見たことがあるが、ほぼ完璧な日本語をしゃべる非常に頭の回転の速い男、という印象があった。

駐日公使、沖縄総領事、国務省の日本部長などを歴任、日本の過去の経緯と現実を知り尽くしている、数少ないアメリカ人である。

東日本大震災では日本支援のアメリカ側のコーディネータをやっており、日本政府をアメリカ側から見た記述は興味深い。

今回の被害は日本政府というか、菅内閣の人災である事がよくわかる。
菅総理の決断が遅れた、というより情報を持っていなかった、というあたりは必読。

「沖縄はゆすりの名人」、は共同通信の石川という記者と猿田という社民党系の策略にかかったというのが事実のようである。

日本政府の対応は同盟国アメリカより民主党に配慮、という一文は大いに考えさせられる。

幕末単身赴任"下級武士の食日記": 青木直己著(生活人新書) ★★★☆☆

万延元年(1860年)、紀州藩の勤番侍であった酒井伴四郎が残した記録を元に何をいつ食べたのか、驚くしかない詳細な内容で書かれている。
P114には伴四郎が何を幾らで何回買ったのか詳しい表があり、一文を幾らで計算すればいいのか、20円くらいとすると今とあまり変わらない感じである

伴四郎は武士であるが、"大いに厨房に入って"こまめに自炊をやっている。煮物を作るがいつも上司の叔父に食べられて憤慨していたが何も言えなかった、というあたり興味深い。
自炊と外食は大体半々くらいの感じで、外食の時は昼食の時からお酒を結構飲んでいる。

伴四郎の江戸詰手当は年間39両(現在価値で400万円くらい?)、これ以外に米を現物支給されていたが、結構生活は切りつめていたようである。

江戸詰の勤務についても記述があり、1月の勤務日は6日〜10日くらい、勤務時間は午前中だけという勤務体系であった。これは東京江戸博物館でもそのような記録を見た事がある。
羨まし〜い!!
ずっと前からある見たい映画がありました。でも題名がわかりませんでしたが、ストーリーはよく覚えていました。
火の作り方を知らない時代の類人猿の話です。

この類人猿のある部族が別の部族に襲われ火を失ってしまい、その中の若い類人猿3人(匹?)が火を探す旅に出る、という単純な話ですが、私にとっては強烈な印象に残っている映画の一つなのです。

その理由は、この映画を見たのは30年近く前の、会社に入って間もなくの頃、始めての海外出張先のベルギーのブリュッセルの映画館で見たからです。
初めてのヨーロッパまでの旅、強烈な印象でした。成田からアンカレッジ、アンカレッジ空港、アンカレッジ空港からフランスはパリのドゴール空港、そしてベルギーのブリュッセル、長い旅でした。

この出張はベルギーを拠点に10カ国を回って市場調査を行うというもので、最初に着いたブリュッセルで3日目だったか4日目に見た映画でした。
ずっと気になっていたこの映画、とうとう見つける事ができました。

題名は「人類創世」、フランス・カナダ合作で1981年に制作されたものでした。いろいろ調べると結構有名な映画で受賞もされているようです。

題名も監督も俳優名も作られた国も何にもわからない映画でも、覚えていたストーリーだけで探すことができたのはやはりインターネットのお陰でしょうか。

私がブリュッセルに到着したのは1982年の2月3日、ですから封切り後間もないこの映画をブリュッセルで観たのでした。
ネットショップで注文したDVDは3日程で自宅に届けられました。早速鑑賞をしてみました。
30年前に観た映画ですが、細かい部分までよく覚えている事に自分でもびっくりしました。

3ヶ月ちょっとで訪れた国はベルギー、オランダ、フランス、ドイツ、スイス、イギリス、スエーデン、ノルウエー、デンマーク、それにフィンランドの10カ国でした。

ベルギーからオランダ、ドイツを抜けてデンマークまでアウトバーンを自分で車を運転しての旅。ベルギーからオランダまで夕食を食べに行ったり、スエーデンのレストランのバーで若い女の子からタバコ1本をねだられたり、いろいろな事がありました。

最近、思い出に耽ける事が多くなったな〜、、、。
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