16−07−03 ショック
フィリピンの会社に来て約2ヶ月が経ちました。
経験のない業界、経験のないポジション、初めての国、2月までは全く知らない部下、そういう環境の中での仕事・生活、ある意味でエキサイティングであります。

その中で一番大きな”未知の世界”は当然の事ですが、”フィリピン人”、です。
私は日本人、日本で生まれ日本で育ち、日本で教育を受けて、日本の会社で働いてきました。そして45才の時にアメリカ合衆国オハイオ州の現地法人に転勤、そこで14年間仕事をしてきました。

会社を定年になってからは憧れの定年後生活を始め、それを満喫していました。
ところが気が付いたらフィリピンという国に来て現役復帰、定年後の第2の勤めというポジションではなく、完璧な現役ポジションで仕事を始める事になりました。

今は朝は6時前に起床、7時に車に乗り会社に着くまでの1時間、メールをチェックします。
時には日本に電話をします。日本とは時差が1時間なので本社は既に始業しているのです。
そしてその日の仕事の計画を頭の中で立てます。

会社では電話で日本人の誰かと話をする以外に日本語を使うことはありません。ナゼなら日本人は会社の中では私ひとりだからです。
夕方は大体6時頃には会社を出ます。
食事はひとりでする時もあれば取引先と会食をする事もあります。

基本的に朝起きてから寝るまで周りにいる全ての人はフィリピン人という環境です。
そのフィリピン人、いったいどんな人達なのか、私が20年前に日本からオハイオに転勤したときに最初の1年間くらいで感じたオハイオ人の特徴が、実はその後の印象を割と正確に捉えていたという経験があります。
つまり最初の6ヶ月間〜1年間(人によって違う)は”違い”に非情に敏感になっているからです。

”こんな違いがある”、というのは年月を経ると違いではなくなります。
つまりその違いに自分も同化していくようなところがあって、ある年数を経ると自分も最初に感じた”違う側”になっているのです。

そこで私は毎日30分間を使って、その日に感じたフィリピン人の事についてメモを作成する事にしました。
自分の感じた事を文章に書くようにすると漠然としている事も具体的になりますし、感じた事の細かい部分などは1日もすると殆ど忘れてしまうしまうからです。

例えば会社の検査工程の作業員は全員女性です。
そして90%が派遣会社からの要員です。

これらの人はナゼか他の多くの正規社員より小柄で、それぞれ顔つきも正規社員」と違います。ナゼか?
こんな単純な違いだけでも何か理由・原因がありそうです。

私は昼食は時々会社の食堂で社員達に混じって食べます。
前任者は会社の食堂で昼食を食べたのは4年間で3回だけだったと言っておりました。
社員達は概ね私の娘達より若い年齢で礼儀正しく、そしてよく笑い、いろいろと話掛けてくれます。

そいう場を使ってちょっとした疑問とかの質問をして話をするのは大変楽しいものです。
さて1ヶ月半が経って困っていることは何か?
一杯ありますが、その中でやっぱり、、、というのが英語です。社員は全員英語をしゃべります。
が、その英語が聞き取れないのです。
これはショックです。

ナゼ、聞き取れないのか?
理由は彼等のしゃべる英語はタガログ語イントネーションの英語、英語の中にタガログ語を混ぜる、更に気を利かせて日本語を混ぜたりもするので殆ど聞き取れない社員がたくさんいます。

これは他社のいろんな日本人に聞いてみました。多くの人は「わかる」、或いは「わかりやすい」、と言う返事でした。
これもショックです。

1ヶ月くらい経った頃から会議の時などは私の隣にすわるR副社長が、「今言っているのはこういう事ですよ」、と教えてくれるようになりました。
そうしないと判断を誤る、というより何を判断したらいいのか、これさえわからない時があるからです。
彼女の話す英語はまあまあ聞き取れます。

R副社長に話をする時でも万が一の誤りがあってはまずいので要点のメモを作り、それに従って話をする、という方法をとっています。
また私は話の内容を図に書いたり、表にまとめたりするのは割と得意なので、「今の件は私の解釈ではこういう事だが、これで間違いないか?」、と図表をホワイトボードに書いて中味を確かめる事もあります。

私は英語は”読み”、”書き”、”話す”、はあまり問題はないのですがとにかく”聞く”、これが現在大きな問題になっています。
皆さんの話によると、「半年もすれば慣れますよ」、という事らしいのですが本当に慣れるのか、今の状態からすると何だか信じられません。

ショックです。
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