11−07−18 液体燃料注入の肴
1週間の仕事始まりが土曜日、仕事終わりが水曜日という変則勤務になって3週間、やはり慣れません。
今週は久し振りに栃木出張でした。
仕事はある取引先とのエンドレスの会議、既に3週間ほどあれこれやっているのですがなかなか思うように進まないので、関係者を会議室に缶詰にして一気にケリをつけようという魂胆でした。

この取引先の方々、6人も7人も出席されるのですが、実際に知恵を出して私の指示に対応してくれるのは2名だけで、後の4〜5人は打ち合わせ見守っているだけというかなりイラついた会議でしたが、3日目の昼頃には何とか目標としていたレベルでの結論を得る事ができました。

オハイオにいたときは取引先とこういう長時間の検討会議はよくやったのですが、日本に帰ってからは初めてでした。
ちょっと気の毒だったのはこの取引先の勤務カレンダーは土日曜日が休みの従来のもの、ですから我々が休む木・金曜日は仕事で、この方々の本来の休みの土・日曜日は我々に合わせて出勤をされているので何名かの方はここ3週間は休みがうまくとれていないと仰ってみえました。

会議は1日目は私の会社の会議室、2日目と3日目はこの取引先の会議室を使ってやりましたが、どちらも節電によって冷房温度の設定は28℃。
冷房の28℃設定というのは暑いという訳ではありませんが、湿気がかなり残った状態で快適には程遠いものです。これからの日本の夏はこれが当たり前になるのですね。
土曜日の朝、駅前からバスに乗ると白人が3人、よくみるとオハイオ人のBMさんのグループ。昨日日本に着いて2週間の滞在予定とのこと。
BMさんは非常に優秀なエンジニアでオハイオにいたときは私の部門でよく仕事をやってくれました。
20年近く前に2年ほど日本に駐在の経験もあり日本語をかなり理解し他の日本人とは日本語で話をする事もあったそうですが、ナゼか私の前では日本語を使いませんでした。理由は未だもって不明です。

あとの2人のオハイオ人は一人は顔はよく覚えているのですが名前を思い出せず、もう一人は初めてみる顔ですからどこか他の部署からの来たのでしょう。
会社に着くまでの間の30分ちょっと、久し振りに英語で会話をしましたが、オハイオにいた時と同じレベルで聞いて話すことができました。何だかホッとしてしまいました。

こんどは翌日の夕方取引先の事務所のあるビルの前で何とSGさんとばったり。SGさんとはオハイオで隣の家に住んでいた日本人で6年ほどお隣さんの方です。
このビルにはいろいろな会社が入っており、SGさんも取引先に用事があって見えていたようです。

SGさんの思い出はカミさんが日本に行っていた時、新聞を取りに行って私がロックアウトされたとき、助けてもらった事です。
それにお互いに長期で家を空けるときなどはポストに溜まった郵便物を保管したり、SGさんには芝生を刈ってもらった事もありました。お互いにこんなところでばったり会うなんて、本当にびっくりでした。

SGさんが訪れた取引先は私もオハイオでは何度もデトロイトまで出張して仕事をした会社で、その時に一緒に仕事をしたSWさんにも会い、二度びっくり。
SWさんは私とほぼ同時に日本に帰国された方でした。

この日のアフターファイブは同じ会社のYHさんと食事をしました。YHさんは入社して5年目くらいの時からの付き合いですから25年以上、イエ、30年近くと言った方がいいかも知れません。年令は私より幾つも若い人です。
YHさんはヨーロッパに2回の駐在経験があり、2回目の駐在からの帰国は私と同じ時期でした。

本社にいた20年以上前、部門は違ったのですが同じ仕事でオハイオに出張した事もありました。1回目の駐在が終わって課長になったYHさんは何度もオハイオにも来たり、私が日本に出張をした時は会って食事をしたり、ずっと付き合いが続いていました。
YHさんはドイツとイギリスに駐在していたのですが、英語だけではなくドイツ語も使えヨーロッパ中を車で旅行をしておりいろいろと見識も広く、いつ会っても時の経つのも忘れてつい飲み過ぎてしまいます。
日本以外の国で何年も過ごすと日本を客観的に見るのが容易になります。いわゆる「日本の常識は世界の非常識」、みたいなところも具体的に体験できます。

しかし日本の事をあまり知らない、だから外国に住んで日常体験する事から日本を見る事ができない、あるいは比較しようにも比較のしようがない、というタイプの人を私の周りでも時々見掛けます。

YHさんと話をしているとYHさんはこの比較をすべき元ネタをきっちりと持っているのがよくわかります。
ですからドイツの事もイギリスの事も、その他ヨーロッパの国の事も深いところできちんと分析ができています。比較する元ネタを持たなければ外国に10年いても20年いても日本は見えないし、結局はその国も見えません。

何かを見たり自分が経験したりしても、「ああこんな事があったな〜。」、だけで終わることになります。
例えば日本には言えるような「格差」なんか存在しない事とか、日本の衰退のネタは実は65年前に仕込まれた事とか、実は日本は既に半分くらい社会主義国になっている事とか、そう言った社会的な事も見えるようになってきます。

そしてこのタイプの人は外国の事を知っている、というよりむしろ日本の事を驚くほどよく知っている、というのが共通点です。みんな元ネタをしっかりさせるための努力をしています。
(当然それぞれ得意な元ネタのジャンルがありますが。)

私が会社の中で仕事以外で付き合いをしている人は、YHさんのようなタイプが多いのは事実です。液体燃料を注入しながら仕事のグチとか会社のうわさ話に終始するなんて、楽しくも何ともない。
やはり仕事を離れても共通の話題があって、お互いに切磋琢磨できる人は大切にしたいものです。

さて今度はYHさんと何を肴に一杯やるかな〜、、、話題を整理しておかなくては、、、。
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