銃社会 : これがなきゃアメリカじゃない?
銃は必需品

アメリカが銃社会である事は誰でも知っています。
日本人の留学生が殺されたり、最近では高校生が学校で銃を乱射して何人もの生徒を殺したり、ニュースのネタは尽きません。

日本では銃を持っているのは、警察官とか自衛官とかに「限られている」、つまり法律でその所持が厳しく制限されているのに対し、アメリカでは基本的に
憲法で「市民が武装する事を認めている。」という大きな違いがあります。

これは多分、アメリカの建国の歴史を見ていけばわかるのですが、要するに銃でインディアンをどんどん殺して作った国ですから、「銃=アメリカ」なのです。
これは誰が何と言おうと事実です。
ちなみに隣のカナダは拳銃は市民は持てませんし、ライフルも狩猟用のみが許可されます。

オハイオでも走っている車の5台に1台は拳銃をダッシュボードに入れているという人もおりますし(これは違法。トランクに入れておけば問題なし。)、一般家庭で拳銃を持っていない家はないのではないかと思える程、普及(?)しております。
アメリカに来た当初、会社でアメリカ人に銃を持っているかどうか雑談しながら随分聞いたのですが、しばらくして止めました。みんな持ってます。理由は「家族と自分の命を守るため。」でした。
もちろん銃マニアも多く、20丁以上持っているというのもおりました。

また銃と一口に言っても、大きくはハンドガン(拳銃)、ライフル、ショットガン、機関銃の4種類くらいに分かれると思いますが、それぞれの持つ意味が大きく違います。
ライフル、ショットガンは基本的に「狩猟用」ですが、拳銃は「護身用」です。機関銃は所持違法ですが、いくらでも手に入ります。

とにかく、何億丁という銃がアメリカ中の一般的な家の中にある、先ずこの事実を認めるというところからスタートしないと、話がややこしくなります。
使い方は親が教えるもの

よく昔、アメリカは銃はスーパーマーケットでも売っていて誰でも買える、という話を聞きましたがこれはそのとおりです。
但し州によって買うときのルールが違い、オハイオは身分証明書(運転免許証)を見せて、その店が警察にお客を照会してからでないと売ってくれません。
でも店も早く売りたいわけですから、これがどこまで実行されているかはわかりません。

専門の銃砲店はあちこちにあり、ここでも簡単に買えます。
それに銃だけのフレアマーケットがしょっちゅうどこかであります。私もどんなものかなのか、行ってみた事があります。ド肝を抜かれました。

日本でいうところの、ちょっとした中学校の体育館の10倍、いえ15倍くらいのスペース一杯が、銃とその関連する物であふれ返っておりました。
このような催しが州のあちこちで頻繁に行われている、という事はいかに銃が普及しているかの証でもあります。

ここで印象的だったのは、35才くらいのお父さんが、10才くらいの男の子にジャックナイフの見立て方を教えている姿でした。そして最後にはそれを買い与えておりました。
つまり、親が子供に武器を与える、武器の使い方を教えるというのは、オハイオでは子どもに飯の食い方を教えるのと同じ意味があるのではないかとさえ思えます。

近所の射撃場に行った時、お父さんとお母さんが中学生くらいの女の子に、拳銃の使い方を一生懸命教えている姿を見た事もあります。
そしてそのあと、即実践。50発程ガンガン撃ちまっくっておりました。
その女の子はきっと、自信を持って標的を躊躇なく狙って引き金を引けるようになったと思います。

高校生とかも親に連れられて練習している姿を何回も見た事がありますから、そんなに特別な出来事ではないと思います。使い方をきちんと覚えておくという事は、そのような危険に囲まれているアメリカでは、
自分が長生きするために「必要な事」だと考えているのでしょう。
銃のお値段

