東京見物−4
アメリカに転勤になって2回目の帰国休暇。でも半分以上を仕事でつぶされてしまいましたが、そこは考えようで、つまり私の大好きな東京見物ができるのです。
今回はあの東京見物では絶対に欠かせない浅草に行ってみる事にしました。

いつものように時差ボケで朝の3時には目が覚めてしまう私。それで6時半には朝食を済ませて、何もすることがない私。
浅草は昔の古きよき時代の東京の香りを残しているところで、東京というと高層ビルに囲まれた大都会を思い出してしまうのですが、ここだけは別。とにかく時間を気にせずにデジカメだけをポケットに入れてぶらりと浅草に出かけてきました。
遊覧船で隅田川から浅草へ

浅草へは地下鉄なんかを利用して行ってはいけません。
浜松町から遊覧船で隅田川を上って行くのが正統派なのです。

この日は気温は8度、風もかなり吹いており、結構な寒い日でしたが、ごらんのとおり視界のよい、暖房の効いた遊覧船は快適でした。

1時間に2往復、約30分で浅草に着きます。冬の隅田川の水は真っ青で本当にきれいです。
隅田川沿いの風景

隅田川は地元の人は大川というそうです。
確かにこうやって遊覧船に乗って川を上ると、視線が低いせいもあって隅田川の川幅の広さに少し驚きます。

川沿いは大きな近代的なビルと、高層マンションが目につきます。
日曜の朝という事もあり、走っている車はほんのわずかで、のんびりとしております。川縁には屋形船もたくさん繋いであるのが見えました。

私は屋形船での宴会は嫌いです。あの天ぷら中心の料理が何とも見るだけでお腹がぐっと張って来るのです。
人力車

船着場は、そこはもう浅草の香りがプンプン。
まず目に入ったのがこの人力車。曳き夫はみんな20才台の若者。

私も声を掛けられたのでちなみに値段を聞いてみました。確か30分くらいで4000円。もちろん案内付ですですがちょっと高いかなー。

赤いケットを膝に置いて乗せてもらっている2人も若い人たち。写真をここで撮ってもらっている姿をしばらく眺めておりました。
雷門

観光船の船着場から歩いて2分、そこはもう浅草のど真ん中。意外とたくさんの人がいてびっくり。
言葉をじっと聞くと少々訛りのある人が多いような気がしましたが、気のせいかな?

ごらんのようにここで写真を撮る人が多くて歩くのが大変。しばらくボーっとしてこれらの人を眺めておりました。

ここから歩いて30秒のところにイイ寿司屋があり、日本にいた時に何度も足を運んだことを思い出し、ちょっと店の前まで行ってみました。
以前と同じ店構えで、何も変わっていませんでした。
仲見世

浅草寺に続く200mくらいの通りがあの有名な仲見世。
いろいろなお土産を売っている、見るだけで本当に楽しい通りです。
少々気温は低かったのですが天気も良く、ぶらりぶらり店を覗き込みながら浅草寺に向かいます。

意外と外国人が多く、ここが東京の有名な観光地になっている事がうかがわれます。
コートのポケットに手を突っ込んでふっくり歩き、30分以上もかけて歩きました。。
人形焼屋さん

燃せ先で職人さんが作るところを見せている店が何軒もありました。
人形焼というのははっきり言って日本全国どこに行ってもある漉し餡の入った、タイヤキとお饅頭の中間のようなお菓子。

これ以外にもしょっと珍しかったのが、菓子昆布を作って売っているお店。
私が幼稚園くらいの頃の大昔、10円玉を握り締めて近所の駄菓子屋に買いに行ったことを思い出してしまいした。
黄楊の櫛

仲見世からちょっと横にそれた通りに行くと黄楊の櫛屋さんが目につきました。
見事な櫛が店先に並べられておりますが、いずれも結構な値段。
5万円なんてのがありましたっけ。

若い二人連れがあれこれ物色していると店の女将が出てきました。かなり年配の方ですがきちっと着物を着て、きちょっと化粧をしたご婦人。
小沢昭一が言うところの、もと(失礼)浅草美人でしょうか。
浅草寺の本堂

仲見世を通り、やっと本堂にたどり着きました。結構な人と鳩の群れ。

この左手にはずらっと出店が並んでおり、主に食べ物を売っております。
おでん、とうもろこし、甘酒、そうそう浅草は焼きそばも有名だそうです。

本堂に上がり、お賽銭を投げてちょっとお願い事を。でも100円ではご利益が少ないかな。
猿の曲芸

浅草寺の横には神社があり、名前は浅草神社?間違っていたらゴメン。
ここでも同じくお賽銭を投げて願い事を。

私はお寺だろうが、神社だろうが、モスクだろうが、教会だろうが、ご利益のありそうなところでは、とにかく100円を投げます。
全く節操がありません。

境内ではごらんのように若い女の子が猿の曲芸を見せておりました。猿の曲芸よりも、人間様の口上を聞いているほうが面白かった。お猿さん、ゴクロウサマ。
昼ごはん

朝早くから歩き回り、お腹がすいてきました。
浅草に来て気取ったレストランで食事をしても始まりません。
いわゆる「食堂」で食べなくてはダメなのです。雷門通りに出てなるべく古そうな食堂へ。あいにく満席でしたが同年代のオジサンと相席で、しばし知らない者同士、話が弾みました。

