11−09−22 天気予報の不思議
野田首相が東京都大田区の小さな工場群を視察して、これらの工場の経営者がいかに苦労しているかを聞いて廻ったそうです。
この視察の大きな背景は現在1ドル75円近くまで進んだ円高のせいで、3000とも言われる大田区の零細企業の経営が行き詰まりつつあり、生き残り策が海外進出であるということだったそうです。

野田首相は視察を終えて代表の経営者達とか記者に対して、「政府としては皆さんの海外進出に関して、資金援助を中心とする支援を惜しまない。」、と言ったそうです。
これを聞いて日本の製造業も終わったと思いました。

なぜ、「皆さんがこの大田区で物を造り続ける事ができるよう、あらゆる施策をとっていきたい。」、と言わなかったのでしょうか。
今の海外進出は円高のせいで日本からの輸出が成り立たないので、生き残りのために止むを得ず行おうとしているのであって、決して健全な理由(事業拡大など)ではありません。

政府もマスコミも大きな勘違いをしていると思われる点は、これらの零細企業の客は誰か?というところです。
これらの零細企業の多くは最終製品を生産しているのではなく、製品を構成する部品、または生産設備の部品などが殆どなのです。客は製品とか設備を作る会社、多くの場合は日本の大企業なのです。

つまりこれらの大企業が日本に見切りをつけて海外に出ていった、あるいはこれから出ていくので取引の形態が”輸出”になっているからなのです。
ですから大田区3000の零細企業を救うのは、これ以上お客様である大企業が海外に出ていくのを阻止するのが対策ではないかと思います。
大田区3000の零細企業が海外に出ていけば事業は縮小され、結局は従業員が失業して家族と共に路頭に迷うのは、当然の結果です。

製造業の多くは親会社、子会社、孫会社と連結をしながらピラミッドを形成して成り立っています。子会社・孫会社を元気にするには、頂点にある親会社を元気にするのが唯一無二の方法だと思っているのですが、、、。
最近の天気予報ですが、短期予報はともかく中期・長期予報が以前に比べて外れる事が多いような気がします。
私にとって以前とは15年以上前になりますが、その頃と今を比較してどれくらい当たってどれくらい外れたか、具体的な比較データーで言っている訳ではありませんが、体感として感じるのです。

気象庁はこういった中期・長期予報に関して外れた場合の理由については言及しません。それよりも、ああなってこうなったという、結果の解説は延々とやります。(これは地震の予報についても同じ。)
これを聞いて、ナルホド〜そうなのか〜、と感心して予報が外れた事は忘れてしまいます。

北半球では天気は西から東に変わります。つまり西のお天気が東に伝わってくるので、短期予報の基本は西のお天気の観測にあると言えます。

アメリカの中西部の天気予報は非常によく当たりました。コロンバスのお天気はシンシナティー、フォートウエイン、インディアナポリスの天気がそのままきちんとあるスピードで移ってくる感じでした。
ですから天気予報はかなりしつこくレーダーによる雲の動きを解説していました。

アメリカの中西部は大した山がなく、べたっとした平地なのでお天気は偏西風によって西から東に割りと素直に流れます。これに対して日本は中国のお天気がそのまま移ってくるかと言えばそうではありません。
中国と日本の間には日本海と言う海があってここの温度差などが気象の変化に大きく影響をします。大陸の端には朝鮮半島もあったりしてもっと複雑な温度分布になります。

更に日本列島は中央に背骨のように高い山脈が走っており、これに大気がぶつかって様々に変化をします。
従って西のお天気を観測してその変化のスピードを測っているだけでは日本列島の天気予報はできないのです。気象庁によると日本は短期予報も非常に難しいころだそうです。

今から50年以上前の日本の短期天気予報は今よりずっとずっと当たらなかった。それには理由がありました。
日本の西、つまり中国本土からの気象データーが正しく入手できていなかったからです。(中国各地の観測所が定時に観測結果を送っていなかった。)

日本列島の天気予報は日本海があって朝鮮半島があって、列島には高い山脈があって元々非常に難しいのですが、さらに西の中国大陸の気象観測データーもうまく入手できないとなると予報なんてバクチみたいになってしまう。

こういう状態が1945年以降1965年頃まで続いたので、この間の予報は外れが多かったそうです。
その後中国各地からの気象データーが入手できるようになって、予報の精度は大きく上がりました。
では中期・長期予報はどうやって行うのか。それは過去半年以上の地球規模(日本の場合主として北半球)の様々な観測データーを集めそれを過去の結果と照合して先を読むという作業をするそうです。
つまり今年の観測データの変化は例えば1970年のこの時と類似しているので結果も1970年と類似する、という簡単に言えばそういう作業をするそうです。

この作業の精度向上に貢献したのはコンピューターの発達と衛星からの観測データーの2つでした。
過去の観測データーと今の観測データーから将来の変化を確率で求める作業なので、このシュミレーションを何万何十万回も瞬時にできるコンピューターの導入は気象予報の精度を格段に上げました。
鈴鹿バルーンフェスティバル
気象観測データー処理にはその時点の最高性能の(スーパー)コンピューターを使うので、かつて中国が日本のコンピューターメーカーに天気予報に使うということで、最高性能のコンピューターの発注を行ないました。

ところが中国はこのコンピューターを天気予報ではなくミサイルの弾道計算に使ったのではないか、ということで問題になったりしました

いずれにせよコンピューターの発達が天気予報を大きく進歩させたのでした。

さて本題のナゼ天気予報が最近かくもよく外れるのはナゼか、に戻ります。
気象庁は豊富な気象観測データー、衛生写真、スーパーコンピューターを持ちながら最近はなぜこんなにとんちんかんな予報をしてしまうのか。

理由は簡単です。それは最近の気象の動きが過去のパターにあてはまらない動きになっているからだと思います。
天気予報とはあくまで過去のパターンから将来を予測する作業なので、予測の精度がどんどん下がっていくのは、最近の天気の動きが過去のパターンに当てはまらないだけだと思います。

ではナゼ最近のお天気の動きは過去のパターンから外れてきているのか、これが疑問を解くキーであると思えてきました。実はこの理由、ある事象から思い当たるフシがありますので、少し整理をしたいと思っています。

最近夜中にウイスキーをチビチビ舐めながら、また朝の3時とか4時に起き出して、コーヒーを飲みながらこういうパズルを解くためにいろいろと調べものをするのが楽しみになっています。
専門家先生から言わせれば、笑止千万なお遊びをやっているのはわかっているのですけど、何せ凝り性なものですから。
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