03−02−28 オハイオの救急病院
最近隣に座っているJさんに私生活の面でいろいろとお世話になっております。

ケーブルテレビの解約トラブルもその1つ。私は昨年の11月末にケーブルテレビの解約をしました。手続きは電話でです。ところが12月も1月になっても、費用の請求が来るのです。1月なんかは延滞料まで請求される始末。

「ケーブルテレビの解約をしたのですが、請求書がまだ送られてくるのです。」
私はJさんにサポートをお願いする事にしました。
Jさんは直ぐに電話を掛けてくれて、解約をしたのに何で月度の料金を請求するのだ、と会社と交渉してくれました。

ところがそれでも請求書が送られてきたのです。相手が言うにはそんな解約は受け付けていない、とのこと。
Jさん少し頭にきたようです。でもさすがのJさん、この前に電話を掛けた時の担当者の名前をちゃんとメモしてあったのです。
「XXXさんを出して下さい。」

アメリカでは何かトラブルがあった時のために、きちんと相手の担当者の名前を記憶しておく必要があります。私はこれをやっておりませんでした。
「貴方とこの前に話をして解約をお願いしましたよね。何でやってないの?」

Jさんはかなり強い調子でその担当者を責めておりました。
「そんなに私を悩ませないで。」
これが担当者の返事だったそうで、Jさんもかなり怒っておりました。

Jさんはその相手に私の名前と契約番号を書いたFAXを送り、直ぐに電話をして
「着いたか?見たか?じゃ直ぐに解約をしろ。」
と、今度は相手に一切の言い訳をさせない手段を取りました。

アメリカではここまでやらないとダメなのか、と私は恐れ入りました。
この間のやりとりで、ケーブルテレビ会社の担当者から一切の「すみません。当方の間違いでした。」、とかの謝りはなかったのは当然です。
2週間程前から左の腰のちょっと上が何か痛み出し、それと同時に下痢が始まっていました。
私は昔少し柔道もやっており、大男の警察官相手に派手な大技を掛けた時に腰を痛め、それ以来数年ごとに耐えられない程の腰痛が襲ってくるのですが、今回はそれとも少し違う。

心配になって日本の友人の医師のSさんに電話を掛けて相談したところ、内臓がダメージを受けている可能性があるとの返事。血液と尿の検査、それにレントゲンを撮れば一発でわかるから早く病院に行って検査をしてもらった方がいいというアドバイス。更に専門医に診てもらう前に、総合医がいいというアドバイスももらいました。

さてどこの病院がいいのかなー。ファミリィードクターのところに行っても、検査のために総合病院に回されるだけだから、最初から総合病院に行った方がいいという事で、リバーサイドホスピタルという大病院に直接行くことにしました。
問題は言葉。病院に行って医者や看護婦と、細かい病状について話をする自信はありません。困ったナー。

ところがこの病院は、外国人のための通訳のサポートもやってくれるとの事。これで一安心です。予約を入れなくてはいけないのですが、いろいろと質問をされるのもメンドクサイ。
そこで症状をJさんに説明して、診察の予約と、通訳のサポートの2つを病院にお願いする事にしました。

「今直ぐ来てもいいそうです。どうしますか?」
「エーッ、今直ぐ?」
「そうです。」

この病院は24時間、全部の診療科の救急受付もやっているのです。
「今直ぐというのも何だから、明日の朝9時30分頃という事でお願いします。」
Jさんは病院契約の通訳の手配もしてくれ、
「私も一緒に付いていきます。」
と言ってくれました。
9時ちょっと前にJさんから電話。
「9時15分にエマージェンシーの受付のところで会いましょう。待っていて下さい。」

私はカミさんを連れて病院まで。家からは約10km、コロンバスのダウンタウンの方向で車で15分くらいです。
ものすごく大きな病院です。それに大きな立体駐車場も完備しており駐車場ににも困りません。
入り口を入って緊急治療受付の方に向かいます。

あちこちに診療のための待合室があり、全部ホテルのロビーみたいな感じです。すごい病院だなー。
やっと緊急治療の受付に辿り着くと、Jさんは既に来ておりました。受付の手続きをしていると、頼んであった通訳の方も到着。

早速診察室に連れて行かれます。後ろからゾロゾロとJさん、通訳の女性、カミさんがついてきます。
10畳くらいの個室に入るように言われ、ここで着替えてベッドの上に寝て待っていると看護婦さんがやってきて、あれこれと質問をしてまた出ていきます。
「体重は?タバコは?お酒は?」
「タバコは15本から20本。お酒は、、エーッと毎日一杯。」

しばらくすると今度は別の看護婦さんとドクターが来て、診察開始。
「どこが痛いのですか?」
「ここ。」

あちこち腰の辺りを押したり、引いたりして具合を聞きます。この日は腰の痛みがかなり引いており、私の返事もあいまい。看護婦さんが、
「何でここに来たの?」、なんて聞いてきました。

「とにかくレントゲンで内臓を調べ、血液検査と尿検査を行います。」
やっぱりSさんの言うとおりになりましたレントゲン室でレントゲンを撮って、トイレでおしっこを集めて個室に戻るって採血。
「日本って暖かいでしょ。雪は降るの?私はシカゴから来たのだけど、シカゴはもっと寒いですよ。」
世間話をしながら私の血を抜いて、最後に透明な液体(食塩水?)を逆に注入しておしまい。

日本との違いは患者を個室に入れて、ドクターとか看護婦さんがその都度部屋に入ってくる点で、患者は部屋で待っていればいいのです。非常にラクチンです。
私は通訳の女性に、
「やっぱり結果は1週間くらいしてからでしょうね。」、と聞くと
「いえ、緊急治療と言う事でやっていますから直ぐに結果は出ます。」
とのこと。

今回の私の程度の検査でも直ぐにやってくれるのか。日本では殆ど病院に行った事のない私は感じ入るのみです。
日本で、腰が痛い、下痢している、だけでこんなに早く結果を出してくれるのでしょうか。良く知りません。

やがて先ほどのドクターと看護婦さんが来て、
「内臓に全く異常はありません。下痢は他の原因と思います。とにかく内臓の疾患は一切ありません。念のために下痢止めの薬を処方しておきます」

これを聞いて私は一安心。着替えて受付に行くとJさんがまだ待っていてくれたので、結果を報告しました。
「SHIN、よかったね。」
Jさんには本当に感謝の限りです。

受付のオバサンと通訳さんにお礼を言って、全ておしまい。初診料も、診察の個人負担も、通訳のサポート費用も何の個人負担もありません。
会社が無制限の治療に対する健康保険料金を払っていてくれるとは言え、素早い診断と結果の通知、それに快適な診察の環境に、初めての経験ではありましたが、ちょっとびっくりしました。

アメリカでは保険は全て個人負担で、国が関与する保険制度はありません。
多くの人が入る保険は、病状に対して保険会社がその治療方法を指定しているそうで、行く病院も保険会社が指定しているとの事です。

ですから受付で最初にやる仕事が、保険会社発行の保険証を見せることから始まります。
そう言えば、私の職場でオートバイで大怪我をして半年以上も休んでいるアメリカ人が、入院・手術をして2日で家に帰された時、「これは治療上の理由ではなく、保険会社の方針で、それ以上入院できない。」という話を聞きました。

さて私の今回の検査はいくらの請求が病院から保険会社にいくのかな?費用の明細は全てその患者個人にも通知されるのです。

地獄の沙汰も金次第、これがアメリカです。
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