これらの食堂は量、質、値段、3拍子そろっており、ごらんのもので1000円!
ファミレス、とかいう訳のわからないところが増えましたが、正統派はこのようなバタ臭い所には行きません。
寿司屋通り

雷門の西の通り、六区の南に「寿司屋通り」というのがあります。確かに寿司屋が多いのですが、本当の名前の由来は知りません。

何かで読みましたが、司馬遼太郎先生が「浅草は京都に比べてセンスがない、云々」と書かれておりました。

私は気取った街、人、食い物、このようなものを見るとジンマシンが出ます。
いいじゃないですか、センスなんかなくったって。

その点、オハイオは完璧にセンスがなくて、浅草人には抵抗がないと思います、、、が。
浅草園芸ホール

六区の興行街の中にあります。
よくテレビで見る、三遊亭何とかさんと桂何とかさんの落語をやっておりました。
入って見たかったのですが時間がなくて残念、諦めました。

この付近には映画館、その他特殊ダンスを見せる所とか、一人でブラブラ歩いても楽しいところです。
それと浅草の興行街はいずれも清潔な感じの建物、通りした。
映画でも見て、そのあと山ほどある居酒屋で一杯、今度やてみます。
居酒屋

この居酒屋はうんと大きい方。もっと小さなところが山ほどありました。昼間から大賑わいで、名物「モツ煮」の他焼き魚、焼き鳥とか、とにかくおいしそうなものばかり。それに非常に安い!3000円あれば天国に連れて行ってくれる感じです。

もう入りたくて仕方なかったのですが、入ったら最後、一人では歯止めがきかなくなるので、この日は見るだけ。

皆さん、何か一生懸命新聞を読んでおりますが、この日は中山競馬のレース日。競馬ファンでごった返しておりました。
チンドンやさん

本当に何年ぶりで見たのでしょうか。あるパチンコ屋の前でやっておりました。

ちょっと裏悲しい響きの、クラリネットの音。
それに合わせて2人の女性が体でリズムをとりながら、チンドンやる姿。
もう日本でもそんなに見ることはできないと思います。

場外馬券売場の正面、酔っ払ったオジサンがこの2人の前でなぜか、阿波踊りをやっておりました。万馬券でも当てたのかな?
古き東京の物を売るお店
興行街を更に北に行ったところ、昔どこかで見たいろいろな小物を売っている店を発見。

あまり熱心に見ていたら、店の人が「ダンナ、写真撮りますよ。」と言って羽子板の前で一枚撮ってくれたのですが、なぜか写っておりませんでした。

いずれも結構高価で、ちょっとした茶箪笥が35万円。
これを置くにはそれなりの部屋が必要です。
江戸切子

あちこちの店で見かけましたが、本当にきれいです。
気に入ったものを少しずつ集めているのですが、この日も一個。
大体が2000円から8000円くらいで手に入ります。

江戸切子のグラスで辛口のお酒を冷やして飲むのは最高です。
この場合のアテは、もつ煮込みではなく、中とろの刺身と季節の山菜がお勧めです。
飲兵衛の私も最近、風情にこだわるようになってきました。
路地の飲み屋

ちょっと路地に入るとこのような飲み屋が無数にあります。そろそろ夕方、さすがの私も歩きつかれてきました。

もう私も限界。そこで30分3本勝負に決めました。
つまり30分で、酒またはビール3本以内で店を出る。

愛想のいい女将相手に、つい1時間3本勝負になってしまいました。
ややこしい事を忘れ、やっと日本に帰ってきた気持ちになれました。
再び仲見世へ

ほろ酔い加減でブラブラとあちこちの店をのぞきながら夕方の浅草を歩く。
もう一軒居酒屋に入ってみようかと迷いましたが、時差ぼけと歩き疲れたせいか、いつもより酔いが回っており結局断念。

もうほとんど、小沢昭一の世界の入り口です。が、残念ながら私の宿は浅草ではなく、池袋。

今度は体調を整えて行かねば。
日本にいたときは浅草に行ってみようという気持ちはそんなに強くはなく、まあ名所らしから、という理由で行っただけです。
休暇一時帰国のすごし方はいろいろとあると思いますが、アメリカの垢を1日で落としてしまう、これが秘訣だと思います。
パチンコをやって、日本に帰ってきた事を実感した人もいるそうですが、私の場合は賑やかな所に出てぶらつく、この点では浅草は最適な場所です。

浅草は気取らず、食べ物もお酒もおいしい所でした。
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