16−08−24 働く人達
私の会社には多くの設備があります。
と言うか、設備で成り立っている会社と言っても過言ではありません。金型設計用の専用CAD/CAM、金型加工用のワイヤーカットマシン、MC等、各種プレスマシン、溶接機、その他数えきれない設備が工場内にはぎっしりと詰まっています。

設備は一部を除き全てが日本製です。最近は台湾製などでかなり性能の優れた設備もありますが信頼性の面からやはり日本製に勝るものはありません。
これら設備は日本から輸入、又は親会社経由で持ってくる設備もかなりあります。設備は2年くらい使い込むと初期不具合も少なくなり、非常に安定して作動するからです。
これらの保守ですが日本の設備メーカーはフィリピンの設備保守会社と代理店契約を結んで、これらにやらせます。

そんな中、今年の初めに日本のメーカーから購入した設備が故障をしました。フィリピンの保守会社が対応してくれましたが何度も故障をし、手に負えない事がわかりました。
設備製造メーカーは日本からサービス・エンジニアーを派遣して対応する事を決めました。

サービス・エンジニアーのYさんは予定より1日遅れで1300にマニラに到着し、そこから車を飛ばして15:00から作業を開始しました。
翌日も朝から作業を開始、昼前に私はYさんから簡単な中間報告を受け、そのまま昼食を一緒にする事にしました。
昼食は大体が車で10分ほどのところにある日本レストランで食べます。

食事をしながらYさんからいろいろと話を聞くことができました。
Yさんは経験十数年のサービス・エンジニアです。

普段は月曜から金曜、時には土曜日も日本全国の何百と言う客先を回って設備のメンテナンス作業をやっているそうです。
そして頻繁にヨーロッパ、アジア、アメリカなどの客先にも行くそうです。

「技術があって世界中ひとりで飛び回れる人ってそんなにいないでしょう?」
「いません、ウチでも3人くらいです」

代理店が受け入れをするとは言え日本人駐在員がいるのは2カ国だけです。
1人で行って、1人で泊まって 診断・作業を・最終検査をやって納品して帰ってくる、、、なかなか大変な仕事です。
もちろん最後の診断・修理報告書も英語で書いて客先関係者に英語で説明をします。

Yさん、フィリピンは初めてだと言っておりました。
こういうサービスエンジニアーになるには素質もある程度要求されるのでしょうが、やはり本人の努力が第一でしょう。
今の設備のメンテナンスはメカと電気と制御の知識、それに経験が必要です。

そしてこうやって世界中どこにでも飛んで行って仕事して帰ってくるYさんはこれら全てを満たしているエンジニアーです。
こういう人も日本の製造業を支えている人、イエ、世界の製造業を支えている中のひとりなのです。
もっともっと社会に知られるべき人たちだと思いました。。
会社は10:00と15:00から15分間の休憩があります。私も時々食堂に行ってコーヒーを飲みます。コーヒーとペットボトルの水は会社負担で無料にしてあります。
私はマイ・カップを食堂に預けてあるのでコーヒーを頼むとそれで持って来てくれます。

"I LOVE NY"、と書いてあるマグカップなので社員からは、「いつ "I LOVE Phlippines" になるのですか?」、とか言われています。

昨日は工場長のNEさんと休憩しながら話をしました。NEさんは兄弟の中の3人がアメリカにいるそうです。これは初めて聞きました。全てエンジニアとしてNY,ニュージャージー、イリノイ(シカゴ)の会社で働いているそうです。

NEさんは確か49歳でまだアメリカに行った事がなく、このクリスマス休暇にシカゴの弟さんのところに行くそうです。
「冬ですから寒いんでしょう?」
「外は確かに寒いですが建物の中は快適ですよ、心配はいりません」

知られているようで日本人があまり知らない事にフィリピンでは国民の10人に1人、つまり1000万人の人が外地に住んでいる、仕事をしています。単純労働から高度な技術者まで様々です。
ですからフィリピン人に聞くと親戚の中、友人の中に必ず外地で働いている人がいます。

フィリピン人はなぜ外地に行って働く事ができるのか、興味のあるところです。
理由はまだよくはわかりませんが、フィリピン人は逆境に強そう、また日本人などとは比べ物にならない社交的な性格、それと英語が話せる、等が今のところ思いつきます。
これからも会社の社員などを通じていろいろと考察をしてみたいと思います。

日本人も日本で働くところがない、とマスコミは盛んに伝えます。これは政治が悪い!とか適当な事言っています。本当でしょうか?
”働くところがない”、というのは言い訳で実は、”あんまり働く気がない”、という人が日本の場合かなりの割合でいるような気がするのですが、、、。
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