02−06−10 本当のようです、お化けのはなし
日曜日の午後のフライトでLAまで。
時差の関係でLAには夕方には到着します。その日はホテルで過ごして、翌朝に会社に行き、日本から出張しているメンバーと午前中は11日の会議の事前打ち合わせを行いました。

昼食を摂るために2−3台の車に分乗して、ある日本レストランへ。
車を運転しているLA駐在のOさんが急に、
「今、引越しの準備と手続きで忙しい時なんです。」
「引越しですか。何か今の家は気に入らない事でもあるのですか。治安の問題とか、子供さんの学校の事とか、、、。」
「イエ、ちょっと言いにくいのですが、実は、、、、、、。」
「家の中で、イヤな出来事が最近いろいろとありまして、、、、、。」
Oさんが、具体的にはっきり言わないものですから、これ以上聞くのはまずいと思い、話題を変えようと思っていると、同じくLA駐在のKさんが、
「ああ、例の話ね。」
どうもLAの連中はOさんの引越しの理由を知っているようなのです。

「実は、今の家の中にオバケがいるのです。」
「エーッ!そりゃホント?」

私は昔からオバケとインスタントラーメンが大好き。引越しを決意したくらいですから、余程具体的に何かがあったに違いありません。
OさんはLA駐在は2回目で、1回目は7年間、今の2回目は確か2年目くらいのハズ。実はオバケらしい存在を家で感じるようになったのは半年ちょっと前から。
(その1)
Oさんが家の2階のバスルーム(洗面所と、トイレと、風呂が一緒になった部屋)で顔を洗っていると、横をスッと誰かが横切ったそうです。Oさんは奥さんが横切ったのかと思い、そのまま1階へ。
「さっきベッドルームから下に降りたよね。」
「イエ、私はずっと1階におりましたよ。」

1回目は何かの勘違いかと思ったそうですが、そのような事が2回、3回と続き、段々とおかしいなー、と感じるようになったそうです。
2階のバスルームは結構広いようで(広い家だと8畳とか10畳くらい)、窓はなし。横切ったのは、何か白い服を着たような感じの人。

バスルームにいたOさんの横を通ったのは誰?

(その2)
2階から1階に続く部屋の所に5−6段の階段があるそうです。詳しく聞くのは忘れましたが、5−6段の階段で段差のある部屋をつないでいるようで、多分4mとか5mの幅のある階段でしょう。
奥さんが家で一人でいる時に、この階段を下りている時に、何度か後ろから背中を押されたような感じがしたというのです。

そしてとうとうある日、階段から転げ落ちてしまい、救急車を呼ぶ怪我をしてしまったのです。
押される感じは、強くではなく、スッと軽く押すような状態だったそうです。


誰が背中を押したの?
(その3)
Oさんの上の娘さんは大学生で、日本にいるそうです。その娘さんがLAに遊びにきました。
LAには今年UCLAに入る予定の下の娘さんがいます。
やはり奥さんが転げ落ちた階段での話。

下の娘さんが階段を上がっていくと、誰か階段を下りていく気配がしたので、お姉ちゃんが2階から下りて行ったんだ、とその時は思ったそうです。
「お姉ちゃん、さっき2階から下りて私とすれ違ったでしょ。」
「私はずっと1階にいたわよ。2階なんか行っていない。」


じゃ、今すれ違ったのは誰?

(その4)
ある日、奥さんが新しく友達になった人を、初めて家に呼んだ時の事。

「あれ、誰か2階に人がいますね。どなたか他に今家にいるのですか?」
平日の昼間ですから、誰も家には人はおりません。
「イエ、今日は誰もおりませんよ。私だけです。」
「2階のこの方向に誰か、人の気配がしますよ。」

と言って、その人は2階のバスルームの方向を指で指したそうです。この人はOさんの家に来たのは初めてで、Oさんの家族構成もまだ良く知らない時の事です。

また別の友人を家に招いたとき、その人ははっきりと、
「白髪の女の人がこの方向にいる。」と言ったそうです。これはOさん夫妻に決定的な影響を与えたそうです。

バスルームにいるのは誰?

(その5)
深夜、Oさんと奥さんが寝ていると床がミシミシ、バスルームの方から誰かが歩いている音が聞こえてきたそうです。
あれ、娘さんが部屋に来たのかな?
翌朝Oさんは娘さんに昨夜の事を話すと、娘さんはそんな夜中に、Oさん夫妻の部屋には来ていないとの事。

夜中に歩いていたのは誰?
ここまでの話で共通なのは、正面からは誰も、もう一人のOさん宅の住人を見てはいないのですが、服が白い、頭も白いという事です。

いろいろな出来事はそれぞれ1回や、2回ではなく、何回もあったそうです。
Oさんは更に付け加えます。

「最初に家を契約するときに洗面所に大きなシミがあったので、不動産屋に聞いたところ、前の住人がコーヒーか何かをこぼしたシミだから、気にしないでくれと言った。」
「前の住人は1年でこの家を出ている。」


私達は、レストランで昼食を食べながら、Oさんの一連の話を聞きました。
「Oさん、その白い人、足はあった?足がなかったら日本のオバケかな?」
「Oさん、どうも女性らしいけど、綺麗だった?」

とか、いい加減な会話をしておりましたが、新しい家をやっと見つけたOさん、真剣です。
やはり引越しを決意したのは奥さんが階段から転げ落ちて、ケガをしたのと、奥さんの友人が初めて家に来て、「誰かいる。」という言葉がきっかけになったと言っておりました。

Oさんは、
「実はこの家の特に、バスルームが気に入っていたのに、残念です。」
と盛んに繰り返しておりました。

Oさんはウソを言うような人ではありませんし、第一、新しい家を探して引越しをするのは大変な事ですから、Oさんの家族が経験されているのは本当の事だと思います。
ちなみにLAで治安と、学校のレベルを確保しようとすると最低月3000ドルは必要で、オハイオの2倍近くになってしまうようです。

アメリカまで来てオバケに悩まされるなんて、駐在員も楽ではありません。
でも、一回見てみたいな、その白いオバケ。
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