08−02−16 田舎町でのタクシー事情
今アメリカでは今年の大統領選挙に向けて民主党内のクリントンとオバマの両候補の戦いがいろいろと報道されています。
共和党の候補もマケインとかジュリアーノとかの候補が競っていますが、アメリカ大統領は直接投票ではなく、一般の人は各州で行われる予備選挙で選挙人を選び、その選挙人が2つ政党の候補のいずれかを選ぶ、というシステムのようですが、オハイオ人に何度聞いてもあまりよく理解できません。
要するにクリントンとオバマは予備選挙で民主党から大統領候補の指名を得るために闘っている、という事ですよね。

まあ一般的に日本と日本人にとっては共和党の方が民主党よりいいのは疑う余地のないところですし、もし民主党から大統領が選ばれるという事になればクリントンとオバマのどっちがいいのか、これは間違いなく外交・経済ともクリントンは最悪だという話ですが、いずれにせよ選挙権のない我々は只見守るしかない訳ですが。

ところで、「オハイオで車がなかったらどうなるか?」、という話しに変わりますが、今週、ある取引先の方が3名日本からお見えになり、車なしの生活を1週間されました。
車のないオハイオ生活は?と聞かれたらそんな状況は考えた事もいので、「ものすごく大変!」、くらいの返事しか急には私もできないのですが、この3名は自分で車を運転する代わりにタクシーを利用して過ごされました。

アメリカの田舎町で何日間もタクシーを利用して会社に来たというのは、私も12年間のオハイオ生活で初めて聞く珍しい出来事です。

日本から見えた3名の方達は会社に近い方が便利だろうと、会社の近くのメアリーズビル(人口約16000人)という町のホテルに宿泊されました。3人は運転免許証(国際免許)を持って来なかったために、ホテルから私の会社までタクシーで来ればよいと考えたそうです。

ホテルのカウンターでタクシーを頼んだところ、タクシーは完全予約制で、時間と場所を決めて欲しいと言われました。
ホテルから会社までの片道料金は何と170ドル、これにチップを入れて200ドル(約22000円)を請求されたそうです。ちなみにホテルから会社までは10kmちょっとで、乗車時間は7〜8分です。
私はオハイオに来て1回だけタクシーを使った事がありますが、空港から自宅まで40Km、チップ込みで確か40ドルちょっとだったと記憶しています。

食事はホテルから歩いて行けるところにレストランは1軒しかなく、夕食はここで食べたべたとの事。朝食はホテルのレストランで食べる事を期待していたのですが、アメリカの田舎ホテルはレストランがないのが普通です。

そこで3人は歩いて行けるところにあったガソリンスタンドでビスケットを買い、これをかじって朝食とされたそうです。
「イヤー、アメリカのビスケットって硬いのですね。歯が折れそうでしたよ。ハハハ。」、とSさんは言ってみえました。

昨日はこの3名の方々と私も打ち合わせをしました。打ち合わせは容易に終わる雰囲気ではなく、タクシーの予約時間の5時半に帰れる見込みは全くありません。

という事はタクシーのキャンセルをしなくてはならなかったのですが、Tさんが言うには予約をする時にホテルのフロントでキャンセルは受け付けない、と言われたそうです。

つまりタクシーのスケジュールを予約で組んでしまっているので、キャンセルしても170ドルとチップを払えと言われているとおっしゃるのです。
「そんなバカな話しがある訳ないじゃないですか。もう一度交渉されたらどうですか。」、私は3人の方々にこう申し上げました。交渉の結果、あっさりと条件なしのキャンセルOK。
つまりアメリカは合点がいかない事は、何でも言って交渉しなくてはダメな社会なのですが、3人は言われるままに条件を呑もうとしていたのでした。

このホテルが頼んだタクシー会社、実は昨日は予約してあったにも係わらず、タクシーはホテルまで来なかったそうです。理由は雪が降ったからです。雪が降ったと言っても、オハイオでは幹線道路は余程の事がない限りは車が走れないと言う事にはなりません。
困り果てた3人は、今回の打ち合わせの窓口になっている私の会社のKさんに助けを求めて、会社まで送ってもらったそうです。

3人が泊まった町にはタクシー会社があるとは思えませんので、ホテルはタクシーをコロンバスから呼んだのだと思います。アメリカではタクシーは都会の中しか利用できない乗り物と思って間違いはありません。

コロンバスでタクシーを見ることができるのは空港とダウンタウン付近だけなので、ここから呼んだとするとホテルまで片道60Km以上、実際にお客を運ぶのは更にその先10Kmとして全部でタクシーは1回につき往復で140Km以上を走らなくてはなりません。
それにしても片道170ドルの料金は高すぎます。(チップ込みで往復1日当たり44000円!)

それとホテルのカウンター従業員はタクシーを頼んだ経験がない、という事が十分に考えられます。日本では考えにくい事ですが、10中8,9間違いはないと私は思っています。ですから料金の妥当性とか、タクシー会社との交渉なんかは初めてではなかったかと思います。
このモーテルに毛の生えたようなホテルにタクシーを呼ぶ客が泊まるのは、何年に1回もない出来事だと思います。

タクシー会社も遠くの田舎町のホテルまで行く事自体、無断のキャンセルとか時間の遅れとかとかのリスクがあるので、うんと高い料金を予め要求した可能性もあります。

3人の方々は取引先という事もあって、我々に送迎を依頼しなかったと思われますが、デトロイトにはこの会社の現地法人の工場があり、そこには日本人駐在員もいるのです。
そして3名のうち2名はこの現地法人の親会社の取締役という立場の方でした。
どうしてデトロイトの現地法人の日本人駐在員は適切なアドバイスなり、バックアップをしなかったのか不思議です。

バスもない、勿論電車もない、タクシーも今回の例のように利用できないと思った方がいい、歩いて行けるところには何もない、本当に車がないと生活ができないのです。
当たり前の事ですが、今回あらためてよく分かりました。

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