02−11−02 今年の秋
私はオハイオに来る前は東京近郊でマンション生活を10年近くやっておりました。

マンション生活は確かに便利で、しかも12階に住んでいたので、西を見れば富士山、南を見れば東京タワーに新宿副都心という眺めの良いところでした。

ところが都会のマンション生活と言うのは、全く季節感がないのです。
確かに寒くなればコートを着ますし、マンションに付属している小さな公園の木は葉っぱが落ちますし、暑くなればセミも鳴きます。

会社の帰りのお付き合いも、ビールが主だったり、お酒とか焼酎が主だったり変化はします。

でもやっぱり自然の変化というものを肌で感じないのです。感じるのは気温だけ。会社の窓から見えるのはいつも同じ風景です。

ここオハイオは上に「クソ」がつく「田舎」で、どこへ行っても自然と畑。
通勤も電車、地下鉄ではなく車で広大な畑の中をぶっ飛ばすという環境。

部屋の中はどこへ行ってもヤリ過ぎというくらいに1年中エアコンが効いていますが、見える風景は自然。
この環境だけはオハイオは素晴らしい所だと思っていますし、気に入っています。
今年の秋の紅葉は、ナゼか例年に比べて確実に2週間ほど遅く、10月の末になっても割りときれいに残っておりました。気温は例年と同じで、朝夕は5度以下、0度に近くなっております。

今日を見逃しては、今年の紅葉は見れなくなる、という事で家から30kmくらい北にある州立公園に行ってみました。
自然に囲まれているとはいうものの、やはりじっくりと秋を感じるためにはこのような州立公園に行くのが一番です。

別に「さあ、紅葉を見に行くぞ!」と、きばらなくてもちょっと買い物の帰りに行く、という感じで行けます。
私はカミさんの買い物に付き合うのは嫌いです。滅多に行きません。
が、今日は別。さてどこに行くか?厳しい冬が来る前の秋の満喫には、あまり人のいない所、そしてうんと規模の大きいところが一番です。

コロンバスの北にあるデラウエアーという小さな市の更に北にある州立公園に行ってみました。

入り口を入って公園事務所でパンフレットを取ってきます。公園事務所には誰もおりません。隣の建物にパトカーが1台。オハイオではこれを見るだけで、安心できます。

地図を見るとこの公園の規模がよくわかります。縦10kmくらい、横4kmくらいで、定番の大きな湖と一体になった公園です。

中に入って行くのですが、行き会う車は1台もありません。この広大な公園で、どこを見ても人も車もおりません。

州立公園というのはとにかく人工物をなるべく見えなくして、目に入るのは自然だけというように工夫がしてあります。

ベンチも木でできています。
うっかりすると見逃してしまうほど小さな道案内の看板も木の下に隠れるように控えめに立てられています。


キャンプ場の入り口に行ってみるとやっと車を数台発見。でも人影は全くありませんでした。ここで今回一番見事に紅葉した木を発見。もう少し早ければ公園中こんな木ばっかりのハズだったのですが。
「さ、帰ろうか。」
「エーッ、買い物は?」
しょうがありません。やはり約束は約束なのでお買い物にお付き合いをする事にしました。

コロンバスは郊外も含めてショッピングモールの乱立。結局はつぶれる店とかモールも多く、あれ?こんなのあったっけ?という具合でコロコロ変わっています。

今日のお目当ては、以前は大きなホームセンターのあった所で、今は何かブランド物を集めて売っている巨大な店で、家から5−6分の場所にあります。

ホームセンターの頃は家の修理の部品とか、工具を買いに良く行った店ですが、あまりにも広く、(100m四方はあると思います。)目的の物を探すのにエライ苦労をさせられました。
だって水道のパッキン1個買うのに、あちこちウロウロしなくてはならないのですから。

おまけに店員がどこに何があるのか殆ど知りません。「これ欲しいのですが?」と聞くと、大体の場所までは連れて行ってくれるのですが、目的の物は私と一緒に探すことになります。
「あった!!」
店員と私は握手せんばんかりに喜んで、腕を組んでスキップする(またまた、オーバーな表現であります。)と言った具合でした。

カミサンが目的の物を買い、レジをする間にぼんやりと待っていると、アレ?取引先のMさんではありませんか。
声をかけられました。Mさんはトロイという所に住んでおり、ここから180kmくらいの距離です。
少し離れたところでは奥様が、服か何かを物色中。「ハハーン、オレと同じ立場なのかな?」

「ところで仕事の話で申し訳ないのですが、、、、。」
Mさんと私は仕事の話を10分以上やっていたでしょうか。
実は前日に私は、日本から来ていたエライ人への説明で、しどろもどろになってしまい、失敗をやらかしてしまっていたのです。

Mさんはその件と関係がある方でしたので、つい、こうなってしまいました。
日本人って、カミさんに拉致・強制連行されて買い物に来て、そこでも仕事の話をするんですね。

Mさんの奥様も、私のカミさんも買い物に夢中。何もする事のない私たち。いえ、私だけ。ポケットにデジカメが入っていたので店の中の写真を撮っておきました。

という訳で、買い物は別として、今日はオハイオの最後の秋を楽しむことができました。
inserted by FC2 system