01−12−05 さあ、帰国休暇の開始
私の会社では海外駐在勤務者には2年に1回のペースで、日本に休暇で帰国できる制度があります。期間は約2週間。私も駐在6年目、2回目の一時帰国休暇を取る事にしました。

2週間の休みを取るとなると、1ヶ月くらい前から仕事の調整をしなくてはなりません。今回も調整を開始したものの、結果として半分くらいは日本で仕事をするハメになってしまい、がっくり。
でも半分の1週間でも休みは休み、先送りしてもどうせ結果は似たり寄ったりになるのは目に見えているので、思い切って休む事にしました。
5日(水)の朝、荷物を持ってコロンバスの空港へ。
例のテロ事件のお陰で、空港の荷物検査は異常に厳しくなっております。特に外国人、そして段ボールの箱なんか持っているとそれこそ荷物をひっくり返されて検査を受けるハメになります。

実は今回は荷物の中に、趣味の仲間の友人に持っていく「真空管テスター」なるものを2台スーツケースの中にしのばせてあったのです。
小型時限爆弾風です
これは古いラジオとか、オーディオのアンプに使用する真空管をテストする機械で、メーターとかツマミ、おまけに何やら線がごちゃごちゃ出ている、一見時限爆弾風の小箱!

会社でこの事を話したら「見つかったら別室取り調べ、身元調査まず間違いなし。」と言われるような代物です。

どうしようか考えましたが、要するにスーツケースを開けて検査をされなければイイ。
貨物室に入れる荷物は全数検査がされている訳ではありません。抜き取り検査なのです。

9月に下の娘が日本に戻るときは段ボールの箱をひっくり返されて検査。11月に日本に帰国する駐在員の時は家族同伴にもかかわらず、全てのスーツケースをひっくり返されて検査。
同じく会社にいる通訳の女性も11月に帰国の時はスーツケースをひっくり返されて検査。

さて、どうするか?
やっぱりこういう物を今のご時世では持って行くのは止めようかナ?
機内持ち込みの荷物は徹底的にやられ、パイロットなんかも、あの黒い大きなバッグをひっくり返されて検査されておりますが、貨物室預けの荷物は抜き取りだから、要するに検査されなければイイ。

何を基準に検査の対象となるかはいろいろとあると思うのですが、要するに検査員の腹ひとつなのは間違いありません。
そこで考えたのが風体を整えること。顔はムリなので、服装を整える事にしました。つまり、怪しくない風体にする事が重要と考えたのです。
20時間近い飛行機の旅なので、普段は結構ラフな格好をしますが、この日はネクタイとブレザーとかではなく、背広を着込みました。当然靴もピカピカの革靴。
手荷物検査、ごった返しております
空港に着いてチェックインカウンターに向かいます。
チェックインカウンターに行くと、ここでチェックインの前に荷物を検査するかどうか、航空会社の担当者とか、周りにウロウロしている警察官とかが判断をします。
荷物を引きずっていざカウンターへ。

「グッドモーニング、サー。」

あれ?いままで「サー。」なんて言われた事がないのに今日は「サー。」付きです。
「どちらまで?」
「成田、東京です。」
「荷物はいくつですか?」
「2つ。」
「全部自分でパッキングをしたのですか。誰か知らない人から頼まれた物は入っていませんか。etc」

検査はなく、あっけなくチェックインは終了。
時限爆弾風、真空管テスターは無事貨物室に送られる事になりました。バンザイ!後は成田空港で受け取るだけ。
なぜ検査がなかったのかはよくは判りませんが、チェックインの時の対応はいつもとは明らかに違いました。私の方の違いは服装だけ。

ではヨレヨレのズボンにジャンバーを着込み、段ボールの箱を2つ程担いで行ったらどうなるか?同じ状況にはならない可能性が高いのではないかと思います。
箱を開けたら何やらメータの付いた機械が出てきた。もうダメです。別室です。

アメリカ人は服装にはこだわらない、だからあまり気にしなくてもイイという事をよく言いますが、これと今のような非常時における我々外国人の服装は別であると考えるべきです。怪しい人物ではありません、という事を表すのはまず服装が大事です。

私はずっと以前にカナダに出張をして、ビザの延長(滞在が3ヶ月以上になったので)に移民局へ行った事があります。やはり別室に呼ばれたので、帰りの航空チケット、現金、家族の写真を係官の前に並べて、不法滞在の意志が全くない事を表し、ビザの延長を頼みました。
この時も服装には気を使いました。

でも今回はそんな難しい事をしようとした訳ではなく、ただ趣味に使うややこしい機械を持ち込もうとしただけの話。
こうやって一時帰国休暇の第一ステップは問題なく通過。

でもゲートでの手荷物検査のしつこさ、改めてアメリカは非常事態である、という事を思い知らされました。
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