08−04−23 多国籍軍

サウジアラビアでの仕事は製品の点検・調査といういわゆる手間がかかる仕事が中心で、これは外でやらなくてはならず肉体的に相当に堪えました。日中の最高気温は既に38℃を越えており、頻繁に水を飲まないと知らない間に脱水症状を起こしてしまいます。

取引先に予めいろいろと準備を御願いしてあった事は殆どできており、UAE駐在のITさん曰く、「こんなの初めてです。普段もこれくらいの感じで仕事やって欲しいです。」、との事でした。
今回の仕事ではこの取引先の会社の多くの人に会いましたが、この国ではいろいろな人種・国籍の人が働いているというのを体験、実感しました。

営業のジェネラルマネージャーのSさんはパキスタン人、サービスのジェネラルマネージャーはエチオピア人、その下で働いているマネージャーのRさんはUAEの地元人、更にその下でオフィスサポートをやっているのはマレーシア人、現場監督のEさんは白人でヨーロッパのどこかの国、現場のテクニシアンはフィリピン人、作業補佐はUAE地元人(多分)とアフリカ人、我々出張者は日本人、それにオハイオ人

分かっただけで実に9カ国の国籍の人が同時に仕事をした事になります。私はこのような場合、世間話をするためにホームカントリーはどこですか?といういのを切り口にいろいろと話しをする事にしています。
アメリカの場合は、ホームカントリーを聞くと嫌な顔をして話したがらない人が多く、また事実自分の先祖のホームカントリーには殆ど興味がないという態度をする人が目立ちます。

つまり1〜3代も遡れば彼等は国を捨てて来た人たちですから、そこには「祖国」という概念はなく、新天地であるアメリカが祖国になる訳です。この感覚は日本人にはなかなか分かり難いところです。
ちなみに今回同行したオハイオ人のTさんは3代前にフランスからの移民ですが、先祖の祖国のフランスには1回も行った事がありません。

こういう多国籍の人間が集まって仕事をする時の言葉は英語です。地元の言葉であるアラビア語で話をしているのを聞くのは稀です。当然の事ながらそれぞれの人はそれぞれの母国語を持っており、英語は外国語(第2外国語、ひょっとしたら第3外国語?)です。

しかし只1人、この多国籍の人間の中で英語が外国語ではなく、自分のオリジナルの言葉として話している人間がおりました。それが一緒に出張をしたオハイオ人のTさんです。彼は英語以外の言葉は一切使えません。
が、どこへ行っても英語が通じて、それで自分の意志を相手に伝える事ができるのです。何のストレスも障害もなく、これも当たり前の事ですが誰よりも流暢にできるのです。

今回サウジでは短い期間に仕事だけで20〜25名くらいの人とコミニケーションを取りました、
この間に母国語だけで仕事ができたのはTさん一人だけ、母国語以外の外国語をしゃべれないのもTさん一人だけ、というのに気が付きました。
これは実にスゴイと言うか、恐るべき事だと思いました。これを我々日本人に置き換えれば、自分の周りの全ての人が日本語を話してくれ、全ての用事が日本語で済ませる事ができる世界になっているという事ですから。

ですからアメリカ人は英語をしゃべるというだけで、他の人がしょっているコミニケーションハンディーキャップが全くない訳で、それだけでコミニケーション力が他の人間よりうんと有利になる事を意味します。
母国語が異なる人間同士が話すときは英語ですが、同じ国籍同士の人間がしゃべる時は当然その国の言葉で、例えばテクニシアンのフィリピン人達はタガログ語(多分)で冗談を言いながら、仕事をしていました。

もちろん我々4人の日本人は日本人同士で話すときは日本語で話しまますが、その中身を周りにいる人にも伝えたいときは英語でしゃべるという方法をとりました。これは後でまた英語で同じ事を言うのが面倒くさいからです。
私はこのような環境の中で仕事をしたのは初めての経験で、非常に興味深いものがありました。

サウジの街並みを見て、或いは会社を見て、レストランへ行って感じた事の一つに女性を殆ど見掛けない事です。
とにかくどこへ行っても女性がいないのです。
この国の女性は運転免許証を取得する事ができませんから、車を運転している女性は一人もおりません。レストランへ行ってもホテルへ行ってもオフィスへ行っても女性は一人もおりません。全て男です!!