一体銃っていくらくらいなの?よく質問を受けます。
残念ながらマニアではないので詳しい値段の知識はありませんが安い方の値段は次のような感じです。

自動拳銃:$150くらいから
回転式の拳銃:$100くらいから
ショットガン:$100くらいから
ライフル:$80くらいから

38口径のベルギー製のスゴイ軍用拳銃$700なんてのを見た事があります。
とにかく$100もあれば十分ではないでしょうか。

タマはどこでも売っております。タバコを買う感じで売ってくれるようです。ちなみに日本でもあちこちにある、Kマートでもタマは売っております。


銃とと言っても「拳銃」を問題にしている訳で、ライフルは殆ど問題になりません。ライフルは拳銃と違って犯罪に使われ事が少なく、第一多くの人が狩猟を楽しむ国で、ライフルはスポーツ道具の一種と言えると思います。
私も1丁95ドルで買いました。古い銃だったので、分解して油を塗り込み、再度組み立てました。1丁95ドル、タマが60発で81ドル。

オハイオのこの辺りではライフルの射撃場は限られており、私の家からですと車で20分程離れた田舎に方に何カ所もあります。
身近で起きる銃の事件

当然これだけの銃が氾濫しているわけですから、これにまつわる事件も多いのは当然です。年間何万人もの人が銃で命を落としており、これは日本のでの交通事故で死亡する人数の3ー4倍になっております。

私の職場でも、半年程前にある人の妹が銃で殺されてしまいました。
理由は離婚の話がもつれその夫に殺され、そしてその夫もその銃で自殺したというものです。職場では個人的な事でもあり、話題にはしませんでしたがテレビのニュースにもならなかったそうです。

またある街では銃を持った高校生が地下室に立てこもり、周りの人が避難をして警察のヘリコプターが飛んできたという話も聞いた事があります。

つい先日はイリノイ州の大学生が、有色人種ばかりをあちこちの離れた場所で何人も射殺して捕まるという事件もありました。とにかく余程の事でもないと、ニュースにもならないというのが実態です。

このようにアメリカは銃の危険と隣り合わせの社会ですが、銃をなくそうという声は一向に出てきません。アメリカ人も大半は銃は問題であると考えており、これは間違いはありません。

ところが、
銃は問題であるから、自分の命を守るために銃を持つ、という考え方をするのです。
アメリカ人というか、アメリカの特徴は、問題の根っこを取り除くという努力より、その問題にどのように「対処」するかという考え方が非常に強い。
あるいは
銃はない方が良いが、完全にはなくならない、だから銃を持つのだ、という考え方のようです。

「SHIN、お前本当にアメリカから銃がなくせると思ってるのか?」
「努力すれば不可能ではないと思う。」
「じゃ、銃がなくなるまではオレは銃を持つよ。オレの命はオレが守るのさ。」
銃を持たない人達

教会の牧師さんでも銃を持つ社会ですが、銃を持たないという主義を貫く人もおります。
その理由は、銃で殺されそうになった時は銃で反撃するよりも、無抵抗の方が命を落とす確率が低いと考える人達です。
銃を持った強盗に銃を見せるから撃たれるのだ、見せなければ撃たれない、というのがその理屈です。

私も一部これは賛成で、私は拳銃は今のところ持っておりません。
拳銃は相当練習しないと正確な射撃は難しいし、多分何かあった時はこれに頼ると思うからです。そして多分撃たなければならない瞬間に躊躇するかも知れないからです。
躊躇したらそこでおしまいです。きっと相手に先に撃たれるからです。
銃は威嚇に使う物ではない、抜いたら頭か心臓めがけて、即撃つ、これが鉄則だそうです。

ある田舎街にアメリカ人と出かけた時、車から出て私は道路と家の境界線を越えて歩いたら、そのアメリカ人から注意されました。
「そこの家の窓からズドンとやられても文句は言えませんよ。こんな小さな街はだれがよそ者なのか、直ぐにわかるのです。敷地内に入ったところを撃たれたら警察は何も言いません。」

寝室には38口径1丁、ご婦人のハンドバックには22口径1丁、車のダッシュボードには38口径1丁、これに加えて田舎に行くとショットガンとライフル各1丁、まあこんな感じでしょうか。

やはりどこかおかしい国です。
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