05−08−27 「おまかせ」の世界

今日は土曜日、まだカミさんは日本です。
料理は全く不得意な私も、休みの日くらい台所に立ってみようと、朝食を作ります。私の場合朝食と言えば、味噌汁にご飯です。

この前いつだったか、日本食スーパーで私の買い物篭の中を見たレジの韓国人のオバサンに、「アナタ何モデキナイ、飲ムダケデキル。」とも言われた私。そんな私ですが、味噌汁くらいは何とかできます。

冷蔵庫にある野菜を引っ張り出して、これを包丁で刻んで、具の準備をします。
私は具の一杯入った味噌汁が大好きです。

ジャガイモ、ダイコン、ニンジン、タマネギ、何でも放り込んじゃいます。これを鍋に一杯作り、2回に分けて食べます。
ご飯は自動炊飯器なので、カミさんと同じように炊けます。

味噌汁を作りながら、塩鮭を焼きます。
こちらの台所は焼き物をするような構造になっておりません。
そこで私の家では日本から持ってきた、煙の出ない魚焼き器というのをガレージに置いて、これを使います。

この魚焼き器は魚だけではなく、ソーセージとかも非常にうまく焼けます。
電子レンジと共に、私にとっての必須用具の一つです。

アメリカに来る時どんな電気製品を持ってきたらいいか、よく聞かれますが、炊飯器とこの魚焼き器、それに天ぷらのポッドは日本から持ってきた方がよさそうです。それ以外はこちらで何でも安く手に入ります。電子レンジなんか、70ドルくらいで売っています。

後は大根おろしを作って、冷凍してある納豆を解凍して、それでできあがりです。この間約30分です。私は大きな音でCDを聞きながら土曜の朝の台所仕事をします。

結局、よく考えると、大した事はやっていないのに気が付きます。でも朝食って、こんなこんなもんだと思います。
夕食の煮物を作るとかはやった事がありません。

食べるときは、一人なのでテレビを見ながら食べます。味はマズマズです。誰もほめてくれる人がおりませんので、自分でほめておきます。

食べ終わったら、直ぐに食器を洗います。台所には大きな自動食器洗い機がありますが、私はナゼかこれが嫌いで、これを使いません。

手で一個づつタワシを使って洗います。この4週間弱で、お皿を2つ割ってしまいました。夕食の後、少し酔っぱらって洗っていたら、手が滑ってしまったのです。

今日は食事の後、国際宅急便を出してきました。コロンバスにもクロネコヤマトの国際宅急便があり、郵便よりかなり安いのでこれまでに2回ほど利用した事があります。

国際宅急便は送り状、通常シッピングインボイスと言いますが、の他に通関委任状兼確認書、クレジットカード情報記入書、運転免許証又はパスポートのコピー、FAAに対するセキュリティーに関する保証書等の書類が必要です。日本国内のように、配達先だけを書けばいいという訳ではありません。

60cmX45cmX45cmの段ボール箱3箱で重量は33kg、これで160ドルで日本まで送れますから、安いと言えると思います。郵便ですとこの2−3倍はすると思います。便利になりました。

「こんな感じでどうですか?」、「うーん、ちょっと私のイメージとは違うんだけどなー。」、と言いながらぼんやりした、焦点のはっきりしない話しをして、「ちょっともう一度考えてくれますか?」
これは貴社での打ち合わせ、会議の一スナップショットです。

私はある技術部門を担当していますが、同時にスタッフとしていろいろな企画とか報告のまとめとかをやらなくてはなりません。このために、自分の上の者が普段から何を考えているのか、何を求めているのかを把握し、そしていろんな情報を収集・整理しておき、それに沿った企画なり報告書を作成する必要があります。

つまり企画を要求する側は、あまり具体的な要求を出さずに、作る側がこれらの人の意図を汲んでいろいろな角度から検討を行い、企画なり報告書をまとめる、これはよくあるケースです。

寿司屋とかちょっとした料理屋に行くと、「おまかせ」、というのがあります。
客は何が食べたいかを具体的に言わずに、料理を作る方がメニューを決めてそれを出し、客はそれを食べるという形式です。
寿司屋なんかの場合、もうちょっとこのマグロ食べたいのだけど、、、と思っても注文を出すと何だか怒られそうで、黙って食べるなんて事もあります。職人の方で、その客の好みを探りながら、いろいろな料理を出していく場合もあります。

企画とかの業務をやっていると、私は寿司職人と同じ心境で仕事をやらなくてはなりません。
お客は最初からデーンと「おまかせ」で来る場合が殆どです。腹が減った、何か旨いものが食べたい、それだけです。つまり、例のあの案件何とかしたい、だけの場合が殆どです。

職人である私は客の好みと、食べ方を見ながら、少しずつ料理を出します。オレの作る料理はどうだい?旨いだろう?と自信満々で料理を出します。
ところが客は極めて厄介な人が多いのです。私は客に翻弄されます。ああでもない、こうでもない、と客はわがまま放題です。

でも何が食べたいのか自分からは絶対に言いません。作られた料理を見てから、ケチをつけます。オレは中トロじゃなくて、今日は赤身を食べたかったのに、、、とか。何度も言いますが、最初から、何が欲しいとは言いません。腹が減っただけは大きな声で言います。

これが本物の寿司屋で気の強い職人であれば、「今日はあんたに出す料理はもうないよ。オーイ、この客お勘定!!」、とか言って客を追い出せますが、私の場合お客は絶対に追い出せません。
食べたい料理をはっきりと言わない客が悪いのか、客が何を食べたいのかわからない、又はわかっても作る腕がない職人側の問題なのか、さてどっちなんだろう。

土曜日の朝、そんな事を考えながら、包丁握って朝食の準備をしていました。この朝食、自分で作って自分で食べる、だから何も文句が出ないのですね。

アメリカ人の場合、「おまかせ」で何か仕事の指示をして、それに応えてくれる人、それを言ってもいい領域は日本人に比べると限られています。
理由の一つに、これは日系企業の宿命ではあるのですが、アメリカ人の持つ情報量・質と、我々日本人の持つ情報量・質にものすごい開きがある点です。

それとあるアメリカ人にある情報を流しても、それを関係者で共有化するという事は一般的に少ないと見るべきです。共有化させる必要があると判断した時は、その部門・関係者全員にきっちりと伝える必要があります。一番簡単な方法は、みんなを集める事ですが、これができるのも極めて限られています。

情報量と質の差、言葉の問題もあり、永遠に縮まらないのではないかと思います。

でも最近、この「おまかせ」、日本人同士でも段々できなくなってきました。ここまで言ってもわからないの?という事が段々増えてきました。
という事は、、、日本の持つ情報とアメリカで持つ情報の量と質にギャップが出てきている、、、そう感じています。

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