オハイオの美術館、博物館−1
アメリカのちょっとした都市の美術館、博物館は驚くほど充実しております。
私は特に美術館に興味があり、いわゆるアメリカの有名美術館には相当に足を運んでみました。シカゴ美術館、ニューヨーク美術館、ボストン美術館、ワシントンのスミソニアン美術館etc。

オハイオにもいくつもの美術館、博物館があります。ここではオハイオで一番と思われるクリーブランドの美術館を紹介します。オハイオはトウモロコシ畑と、野暮なドイツ系の原住民だけの州ではないところが、ちょっぴりとわかります。
クリーブランド美術館の入り口

クリーブランドまではコロンバスから250km弱、車で2時間少しで行けます。美術館はダウンタウンの中にあり、きれいな公園に囲まれております。

入場料は無料、気持ちとしての寄付を受け付けており、私達は4人で出掛けましたが、1ドルを寄付しておきました。
但し駐車料金は以外と高く、3時間で6ドルを取られました。
クリーブランドはまた、フィルハーモニーでも有名で、日本でも時々演奏をしております
2階の現代美術のコーナー

建物は地上2階、地下1階の非常に大きな建物です。鑑賞の順番は2階からで、先ず現代美術のコーナーが少しだけあります。

ここは基本的に撮影禁止で、多分作者が現役なので、著作権の問題があるからなのでしょう。
私は現代美術には、あまり興味はないのですが、時々名前を聞く有名な画家の絵がありました。

ここには日曜日に行ったのですが、ごらんのとおり入館者は非常に少なく、ゆったりと鑑賞をすることができました。
古代エジプトの美術品

死者の棺、坪等の他に立派な壁画の一部がありました。
写真は撮り損ねたのですが、色彩もかなり残っており、シカゴ美術館で見たものより立派なものでした。

部屋は殆ど真っ暗なのですが、人が入るとごらんのように明かりが点灯するようになっております。光線で美術品が傷むのを防止するシステムのようです。
紀元3ー4世紀のトルコの胸像

トルコの胸像を見たのは始めて。見事な出来映えで、傷みも殆どありません。

アメリカの美術館は日本に比べて広々としているだけではなく、レイアウトのセンスと光線の使い方が非常に優れている印象を受けます。

残念なのは説明がすべて英語(当然か?)なので、これを全部読む事が出来ない点です。また普段使わない単語が多く、読んでも理解できない事が多いです。
中世の鎧の部屋

なかなか立派な鎧、武器のコレクションです。
館内は何カ所か写真撮影禁止の部屋があり、ここもその一つでした。鎧、武器は殆どドイツのもので、一部スペインのものがありました。オハイオはドイツ系の移民が多い州で、その関係なのでしょうか。

鎧はいずれも非常な重量のようで、これを着て戦場に行った武者は、落馬すればそこで鎧を脱ぎ捨てる前に串刺しにされる事が多かった、というような事が書いてありました。
鎧の武者は馬に乗るときはクレーンのようなもので吊られて乗ったとも説明がありました。
各時代の絵画の展示室

中世以前の宗教画、ルネッサンスとそれ以降の19世紀の終わりまで、各時代のヨーロッパの絵画が数は少ないのですが、8部屋くらいに分けて展示がしてあります。

ここの美術館の特徴は、部屋の真ん中に必ず彫刻が置いてある点で、今まで写真でも見たことのない、ロダンの佳作とかも多くありました。

黒人のおばあちゃんと孫の2人連れが熱心にあちこちの絵を見ておりました。おばあちゃんが連れてきたのでしょう。
絵に見入る私の娘達

私の娘2人はどこまで絵に興味があるのか、よくわかりませんが、とにかく絵は本物を多く見ることが大切です。

時代と国(この場合ヨーロッパの国)で明らかに「流行があった。」というところが入り口である、と言っているのですが、わかったかな?

クリーブランド美術館は、絵画展示室の壁の色がまずい印象を受けました。絵が壁に沈んだ感じになっておりました。
典型的な展示室のイメージ

絵画と彫刻の組み合わせは見事で、大美術館に比べて絵画の数の少なさを十分に補っております。
誰もが知っている有名画家の作品もあちこちにあり、えっ、これがここに?という作品もありました。

2部屋に1人くらいの割合で、監視の職員がおり、写真を撮っている私の方を、怪訝な目つきで見ておりました。
アメリカ人はこのような場所では先ず、写真を撮りません。

大体、アメリカ人は写真が嫌いです。写真に写ると魂を抜かれると思っているフシがあります。(これホント)
東洋美術コレクション

このような美術館でも、ちゃんと日本のコーナーがあり、入り口に鎌倉時代の仁王が、さらにその奥には銅鐸が置いてありました。
私はこのような大きな銅鐸を見たのは始めてです。

この奥には中国、韓国、それに東南アジアの美術品が多く陳列されておりました。
熱心にメモを取っている白人が一人おりましたが、何の研究をしている人なのでしょうか。
江戸時代の屏風

これもなかなか立派なもので、描いてあるのは源氏絵巻です。
このような屏風は日本でもあちこちで見かけますが、クリーブランドの屏風は、色が非常に鮮やかに残っている印象を受けました。

これ以外に水墨画とか、浮世絵も何点かありました。
定番の日本刀はここでは見かけませんでした。倉庫にしまってあるのかも知れません。
アメリカの美術品

アメリカの美術品と言うと、まずアメリカ合衆国の先住民族であるアメリカインディアンのもの。
それにメキシコ、ペルーその他の中南米の国々が古い素朴なものをたくさん残しております。

メキシコの織物は(正式な名前は忘れました)大変綺麗で、アメリカインディアンのものとも違い、また南米のそれとも違う独特のものが、多く陳列されておりました。
クリーブランドの美術館はゆっくり見学をしても4ー5時間でまわれる規模ですが、なかなかの内容です。
有名大美術館には及びませんが、シカゴ美術館とか、スミソニアンの美術館のように丸1日かけても、「何か心残りがする。」という気持ちにさせないので、精神衛生上は大変良い美術館です。

「XXX博物館」というのもオハイオ州の中にはあちこちにあるので、暇を見つけて訪れるのを楽しみにしております。
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