06−06−29 SHIN、銃は持っていますか!?
2日前の火曜日、私達の大先輩のHさんと言う方が会社に見えたので、少しですがお会いしました。
20年近く前にオハイオに駐在して、その後日本に帰りアジア関連の仕事をされ、2年程前に定年で会社を去られた方です。そのHさんが再びテネシー州にある日系の部品会社の駐在社員としてアメリカに見えたのです。62才、単身赴任だそうです。
どのようないきさつで、今の会社に再就職されたのか、いろいろと話してくれました。残念だったのは今日の午後にはもうテネシーに帰るとの事、一献お願いしたかったのですが、またこの次という事にしました。

昨日の夜帰宅すると今は日本にいる、私がオハイオに来たときの上司であったKさんから電話がありました。
Kさんは定年後更に2年間会社に残って、我々後進の指導にあたられ、会社を去った後は悠々自適の生活をされていると思っていたのですが、何とS社の顧問になって半現役を継続中と聞き、びっくり。

それにしても先輩達はみんな元気です。
私の上の年代は俗に言う団塊の世代で、来年あたりから大量に定年などで第一線を退いていく予定です。この退職がいろいろと新聞などで話題になっています。
退職とはノウハウを持った人材が会社からいなくなる事でもあり、これのマイナス効果が問題になっているとあります。
ですからHさんとか、Kさんとかの貴重なノウハウを持った人達は、いつになっても引く手あまたなのでしょう。
お二人とも健康に留意され、頑張って下さい。
自宅バックヤードの土地の境界線に設置したフェンスのトラブルの件、このような事はやはりアメリカ人に交渉してもらうのがいいので、私は会社のDさんに事情を説明して交渉のお願いをしました。
Dさんは家まで来てくれて、敷地の図面と実際のフェンスの様子を確認して、直ちに行動を起こしてくれました。

・フェンスを作る場合は必ず隣接する家の許可を取る必要があり、これは市の条例で決まっている。(自分の敷地内に作る場合は当然必要ない)
・許可なしで隣接地を取り囲むようなフェンスを作った場合、これを土地の所有者が(今回の場合は私)が撤去しても構わない。


というのがDさんの説明でした。極く当たり前の内容です。Dさんはフェンスを設置したJさんに電話をしたところ、Jさん曰く、「もともとあの部分の芝刈りは私の方でやっていた、、、。」、とか言って、暗に自分の所有地であるというような言い方をしたというのです。
Dさんは、「こりゃ油断のできない相手だ、もし1週間以内にフェンスを直さなければ、市に撤去命令を出してもらうしかないですね。」、と言います。

こうして1週間が経ちました。が、撤去する気配は全くありません。Dさんはどちらかと言うと、おとなしいタイプで、紳士的な態度の典型的なドイツ系アメリカ人です。ひょっとしたらこのDさんの姿勢・態度をJさんが甘く見ているのではないかと思い、もめ事解決の切り札のJFさんに相談をしました。

Dさんは目をひんむいて、「SHIN、銃は持っていますか。こんな事をしたら銃をぶっ放して威嚇するのが一番早い。ひょっとしたら殺されても文句は言えないくらいですよ。」
と人差し指を壁に向けて突き立て、大声で真面目な顔でこれを言うのです。

「直ぐに業者を呼んで、そのフェンスをぶち壊しましょう。そしてその費用を市のSmall Claim Courtに持ち込んで相手に支払わせるのです。これが一番早い。」
「相手もそれくらいの事は知っているはず。何で直ぐにフェンスを撤去しないのか、バカじゃないのか。」

「直ぐに相手に電話を掛けましょう。直ぐにやれ!でなければこっちで業者雇ってぶち壊すって、言いましょう。何も心配はいりません。私に任せて下さい。」

さすがJFさんです。話が早い。
JFさんは黒人です。もの凄い差別を受けて育ってきたと言っていました。
中学生の時に友達と街を歩いていたら窓から銃で撃たれ、その友達は即死、警察は犯人を真剣に探そうとしなかったそうです。また交通違反で捕まった時に、白人の警官に何をされたか、聞いていても信じられないような話をしてくれた事もあります。

JFさんは本当に今すぐに電話をすると言います。
でも既に交渉はDさんに頼んであります。JFさんにこれを言うと、「SHIN、これは交渉ではありません。壊せ!というオーダー(要求)です。」、という返事です。
私は勇み足立っているJFさんに、あと数日待って何もアクションがなければ、お願いをすると言っておきました。

昨日の夕方家に帰るとフェンスは修正されていました。私の土地の中に厚かましくも伸びていたフェンスは手前で折れ曲がって修正されていました。
この間、相手のJさんには私の家の電話番号、会社の電話番号が教えてあるにもかかわらず何の連絡もありませんでした。交渉、イエ、要求の窓口をしてくれたDさんにも何の連絡もなかったそうです。

今日の朝、JFさんには問題が解決した旨を説明しておきました。「SHIN、何か困った事があったら直ぐに私に言って下さい。」、JFさんは怖い顔をして私に言ってくれました。

私はJFさんを信頼・尊敬しています。貧しい黒人のために自分のお金で何をしているのか、これも知っています。JFさんには病気で死にそうな黒人の子どもに、あるポスターをプレゼントしたいので何とか手に入れてくれないか、と頼まれた事があります。
私は直ぐに本社の友人に電話を掛け、その友人は営業から大量のポスターをかき集めて送ってくれました。JFさんは喜んでくれました。そしてその子どもはしばらくしてから亡くなったそうです。

いずれにせよ、フェンスの件はこれで一件落着となりました。このような事に対応するのは自分でもできない事はないのでしょうが、やはりDさんとかJFさんのようなアメリカ人の助っ人が必要です。

さて、これからあと何回Dさん、JFさんのお世話になる出来事があるのでしょうか、、、、。
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