07−07−13 オハイオ人の長期出張
昨日の夕方、オハイオ人のMZさんとMSさんとで再度ミーティングです。再度というのは同じ議題でその前にも話し合ったのですが、コンセンサスを得る事ができない部分があったので、もう一度ミーティングを持ったという意味です。

内容はこの9月の末頃から12月末まで、オハイオ人を1名〜2名日本に長期出張をさせ、ある仕事をさせようというものです。行かせる事には2名とも同意をして問題はないのですが、そのやりかたです。
私のアイデアではこの2月半を連続して同一の者を行かせるというものなのですが、これには2人とも真っ向から反対をしているのです。

そんな10週間以上もの長期間家族と離れて日本にいさせるなんて、とんでもない、という意見です。長期出張と言う事に関して、オハイオ人達は異常な抵抗を示す事は私は十分に知っており、5〜6週間ずつで2回に分けるという方法で止むを得ないかな〜、と心の中では思っていたのですが、案の定の意見でした。

彼らが言う、「仕事のために10週間もワイフ、子ども達と離れるなんて、あり得ない。」、という理由について他の州の現地法人の例を調べたところ、そんな事はない、3ヶ月の日本出張はちょうくちょくある、という事でした。さて、どうするかなー。
過去に長期出張で問題になったのは、極端な話として、「離婚された」とか「奥さんに浮気された」、とかいうのを何度か聞いた事があります。
こういう話以外に、子どもの野球のコーチをやっているとか、学校の行事のボランティアーをやっているとか、オハイオ人達は話を聞くと仕事以外にいろいろな事をやっているようで、驚かされます。
日本であれば「そういう事と、仕事どっちを君は優先させるのか。」という容赦ない質問が出るところなのですが、オハイオ人にとってそのような質問はある一部の人を除き、ナンセンス、という事になるのです。

子どものバスケットボールのコーチをやって、自分も野球チームの選手(もちろん草野球)で1週間に1回遊ぶ、土日はステートパークに行って、湖でボート遊びをする。
この生活パターンを仕事で崩さなくてはならない場合、管理職クラスであってもかなり厳重な理由付けが必要です。

結局は私の腹案どおり、2回に分けて出張させると言う案に決まりました。MZさんがホワイトボードにカレンダーを書いて業務内容を書いていきます。
するとMSさんが、「サンクスギビングの3連休はどうする。アメリカに戻さなくてはいいのか?」、と言い出しました。

サンクスギビングは4週目、交代に入って2週目になる時です。サンクスギビングは11月22日〜25日の4連休になっており、アメリカ人にとっては非常に重要な日です。親戚一同がどこかの家に集まり、パーティーをやるというのが多く、日本人にとってはひょっとしたらお盆に近い感じかも知れません。

「それでは余りに効率が悪い、行ったり来たりで1週間の空きができる。サンクスギビングの帰国のためのオハイオと日本往復の飛行機のチケット代もバカにならない。労務管理上の問題がないのなら、帰国は認めたくない。」
私はこの意見を変えませんでした。

ああでもないこうでもないとやりとりをして、結局はサンクスギビングで出張先の日本からの一時帰国は取り止めで決定しました。そして詳細は来週に打ち合わせする事にしました。ヤレヤレです。
私は随分前ですが日本にいた時に連続100日以上の海外出張を2回経験しています。1回目は1月から4月にヨーロッパ各国、上の娘が幼稚園に入る時でした。2回目は9月から12月まで、これはカナダ115日でした。
やはり娘達の事が気になりましたが、イライラが募ってとか、ホームシックに掛かりそうになったとかは全くありませんでした。でも毎日のようにカミさん、娘達には電話はしていましたけど。

それと海外駐在者、これは恐らく20%〜30%くらい(或いはこれ以上)は単身赴任だと思います。アメリカ人の感覚からいくとこれらは長期出張どころの騒ぎではなく、日本人は「おかしい」、という事になります。

実はこの単身赴任(私は長期出張も含むと思います)について最近の新聞に、これら日本人の単身赴任者が海外(この場合アメリカ)でいろいろなトラブルを起こしている、よって日本人の単身赴任は見直すべきだ、というある有名なアメリカ人女性コンサルタントの意見が堂々と出ていました。

単身赴任によってイライラしたり、家族がいない寂しさで仕事上で支障が起きているという、このオバサン独特の決め付け型の意見になっており、「私は日本人がトラブルを起こした時は、貴方の家族はどこにいますか?と先ず聞く事にしている。」、とも書いてありました。

私は単身赴任を1年しかやった事がないので、意見を言える立場にはありませんが、このオバサンはアメリカ人の視点でしかモノを見ていな典型的な人で、あまり気にしても仕方ないのですが時々(本とか新聞等に)顔を出しています。
今回は単身赴任を何か異常に目の敵にしていました。

このオバサンに言わせれば、12週間の長期出張なんてもっての他、サンクスギビングもきちんと帰国させろ、或いは奥さん同伴で出張(これはどうも会社によっては実際にあるらしい)させろ、という事になるのでしょうか。
ま、アメリカ流としては普通なのかも知れませんケド。
アメリカ人は長期出張を極端に嫌う。日本人はそうでもない。では何がアメリカ人と日本人とでは違うのか。少しだけ考えてみました。
今のところの考えは次のとおりです。

先ず、暴言を吐きます。
キリスト教徒では、「仕事」は基本的に悪事に対する罪の償い、つまり神様の言うことを聞かなかったアダムとイブは、「働かなくてはならなくなった。」
仕事を一杯するヤツは、一杯悪いことをしているヤツ、という事になります。

日本では神様はあちこちに一杯いて、そして神様自らが仕事をします。神様が仕事をするのですから我々は従わなくてはなりません。仕事をするのは神様のマネをする行為なのです。ですから優先順位はかなり高いのです。
以上、いつもの暴言、終わり。

単身赴任・長期出張をする場合、行く側が残る家族の事をどう考えるか、つまり行く側があまり心配することなく行けるかどうかで単身赴任・長期出張をするかどうか決まるというのが、実は忘れがちな観点だと思っています。
単身赴任。長期出張は残る側が決めるのではなく、普通は行く側が決めるのですから。

もう少し別な言い方をすると残る側、つまり奥さん・子どもが自分が暫くの間いなくても、しっかりとやってくれる、という自信・信頼が持てるかどうかという事です。
お互いにいろいろと不自由はあるわけですが、限られた期間でもあるし自分もしっかりやるけど、残る奥さん・子どももきちんとやってくれるはず、という自信と信頼がある場合にのみ単身赴任・長期出張が決意できるだと思っています。

この点、お互いを常に見て、確かめて、そして言葉に出して、態度で表してないと不安になるアメリカ人より、メンタルな面で行動を起こせる日本人は違う、と言えます。

この精神構造の違いはどこから生まれるのか、これを書くとキリがないので止めます。

それとこのオバサン・コンサルの言うように、”単身赴任者は寂しがる、イラつく”、だから問題を起こしている、というのは自信を持って間違いと言えます。経験から言うと、問題を起こす奴は単身、帯同に関係なく起こします。

でもこの人、こんな考え方で日本企業、アメリカ企業を相手にコンサルやっているのですからねー。薄いですねー。
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