日本の短波放送の受信 : ちょっとだけ知っておくことがあります
オハイオで日本の短波放送(NHK)を聞くことについてオハイオ日記で紹介をしましたところ、何人もの方から質問のメールを受けました。
びっくりしたのは、短波放送の受信に興味を持っている方が意外と多いことでした。そこで改めて短波放送の受信について、ご質問のあった内容を含め、もう少し具体的な内容について書いてみたいと思います。
どんなラジオを準備したらいいか。
日本製、台湾製、韓国製、いろいろなメーカーから売られています。大抵は短波と同時に中波の放送、FMも受かるようになっています。
ポイントは受信周波数がデジタルで表示される形式であること、受信周波数はテンキーで入力できると共に、昔ながらのダイヤルをくるくる回す方式も併用できるタイプがいいと思います。

値段は高くても200ドルから250ドルくらいで買えると思います。デジタル表示のラジオの中にはメモリーがあって、いつも受信する周波数をメモリーに入れておく事ができます。

アンテナはどうしたらいいか。
このようなラジオを買うと普通は、数メートルのビニール線のアンテナが付属しています。

短波放送を聴くにはアンテナは必須で、ラジオに付属している、伸び縮みするアンテナ(ロッドアンテナ)では受信できないと考えて下さい。

本当は10mくらいの長さが欲しいところです。
付属以外のアンテナを自分で作る場合のビニール線は、ホームセンターとかで売っています。

そんな長い線をどこに張るのか。
アメリカの家は木造が多いので、室内アンテナでOKです。1階であれば天井に近いところの壁に画鋲で止めておけばいいし、2階であれば床と壁の境目に同じく画鋲で止めておけばいいと思います。
線はグルグル巻いたりしないで、なるべく真っ直ぐに伸ばして下さい。10mの長さがあっても、直径30cmでグルグル巻いたら、何の意味もありません。

これで受信のためのハードウエアーはそろった事になります。

周波数はどうやって調べるか。
NHKの国際放送のスケジュールのWEBサイトで調べるのが一番簡単です。このWEBサイト、非常にわかりにくいので、北米で聞ける可能性のある周波数と時間帯は次のとおりです。この時間帯に、この周波数を合わせればOKです。

・5960KHZ  : 21:00〜24:00 (北米向け)
・11705KHZ : 08:00〜10:00 (北米向け)
・11895KHZ : 17:00〜18:00 (南米向けですが、よく聞こえます)

その他の地域向けの周波数と時間帯がWEB上で紹介されており、受信できる事もありますのでトライしてみて下さい。これを見ると、中国とか東南アジア方面は24時間に近いくらいの頻度で放送されているのですね。

放送はいつも安定して強く受信できるか。
短波は電離層という、地球を取り巻く一種のイオン層と地球の大地の間を屈折しながらぐるっと地球の上を伝わっていきます。
電離層の状態は季節、時間によって変化します。ですから昨日は強力に聞こえたのに、今日は雑音交じりという事があります。

普通上記の北米向けは年間を通じて90%は非常によく聞こえます。この周波数の電波は、実は日本からではなく、カナダ東部の送信所をNHKが借りて電波を出しているのです。日本から送信されている周波数の放送は、西海岸では非常にうまく受信できるようです。
その他知っておくといいと思うのは次の項目です。

・日本語放送はNHK以外にもあります。
以前はヨーロッパとか南米とかから、日本向けにたくさんの国が放送をしていましたが、今はアメリカとアジアの少数の国が、日本向けにやっているだけで、北米ではあまり聞こえません。
また内容は全くの政治放送で、面白くも何ともありません。というより非常に不愉快な内容です。こう言えば、どこの国の放送かお分かり頂けると思います。

・ラジオ受信機自体は凝るとキリがありません。
200〜250ドルも出せば性能的には十分な小型(文庫本2冊を重ねたくらいの大きさ)の素晴らしい新品のラジオが買えます。が、凝りだすとキリがありません。
1950年頃のアメリカ製の真空管式高級短波受信機なんか見てると、その頃はアメリカもスゴイ電子技術があったんだー、って感心しちゃいます。

・英語を母国語としない人のための英語放送があります。
アメリカの声(VOA)は世界中に向けていろんな言葉で、強力な電波を送り込んでいます。日本語もあります。
この中に英語を母国語としない人向けの放送があり、非常にわかりやすいしゃべり方と、限られた単語だけでプログラムをこなしています。

・放送は短波の周波数の全域でやっている訳ではありません。
5.9〜6.2MHZ、7.1〜7.5MHZ、9.5〜9.8MHZ、11.7〜11.9MHZとかいう具合にある周波数幅が何箇所か指定されており、その中で聞こえます。
オハイオで短波放送を聞くと、中南米、ヨーロッパの放送が日本よりよく聞こえ、逆にアジアの国はあまり聞こえません。
短波放送受信は最初は少しまごつくかも知れませんが、コツをつかむのは簡単です。今はインターネットで情報は何でも手に入りますし、衛星中継でテレビも自由に見れます。短波放送を受信して情報を得るとか娯楽を楽しむという必要性は、今は殆どゼロかも知れません。
このような部品を集めて、短波ラジオを作ります
でも短波放送での少し雑音混じりの中から聞こえてくる日本語のニュースとか、ちょっと古めのなつかしい歌謡曲、フォークソング(この言葉、年を感じます)は何ともいえません。
それに「電波を受信している。」、という実感があります。ああ、オレも日本の裏側にいるんだと感じます。

最近日本では私より年上の、時間とお小遣いにはあまり不自由しない年配のオジサンの間で、短波ラジオの製作と短波放送受信が密かに流行していると聞いています。

実は私なんかが中学生以下の頃の大昔、短波で外国の放送を聞くというのは少年たちの憧れでした。
ラジオを組み立てるという事に対する科学的な好奇心、それとスピーカーから聞こえてくる異国の言葉と音楽、この2つが少年の心を捉えない訳がありません。

そしてそのオジサン達は今、その頃の夢をやっと実現できる状態になった、そういう事なのかもしれません。意外と多いですよ、昔短波ラジオが欲しかった、っていうオジサンは。

今の少年達が夢をふくらませる事のできる、「何か」って何?ちょっと見えにくくなっているのが気になります。
参考になるWEBサイトです。

・NHK国際放送の番組・周波数ガイド:全世界向けのNHK国際放送の案内がされています
・短波ラジオを売っているコロンバスの販売店:ON LINE CATALOGの中のSHORT WAVE RECEIVERを見ます。
・片手にラジオ:短波放送を初めて聞く人のために分かり易く、いろいろと解説がされています。
・SHORT WAVE STATION OF THE WORLD:VOAの「SPECIAL ENGLISH」の周波数、その他内容豊富です
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