一人旅、何と気分をそそられる言葉でしょうか。私の人生も50代後半にさしかかりました。振り返ると当然の事ながら今までいろいろな事がありました。家族のこと、仕事のこと、友人のこと、自分自身のこと、子どもの頃から成人するまでのこと、その後職業について結婚をして、、、、数え切れない出来事を経験してきました。

中には嫌なこと、思い出したくない事もたくさんありますが大半は懐かしい思い出となって記憶されています。
私は今も家族のために働いて、そして様々な出来事の中で生活しています。これは誰もみんな同じだと思います。つまり現実の中で生きています。
しかしこの現実の世界からちょっとだけ離れて一人でボーっと過ごしてみたい、誰にもあまり干渉されず気の向くまま過ごしてみたい、数年前からそのような考えが時々頭の中をよぎるようになりました。
かつてサラリーマンが現実逃避をするために家庭・職場からある日突然姿を消す、「蒸発」、という言葉が流行った事があります。
私の場合はこのような現実逃避とは違うのですが、でもいろいろなしがらみを忘れて少しだけ自分一人になりたい、という気持ちが湧くようになっていました。それの具体的手段の一つが「一人旅」です。
今回の日本滞在で本屋に行って気が付いた事に、男の一人旅を勧める本が結構出ている事でした。「一人旅はちょっとした時間と、お金と、そして思い切りの3つがあればいつでもできる、、、、」、なんて書いてありました。

一人旅を実行する上で、現役のサラリーマンにとってのネックはやはり時間だと思います。サラリーマンにとって何日かまとまった休みをとるというのは、普通は簡単ではありません。
私は今海外勤務をしており、私の会社では海外勤務をしている者に対して1年〜2年に1回、一時帰国休暇というまとまった休みを取る権利を与えてくれます。これは絶好の機会です。
もし私が日本国内で勤務をしているのであれば、このようなまとまった休みというのはなかなか取りにくいと思います。
そんな訳で今回の一時帰国休暇を利用し、一人旅を実行に移すことにしました。
ラフな格好に着替え、必要な身の回りの物を小型のスーツケースに詰めます。
今回の行き先は全くの知らない土地ではなく、かつて何十年も前に過ごした思い出の地にしました。日程は4泊5日、本当は1週間くらいにしたかったのですが、今の私にはこれが精一杯の日程でした。
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