世の中の半分は女性ですから、この半分がどこかに隠れているのです。(女性は基本的に外をウロウロしない。)
ほんのたまに見掛ける女性は中学生も含めて黒オバQに変身しますから顔を見ることはできません。
でも、、、、ジェッダの町中にはかなりハデな女性の洋服がショーウインドーに飾られています。女性はこれを買ってどこで着るというのでしょう。

こんな服を着ている女性は街中どこを探してもおりませんが主にパーティーとか、家の中で着るそうで、女性が自分の旦那さん(家族)以外にあの黒いアバーヤ以外の姿を見せる事はないのです。
UAE駐在のITさんによると、アバーヤの下はワンピースとかGパンとか色とりどりの服を着ているという事でした。

このような普通の服を着る機会の一つに結婚式の披露宴等があるわけですが、結婚式の披露宴も男女別々に行われるとのことでした。
それと女性は就ける職業も学校の先生(女の子を教えるため)とか、医者(女性の診察をするため)とか非常に限られているそうです。全て我々の価値基準に照らし合わせるとウーン、と言う以外に言葉はありません。

ホテルの窓からの風景

窓は全てこのような格子で囲まれており、これは伝統的なサウジの造りだそうです。
格子は中から外を見えないようにするためではなく、外から中が見えないようにするためと、直射日光が入らないようにするためです。

外から中が見えないようにする目的の一つに、建物の中にいる女性が見えないようにするのがあると、地元のRさんが言ってました。
フーン、、、、、、。
ジェッダの街外れ

取引先の会社のRさん(サウジアラビア人)に、写真を撮っても叱られないところに来たら教えて下さいと言ってありました。

「ここならいいですよ。」、というのでシャッターを押したのがこの風景です。
ここはジェッダの中心街からかなり離れた所で、旧ジェッダ市街の近くです。
今回の出張で撮ったジェッダの街並みのまともな写真はこれ以外に3枚しかありません。
国王の島の近くの噴水

これも、「ここならいいでしょう。」、と言われたので車の中からシャッターを押しました。
遠くに光って見えるのはジェッダ名物の噴水で、高さ250mあります。

サウジは夜型の社会で、夕食は8時以降から、商店も10時、11時まで開いています。

シャッターを押した瞬間左に写っている車からアバーヤ姿の女性が2人出てきて、びっくり。(車の右側に写っています)
1日の仕事の疲れを癒しています

ホテルの我々が泊まったフロアーにはラウンジがあり、ウエイターが1人いて、飲み物とか軽食を無料でサービスしてくれました。

飲んでいるのは、ビール。注文するときも、「ビール(Beer)!!」と言います。でもノンアルコールのビールです。トホホ、、、泣けてきます。

アーア、まともなビールが飲みた〜い。

ホテルから車で10分くらいのところにアメリカ領事館、日本領事館等があり、アメリカ領事館には望楼がありました。アメリカ大使館・領事館は実力(兵力)を保有しているのが普通ですから、望楼には武装した兵士がいると考えるべきです。やはりかなり警戒をしている雰囲気が伝わってきました。

ジェッダ市内の交通はいつもいつも渋滞気味で、その運転マナーはすざましいものがありました。私の経験からするとマナーの順番は次のとおりです。オハイオはマナー自体は日本と同じくらいですが、何せ道が混んでいないのでマナーの悪さが目立ちませんのでこういう結果になっております。

サウジ(ジェッダ)>メキシコ(メキシコシティー)>中国(北京)>>フランス>日本(但し某府、某県を除く)>オハイオ

ジェッダはマナーだけではなくスピードも半端ではありませんから事故を起こすと即とんでもない大事故になり、死人・怪我人の山になるそうです。

ところオハイオ人のTさんのサウジに行く前の危惧と行ってからの感想はどうだったか感想を聞いてみました。
「やはり危険だ、、、他のアメリカ人には来ることはやはり勧める事はできない、、、。」、と言っておりました。もう理由を聞くのもバカバカしいので聞きませんでした。

サウジはいろいろな意味でベールに包まれた国のようで、私が今回見たサウジは一瞬のまばたきの間に見た、というレベルだと思います。今度はいつ来る事ができるのでしょうか、、、、、。

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