04−12−12 ミスサイゴン |
オハイオでもミュージカルが観劇できる。これは6月にライオンキングをダウンタウンの劇場で観て、証明済みです。 |
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アメリカ人はこのミュージカルを観て、一体何を感じたのでしょうか。ある年令以上のアメリカ人にとっては、かなり複雑な感情が出ざるを得ない内容ではなかったかと思います。 理由はこのミュージカルがベトナム戦争を背景にしているからです。 ![]() アメリカは第二次大戦で、日本・ドイツ・イタリーに勝った以降60年間、一度も戦争に勝っていません。 勝った、と大統領が勝手に言っている戦争を一杯やっているだけです。 その中で誰がどう見ても間違いなく、アメリカの負け戦であったのがベトナム戦争です。 当時アメリカ国内では反戦運動が渦巻き、兵力削減をせざるを得なくなったアメリカ。 結局最後は何もかも捨てて、ベトナムから撤退してきた、というのが一般的な解釈です 。 「オレ達は、ベトナムを共産主義者に支配させないため、東南アジアが共産国化されないようにするため戦ったが、ベトナム人がだらしないのでオレ達は手を引いた。」という言い方をするアメリカ人もまた多くいます。 その何もかも捨てて敗走してきた時に、捨ててきた一つのものが、アメリカ兵がベトナム娘に生ませた多くの私生児です。これは当のアメリカ人もよく知っており、その後ベトナムを脱出してきたベトナム人を大量に受け入れた時に、アメリカ兵との混血児をを持っているベトナム女性を、優先して受け入れたようです。 負けた戦争、それを舞台にしたアメリカ兵とベトナム娘とその間に生まれた私生児。アメリカ人にとっては見たくない、思い出したくない事の一つかも知れません。 ミュージカル自体はライオンキングのように舞台装置と、振り付けを見るだけで文句なしに楽しめる、という内容ではありませんでした。 歌いながら、「私はーーーーー、貴方のーーーその瞳がーーーー、、」、とか言う英語が理解できる程の能力はありませんし、一緒に行ったカミさんも退屈ではなかったかと思います。 ストーリーは全くのフィクションではなく、現実に一杯あった事だと思います。 観終わった後のカミさんの意見は、 「これを見てアメリカ人は何とおもっているのかな?ベトナムでアメリカ人は罪なことをいっぱいしてきたのでは?」、というものでした。 一緒に行ったHさんは、 「あのアメリカ兵、だらしないというか、卑怯というか、、。」、という訳で、ちょっと目を吊り上げておりましたっけ。 依然、我が大和撫子は健在であります。 |
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私がなぜベトナム人とアメリカ兵の恋愛もののミュージカルに興味を持ったかって?カミさんも、Hさんも不思議に思っていたようです。![]() これを観に行こうと誘ったのは私ですし、このような恋愛もののミュージカルなんて、私が興味を持っているとは考えにくかったと思います。 1975年4月下旬、私はグアム島のアガナという町にいました。 この頃は連日、ベトナムから敗退してくるアメリカ兵が大量に次々に飛行機で到着しており、アガナの町自体が異様な雰囲気に包まれておりました。 私はその時の雰囲気が忘れられないのです。 その2年ほど前、山口県の岩国市で見たアメリカ兵の姿。 死ぬほど酒を飲んで暴れる若い兵隊。 それを片っ端から捕まえて、トラックにぶち込んでいく憲兵。間もなくベトナムに出撃する兵隊の姿でした。 という訳で私の頭の中には、アメリカとベトナムは、若い時の自分自身の姿と折り重なったイメージのようなものがこびり付いているのです。 ミュージカルではありますが、ベトナム戦争を舞台にしたストーリー・題材に気を惹かれた、というところでしょうか。 よく考えれば単純な理由です。 さて、来年はどんなミュージカルがコロンバスで上演されるのかな?また行ってみたいと思います。 |
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