02−08−04 アメリカの住基ネット
アメリカに来て7回目の夏! やはりオハイオも真夏は暑い。今日も外は34−5度という気温で、おまけに湿気が少しあるので、珍しく蒸し暑い感じもします。

休みの日は朝は9時から2時間のNHKの国際放送を私も聞くことができます。これは短波放送で、非常によく聞こえます。ニュースの中で住基ネットというのが話題になっており、これが8月5日から稼動すると伝えておりました。

実は私は「住基ネット」というのがどのようなもので、何を目的にしているのか2−3週間前まで知りませんでした。
実は今も詳しいことは知りません。
でも知る限りでは、どうもアメリカのSSN(SOCIAL SECURITY NUMBER)、日本語で訳すると「社会保障番号」、この制度にもっていくのではないか?と感じております。
1996年6月12日にコロンバス空港に着いた私が翌日に真っ先にやった事。
それはパスポートと会社が発行した書類(何の目的でアメリカに来たかが記述されていたと思います)を持って、SSNを取得することでした。

SSNはアメリカに住む全ての人間に対して与えられる番号で、これがないとはっきり言ってアメリカでは生活ができない仕組みになっております。
先ず最初に、SSNがないと運転免許証を得ることができません。運転免許証は車の運転をするために必要なばかりではなく、身分証明書にもなる重要なものなのです。

次にSSNがないと銀行口座を開く事ができません。銀行口座がないと、クレジットカードを作ることができません。個人小切手も作れません。

SSNがないと健康保険に入ることもできません。健康保険は日本のように政府が管理している訳ではなく、自分で保険会社を選んで入らなくてはならないのですが、これに入ることができません。

つまりSSNがないと、運転免許証、銀行口座、クレジットカード、健康保険等、生活する上で必要な全てのインフラを得ることができないのです。
SSNというのは逆に言うと、このナンバーだけで個人の情報の全てを管理されていることになっており、今の日本の「基ネット」で与えられるナンバーとは比較にならない、本当に重要なものなのです。

国民総背番号制という発想が日本にありましたが、アメリカは既に何十年も前から国民総背番号制を実施しており、これを持たない人間は、アメリカでは生活できない仕組みになっております。
SSNで特に重要なのは、個人の財産が実質的に全て国家によって管理されている点だと思います。銀行口座なんかなくても現金で全ての支払い決済ができたのは大昔の話で、普段の5ドル、10ドルの支払いも個人小切手かクレジットカードでやる社会ですから銀行口座なしでは、到底生きていけません。

結果ズバリ、何が起きるか? アメリカでは脱税が非常に難しくなるのです。支払う側も、それを受け取る側も、お金の動きが全てわかってしまうので、普通は脱税ができないと言われております。

アメリカと日本は税制、所得が異なるので、一概に比較はできませんが、日本の所得税の収入が年間25兆円くらい、アメリカの所得税の収入は確か90兆円以上あったと思います。
日本が脱税天国の国だとは思いませんが、人口2倍ちょっとのアメリカが何で、こんなに所得税を集める事ができるのか、イエ日本が何で集めることができないのか不思議です。

それともう一つ日本を不思議に思うこと。
これも最近のテレビと新聞で知ったのですが、日本では最近金庫強盗が流行っているとのこと。そしてその金庫には何千万円もの現金が入っている点です。

アメリカでは何十万ドルもの現金が個人経営の会社とか、商店で保管されているとは思えません。そもそも現金の流通が極端に少ない国なのです。100ドル単位の支払い決済を現金でするというのは非常に考えにくい。
第一、普段流通している紙幣の最高額は20ドル札で、1000ドル(20ドル札50枚)を持ち歩くとなると、かさ張って仕方ありません。

ちなみに普通のお店で100ドル札(1万円ちょっと)を出すと大抵の場合、店員はびっくりしてお札を透かして見るか、マネージャーのところにすっ飛んでいきます。
先日、またスピード違反をやってしまいました。
土曜日だったのですが、会社に用事があって半日書類の整理とかを済ませての帰り道、気が付くと後ろにぴったりと赤と青のランプをピカピカさせたパトカーがくっついております。

あわててスピードメーターを見ると80マイル(130km/hちょっと)! ありゃー!仕方ありません。昨年の9月にアメリカに来て初めて違反切符を切られて、これで2回目。
この時は、カミさんの新車の(まだ500kmも走っていない)赤の2ドアーのスポーツタイプのクーペに乗っており、知らず知らずのうちにアクセルを踏み込み過ぎておりました。

こんな車に日本人のオジサンが乗っているとは思っていまかったのでしょうか、白人の若いお巡りさんもびっくりした様子。でも容赦なく切符を置いていきました。

罰金は1年以内に2回目という事で、95ドル!! この支払いは何でやったか?
お巡りさんにもらった切符と封筒を家に持って帰りよく読むと、クレジットカードでもOKとあります。
この切符にクレジットカードのナンバーを書いてサインをして、同時に渡された封筒に入れて、切手を貼っておしまい。

つまり現金に一切手を付けることなく、ボールペン1本で罰金の支払いは済みでした。
もちろん、切符には同時に大きな文字でSSNを書いたのは言うまでもありません。これで私のSSNの下には、2回の「スピード違反」が永遠に残る事になりました。

財産も、犯罪も、住所も、勤務先も何もかも管理されているアメリカ、それのキーがSSNなのです。

「住基ネット」は将来的には、アメリカのSSNを狙ったものなのかどうかはわかりませんが、少なくとも国民ひとり一人に番号を振るわけですから、段々拡大運用がされていくものと思われます。
日本もアメリカのような社会になるのか、それとも別の日本独特の社会になるのか、どうなるのでしょうか。
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