00−09−01 レーバーデイ 
アメリカは日本に比べて祝日の少ない国です。年間5日くらいだったと思います。
その中の一つが9月4日の「LABOR DAY」。

確かに日本にいた時よりも、1年を通じての休みが少ない感じで、駐在社員という立場もあってなかなか休暇も取れません。日本では正月休暇、5月のゴールデンウイーク、8月の盆休みの3回の大型連休がありましたが、こちらはクリスマス休暇と7月の1週間の休みだけ。

それにもう一つの違いは、アメリカ人の朝が早いこと。
大体の会社は7時30分始まりで、終わりは4時から4時30分です。残業は極く一部の人を除き、普通はやりませんから5時前後には家に着く、という感じです。

ですから朝の通勤ラッシュは6時30分頃から始まり、7時頃がピークです。病院とか歯医者も朝の8時から始まるのが普通で、5時には閉まってしまいます。
5時には家に帰る、そしてサマータイムを採用しておりますから5月から7月は、夜の9時30分頃までは明るい。
一般的なアメリカ人は普段の日でも、確実に4時間は明るい日の中で家でのんびりと過ごすというのがパターンのようです。ウラヤマシイ!
9月4日は月曜日。ですから3連休になります。会社では金曜日は休みを取るアメリカ人が多く、事務所はガランとした感じでした。隣の席のアメリカ人のTさんにどうやってこの休みを過ごすのか、聞いてみました。

「この休みは、父親を呼んで食事をして、そのあとフットボールの見物に行く予定です。」

Tさんは確か45才で、2年前に自分の母親を亡くし、父親は彼の家から車で20分くらいの場所に一人で住んでいるのです。

「お父さんは一人で住んでいるのでは寂しいでしょう?いっしょに住まないの?」
「いや、父が一緒に住むのをいやがっているので健康なうちは一人で住んでもらうつもりです。」

彼の父親は75才だと行っておりました。Tさんとは親しい仲なので、この日はかなり個人的な事まで聞いてしまいました。いっしょに住むのをいやがっているのは、彼の細君と父親がうまくいっていないのが大きな理由との事。

「父はオールドタイプなので、妻にもっと料理をしろ、もっと家を掃除しろ、とかいろいろとうるさく、妻がそれを嫌がっているのです。」
「ほう」
やはりこの辺の事情は万国共通で、彼の妻も自分の母親とかに言われるのは気にはしないそうですが、彼の親に言われるのはすごく嫌がると言っておりました。
Tさんのカミさんもやはり働いており、普段はあまり料理をしないそうです。この辺の話を彼はやってくれたあと彼は、

「私が子どもの頃は、母親が毎日料理をしてくれた。亡くなった母親は看護婦をしており、夜勤で家にいない事が多かったが、でも鍋の中には毎日夕食が作ってあった。」

と目を細めて言いました。
アメリカは最近は殆どの家庭が夫婦が働いており、奥さんが夕食を「作る」家庭は激減しているそうです。
料理を作らないだけではなく、家族がバラバラで冷蔵庫から勝手に食べ物を出して食べるのが夕食になっている家庭が多く、食事がコミニケーションの場ではなくなってきているとも言っておりました。

「食事をする、という時間が昔のように大事な時間ではないのです。」
「じゃ、家族のコミニケーションはいつとるの?」

彼の家では家族のコミニケーションはテレビを見ながらとる、と言っておりました。テレビを見ながらの家族同士ののコミニケーション、私は何か不思議な感じがしてなりませんでした。
母親がいなくても、母親の作ってくれた夕食を食べ、母親の愛情を食べ物といっしょに口の中から体の中にいれ、母親がいる時は必ず早く帰ってくる父親と家族全員で、コミニケーションをとりながら食事をする。

このようなパターンはアメリカでは今では主流ではないと彼は言っておりました。

「子どもの頃は、食事の時に父母に、きょうは学校で何があったの?野球の試合はどうだった?等と聞かれて私は一生懸命に自慢をしたものだが、、、。」

ちなみに彼は3人の娘と話をする機会が最近は殆どないそうです
そんな訳でTさんは土曜日に父といっしょに食事をするのを楽しみにしていると言って、ニコニコ顔。

「奥さんと娘3人との久しぶりの食事ですね。」
「いえ、私と父と二人でレストランで食事をします。そのあと父をフットボール場に連れて行くのです。」

Tさんもいろいろと事情があるようです。

「父はチキンが大好きなので、チキンのうまいレストランに連れて行くつもりです。SHINはマティーニを知っていますか?父はマティーニも大好きなので、これも一緒に飲んできます。」

彼はそう言って、4時になると机の上をさっさと片付けて事務所を出て行きました。
45才のTさん、なかなかの親孝行息子である事がよくわかりました。

さてレーバーデイの3連休、何をするかな?何も決まっておりません
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