99−11−17 アメリカ人の盆栽
昨日の午後、私がN君の机の横を通りかかった時、N君がD君としきりに何か雑談をしているので何を話しているのかなと思って、ふと立ち止まるとD君が手に何かを持っております。

よくみると15cm角の陶器の容器に木のようなものを植えた鉢です。
私はD君が手に持っているものが、最初何かわからなかったのですがよく見るとどこかで見たような気のするものなのです。
小さな鉢にに小さな木、あれ?これひょっとしたら盆栽のつもり?えーっ、まさか。
でも盆栽にしてはあまりにも貧弱。私はD君に、
「面白いもの持っているね。これに似たものは日本にもあってボンサイと呼ぶんだけど。」
と話しかけるとD君はすかさず、
「そう、これはボンサイです。」
という返事。やっぱり。
15cm角くらいの鉢です
D君はこれをある店で$10も払って買ってきたとのこと。
話を聞くとボンサイは小さな容器に木を植えて、これの枝や葉を手入れしたりして大きな木のミニチュアを作るもので、日本の古い文化である、云々を教えてくれました。

N君はフンフンうなずいて、
「SHIN、そうなんですか。」
と聞いてきたので私は
「然り。これは趣味の一つで、まあ主として老人が楽しむものかな。」
とつい余計な事を言ってしまったのです。
するとN君は大きな声で笑い、少しからかい気味に、
「おいD君、これは老人の趣味って言うじゃないか。」

私はD君が大事そうに鉢を抱えているのを見て、ちょっとまずかったかなと思いつつその場を離れました。D君はアメリカ人の中でも非常におとなしい性格で、やさしそうな社員です。年齢は30歳くらい。

しばらくしてから私もやはり気になり
「D君、少し訂正をするとボンサイはかっては老人の趣味だったが、今は年齢に関係のない趣味として多くの日本人が楽しんでいるよ。」
と半ばご機嫌取りみたいな説明をしておきました。
今日の昼休みにD君と顔を合わせるとD君は私に向かって、
「老人ね。」
しんみりとひとこと。
D君の机の上のボンサイ
私は適当な答を見つける事ができなくてただにっこりするだけ。
やはりD君は「老人の趣味」というのが気になったみたい。

夕方、
「D君、君のボンサイの写真を撮らせてくれないか。私のHPに写真を載せてみようと思う。多分日本の友人から何か反応があるかも知れない。
もし反応があったら、教えるよ。」
という訳で写真を撮らせてもらいました。

夜遅く誰もいなくなった事務所で、彼の机の上のボンサイを見ると、ちゃんと水がやってありました。
小さな緑の葉っぱと10cm足らずの枝の盆栽ですが、家ではきっといろいろと研究しているに違いありません。

日本人から盆栽は「老人の趣味」と言われて気にしているD君。何か元気を付けてやる方法はないかなー。
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