16−02−25 本当の姿
■ 南海トラフ地震 <山岡耕春著 岩波新書> ★☆☆☆☆

著者は火山学、地震学の専門家である。
この本は南海トラフ地震がどれくらいの確率で起きるのか、そのメカニズムはどうなっているのか、という内容を地学の授業のように解説している。

中味は地震の解説と併せて全体の30%程のページを、"被害予測と震災対策"、の章に割いているがこれが極端に具体性に欠けており読んでいて拍子抜けしてしまう。
例えば、「津波の対策は、"住宅は高いところに建てる"」、と木を鼻でくくったような書き方である。
唖然としてしまう。

学者である筆者がいろいろと難しい研究をしているのは何となく分かった。極めて高い確率で南海トラフ地震が起きる、という事もわかった。
しかし、「その地震によって何がどうなるのか」、という肝心の”次の話が空っぽ”なのである。

「私達は日本列島の自然が引き起こすごく希ではあるが大規模な災害と災害の時期に生かされてきたのかも知れない。この事を理解して日本列島で生きていきたい。」

これがこの本の締めくくりの言葉である。筆者はナゼか最後は仙人になっている。
一体この本は何の本なのか、地学が好きな方にはお勧めできるかも知れないが。
■ ヨーロッパから民主主義が消える <川口マーン恵美> ★★★☆☆

今EU・ヨーロッパで何が起きているのか日本のマスコミの報道だけではよくわからない。
ユーロ通貨の問題、ギリシャの問題、ドイツという実は大帝国の問題、そしてテロと難民の問題、この本はそれらの問題を個別に、そして相互の関係を分かり易く説明してくれる。

日本ではEUのテロの問題を"差別問題"、として捉えている人が多いが、全く違う。イギリスがEU離脱についてなぜ国民投票をしようとしているのか、これもよくわかった。

国益とは何か、国境とは何か、個々の国をEUという枠組みの中で連携してきたが限界に来た。
EUはこの先どうなるのか、著者はかなり悲観的に見ている。

「民主主義を守るためには主権が必要なわけで、更に肝心なのはその主権を守るために何が必要かということだ。」
「日本人は国益や国防は、ともに邪悪なもののように思っている人が多い。国を守ろうとする政治家のことを反民主主義のようにいう人は、何か別の、偽物の民主主義思想に脳みそを侵されているのではないか。」

EUの混乱から日本を見た筆者の言葉である。読みやすい本である。
■ 円安亡国 <山田順著 文藝春秋> ★★★☆☆

日本経済はさらに衰退、その結果としてドルに対する円安が進行、そして日本経済の復興は難しい、というのが前提になっている本である。

日本は太平洋戦争で米国に敗れ、そしてアメリカのマネー戦略の結果、バブル経済を経て不況に陥りアメリカに「第2の敗戦」を喫した
筆者はグローバル経済の中心はアメリカで、ドルで回っている、という事実から目をそらす事なく、冷静に認識しなくてはならないと説く。

ドルで日本経済を見た場合、実はここ数年の株価というのはそれほど上がっていないという事になる。ドルで日本経済を見なくては自分たちの本当の姿はわからないと説く。
そして資産はドルで持つ、というのがこれから国も個人も生き残るために必要だと言う。

日本は結局はアメリカの属国であり、「日本は明治維新、戦後の復興期以上の大改革か、劇的なイノベーションが起こらないがぎり経済の復活は有り得ない」と断言する。

かつて日本という経済大国があり、国民は勤勉であった、、、、、日本は世界第二のGDPを生み、驚異的な工業製品を造り出す国であったが、、、」

歴史の教科書にいつかこういうように書かれるのだろうか。
正月にテレビが壊れました。音声は出るのですが映像が映りません。正月だったので買いに行くのも面倒だったのでラジオを聞く事にしました。当たり前と言えば当たり前ですがラジオはテレビで放送されるニュースのほぼ100%が放送されます。

私はもともとテレビはあまり視ない方で、食事の時(というか液体燃料注入時)にニュースを視るくらいでした。ソファーに腰を下ろして何かの番組を視るというのは1週間に数えるほどの頻度でした。
カミさんはと言うとテレビはあれば視るけれどなくても問題なし、という事で「やっぱりテレビ欲しいね」、とは言いません。

そんな訳で既に2ヶ月近くテレビのない生活を送っていますが特に不自由を感じていません。
でも何となく「視たいな」、と思う時があるのと、DVD(古い映画)が視れないのでやっぱり買おうかどうか迷い出しています。
どうしようかな〜。

■■ 素朴な疑問 ■■

日本人は始業時間を守る国民である、タイ人は終業時間を守る国民である。日本人は時間に厳格な国民と言われるが本当か?

(注:"タイ人"のところは日本人以外であれば大抵の国の人を入れても差し支えないと思います)
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