09−02−12 苦労します

昨年の後半から世の中の景気が本格的におかしくなって、経済が異常事態になっています。私の属する業界も坂道を転げ落ちるボールのように業績が悪化して、対応が追いつかない状態です。
新聞を読むと全ての産業がダメージを受けつつあり、特に製造業は減産、事業所整理・閉鎖、人員整理、給与カット、という文字が頻繁に目に飛び込んできます。

このような中、どこの企業でも真っ先に指示が出るのが“経費削減”です。経費とはビジネスを行っていく上に必要な付帯費用、という解釈でいいと思います。
その中でも真っ先に手をつけられるのが国内外出張に関する経費削減です。

私の会社は日本企業の現地法人で、日本との関りは当然の事ながら緊密です。
従ってオハイオから日本への出張、日本からオハイオへの出張も頻繁です。日本への出張は飛行機代だけで1回4000ドル以上、これにホテル代とかいろいろな費用を加えると結構な費用になります。

出張を必要最小限にして、費用の削減をするという方針はどの会社も共通で、今のような状況の場合は当然の施策と言えます。
出張を制限してもビジネスは継続しなくてはなりません。生産部門は別として、それ以外の部門の仕事量というのは急には変化する事はないのが普通ですから、出張の代わりの手段を講じなくてはなりません。

この場合代わりの手段として先ず頭に浮かぶのがメール、電話、TV会議の活用という3本柱になります。

3本柱の中で活用が拡大されるのがTV会議です。メールと電話は普段から駆使しており、更に活用拡大と言われてももうそんな余地はあまりありません。
もう一つのTV会議は、相手の顔、会議室を画面に映し出して、会話はマイクとスピーカーを通じて行うというもので、原理としては全く簡単なものです。

TV会議は今までも普段からちょくちょく使っています。相手は主として日本ですが、北米の各現地法人間でも使っています。TV会議は一対一だけではなく複数の拠点間でも行う事ができます。
単純に考えると、実際に人が集まって会議をやるのと殆ど変わらない環境が提供されるので、こんな便利なものはない、という事になります。
ところが使ってみるとやはり違います。

経験で言うと繋ぐ拠点は3箇所を超えないこと、出席者はそれぞれの拠点で3人以下(オブザーバーは含まない)で言語は一つ(英語のみ、又は日本語のみ)の場合は、顔を会わせて会議をやるのとそんなに大きな違いを感じません。
ところが拠点数・出席者数・言語数が上記の目安を超えると、増えた比率の掛け算の逆数で効率が低下していき、ある限界を超えると何をやっているのか、殆ど意味をなさなくなってしまいます。

今週の水曜日にやったTV会議はなかなかのものでした。
会議の規模はオハイオ、カルフォルニア、日本の3拠点、参加人数はオハイオが4人、カルフォルニアが5人、日本が8人以上、言語は英語と日本語のミックスでしかも通訳入り、そして時間は2時間。

日本人同士の日本語、日本人の英語とアメリカ人の英語、それに通訳の日本語と英語が入り混じって、それがそれぞれの拠点の一つのマイクと一つのスピーカーを通してワイワイやった訳ですから、イヤ〜、久し振りに頭がクラクラしました。この日の障害は言葉だったような気がしました。
2時間が過ぎたところでカルフォルニアからの、「あと本日議論しておきたい事は他にありますか?」、という声に全員、「、、、、、」。

無言だったのは私が思うに、時間が終了予定時刻になったという以外に、TV会議独特のもどかしさにみんなフラストレーションがうんと溜まってしまい、本当はもうちょっと議論したい事があったのですが、「今日はここまで。一旦締めようぜ。」、みたいな気持ちが働いたのではないかと思います。

会議が終わった時、オハイオは夜中の10時半、カルフォルニアは夜の7時半、日本はお昼の12時半。オハイオはいつも時差の関係で他の拠点にくらべて、結構遅い時間帯になってしまいます。
いずれにせよ、TV会議はこれから頻度が増えそうな感じです。

ところで上の娘のハワイでの結婚式に行ってから3週間が経つのですが、未だにアメリカ人から、「SHIN、ハワイに行ったのだって?娘さんが結婚したのだって?」、と言われます。

ハワイに行った事のあるオハイオ人もちょくちょくいて彼らは必ず、「どの島に行きましたか?」、と聞きます。
TMさんによると、「オアフは東京と同じで、あそこはハワイじゃない。やはりマウイ島とかハワイ島に行ってのんびりと過ごすのがハワイです。」、という言い方をしました。

別のオハイオ人のSAさんもホノルルは、「パールハーバーを見るために1泊でたくさん。」、と言いました。話を聞いているとオアフに行ったオハイオ人はパールハーバーに行くのは必須のようでした。

今日はオハイオ人のTGさんに同じように、「ハワイに行ったの?」、と言われたので、「TGさん、ハワイはいいところだよ、是非行く事を薦めるよ。」、と応えておきました。
そしたら、「今子ども3人が大学に行って、今年はもう1人行くから4人になります。私がどういうシチュエーションなのかわかるでしょ?」、と笑って言いました。

下の娘がオハイオから日本に帰る時、TGさんの新しい家を見せてもらうために娘とおじゃましたのが2000年2月だったか3月。
多分今年大学に入るというのは一番下の、あの時小学生だった男の子に違いありません。

TGさんの家は12000坪の土地に新しく建てられており、入り口の郵便ポストと家が100M以上離れており、雪とか雨が降ると新聞とか郵便を取りに行くのに車で行く、と言っていました。コロンバスから車で40分くらいの場所でもこのような環境の家は珍しくありません。

ナゼTGさんの家を見せてもらったかといいますと、日本から来ている駐在社員の子弟というのは意外とアメリカ人の家、特に郊外の家を見る機会がないので、日本に帰る前に娘に見せてやりたかったのでお願いをしたのでした。

そうか〜、あれから丁度9年も経つのか〜、早いものです。

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