11−01−28 やってきました台北に
台北行きのJAL821便は中部セントレア空港を予定どおり0950に出発、3時間ちょっとで台北に着きます。あっという間のフライトです。この飛行機にはビジネスシートが12席あったのですが、ビジネス客は私達2人だけ。

「今日は貸し切りです。どうぞごゆっくり。」
パーサーがにっこり。確かにカーテンでギャレーを仕切ってしまうと誰もいない、プライベートジェットのような、ちょっとリッチな気分のフライトでした。

到着した空港は桃園空港、大変きれいな空港で台北から45kmほどのところにあります。
簡単な入国審査を終え、貨物室預けの荷物を受け取ります。

通関を出たところに私の名前を書いた大きな札を持った人がいました。この人がホテルまでのリムジンに案内してくれました。予定どおりです。

リムジンは大型のベンツ、なかなかの乗り心地です。
道路は一部混んでいましたが45分ほどでホテルに到着です。

チェックインを済ませたところで、STさんご夫妻が突然現れてびっくり。

そうです、今日の午後にお会いして少しだけ付近を案内して頂くことになっている20年来の知人のSTさんです。
STさんはあと少しで70才だったと思うのですが、かつては東南アジアに住んで貿易関連の仕事をやっており、奥様は中国系のインドネシア人です。住まいは埼玉県川越市で、成人したお子さんが2人みえます。

部屋に荷物を置いて2Fの談話コーナーでひとまず乾杯。STさんご夫妻は土曜日からはバンコックに行って、2ヶ月ほど滞在する予定で、その前に奥様の親戚のみえる板橋市(台北の隣)に滞在しているのでした。
先ずはSTさんと奥様から気を付けなくてはいけない事などのレクチャーを受けました。

「屋台で何かを食べるのは初日はダメですよ。残りの3日間パーになる恐れがありますから。」
「親日的な国ですが、何があっても全然おかしくはありませんから、身の回りは注意して下さい。」
「日本人がよく行く土産物屋では買い物はしてはいけませんよ。あれば泥棒と同じような値段ですから。」


市内の移動はMRT(Mass Rapid Transit :旅行の本には都市鉄道と書いてある)が便利で安いとの事、後で乗り方を教えます、ということで早速近所をブラリと回ってみることにしました。
お天気は曇り、気温は15度くらいでSTさんは寒い寒いと言って首にはマフラーまで巻いています。
風が少しあり暖かくはありませんが、でも日本のような刺すような寒さというか冷たさは全くありませんので、非常に快適です。

先ず三越に入ってみました。入り口でパイナップルケーキの販売をやっており、試食をしてみました。パイナップルケーキと言えば台湾、台湾と言えばパイナップルケーキと言われるくらい有名なお菓子です。
STさんの奥さん、しばし売り子のオバサンとあれこれやって、
「これダメ、甘すぎる。」

東南アジア一帯は2月3日から春節、つまりお正月で台北もどこへ行ってもお正月のお飾りで満ちあふれています。
地下の食料品売り場に入ってみました。
日系のデパートなので、日本の食材もたくさん売っています。新巻鮭なんかが置いてあってちょっとびっくりです。

デパートを出て町の中をブラブラ。表通りは面白くないと言うことでちょっと裏通りに入ってみます。
今まで近代的な通りで、日本の都会と変わらない風景が一変して”台北”に変わります。私はこの風景が一発で気に入ってしまいました。

小さな市場があったのでここにも入ってみます。
STさんの奥様は4カ国語くらいしゃべり、もちろん中国語は母国語ですからいろんな人にいろんな事を聞いて、それを教えてくれます。
それと台湾の人は、片言の日本語をしゃべる人が結構います。

「こんにちは。これいかが?」、物売りの人から声をかけられます。不思議なのは私が何もしゃべらないのに、相手の台湾人から日本語で声をかけられる事です。
STさんに理由を聞いてみました。

「その人の頷き方、しぐさ、服装など、雰囲気で一発で日本人はわかります。」

それと台湾人にとっての日本語についても聞いてみました。

「台湾の人が日本語をしゃべるのは、生活する上で日本語が必要だからです。

それに台湾の人にとっての日本語は、自分が持っている言葉の幅の中から日本語に必要なものを選ぶ、というイメージです。

日本語はその幅が非常に狭く、持っているものの中から”選ぶ”というのではなく、新しく異質なものを染み込ませるという作業が必要になります。
ですから日本人は外国語を身に付けるのが非常に難しいのです。」


そんな話をしながら歩いているとお腹が減ってきました。時間も5時ちょっとを過ぎました。
さてどこかおいしいものを食べさせるところはないか、STさんの奥さんがあちこちの人に聞きますが帯に短し、襷に長しなのでしょうか、なかなか決まりません。

奥さんとうとう街頭に立ってパトロールしている若いお巡りさんにも聞いてみたのですがお巡りさん、難しい顔してやっぱり「よくわかんない」、という返事のようです。

そんななかやっと雑貨屋の若いお兄さんが人気のある食堂を教えてくれました。「これ、別な人も何かイイかも、って言っていた。」、とSTさんの奥さんが言います。さっそくそこを探して行ってみました。

路地を入ってやっと見つけたのは私の目にはどうしても仮設にしか見えない食堂。「ここは今日は止めましょう。もうちょっといろいろとわかってからですね。」、という事でパスをしました。

STさんもいろいろと気を遣ってくれました。アリガトウございます。
という訳でこの日はMRT台北駅近くの、バスセンターの地下のレストランで食事をしました。
この建物は日本の一流デパートよりも立派な、きれいなものでした。

入ったのはマレーシアレストラン、マズマズの味でした。
STさんはビールを飲むとほとんど食べない方なので、料理は3人であれこれ言いながら頂きました。

ウエイターの気がきかないのを見て、STさんの奥さんが、「次にここに来た時は、経営者変わってるね、きっと。」、と言ったのには思わず大笑い。
STさんの奥さんの言い回しは、いつもユーモアーを含んでいるので聞いていて楽しいかったです。

そんな訳で食事を終えてホテルに帰ることにしました。
MRTの台北駅まで歩いていく途中、何かの宣伝で物を配っている若い男性からも私は何もしゃべっていないのに日本語で、「これ如何ですか?」、と声をかけられました。
やはり日本人とわかるのですね、私は。

ここでMRTの乗り方をSTさんに教えてもらいました。要するに行き先までのお金を自動発券機に入れてトークンを買うのです。

MRTの車両は日本の電車より清潔で幅が広いのが特徴だと思いました。これは車輪の幅が日本は狭軌なのに対し、台湾のそれは広軌(又は標準)だからでしょう。

ホテルに帰ったのが8時ちっと、台湾の旅はSTさんご夫妻のお陰で順調にスタートを切ることができました。
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