14−10−09 初日(1) 
今日から4泊5日のグランドサークル(GS)のツアー開始です。このツアーは7年前にも参加し、なかなかよかったので今回のアメリカ旅行でもう一度行くことにしたのです。

実はアメリカの西部の旅行で一番感激したのはイエローストーン・ティートンなのですが、これは9月に終わっており、参加自体が不可能になっていました。そこで二番目のGSにしたという訳です。

アメリカに来たらどんな短期間でもいいので西部を旅しないとアメリカに来た事にならない、とある人に言われた事があります。

中西部オハイオ、インディアナなどの発達した都市群と一歩郊外に出れば延々と続くとうもろこし畑、これもアメリカです。

日本ではアメリカというとNYの風景、しかもマンハッタン中心のの風景しかテレビに出てきませんが、あそこはアメリカではないと私の周りにいたオハイオ人達の多くは言っていました。

他と何もかも余りにも違いすぎているからだと思います。

信じられなないような住宅価格と物価、多くの人は他の都市に逃げ出しています。

他の場所に逃げ出せない人、そして年間に500万円とか800万円のアパート代にもびくともしない収入のある人が住む、このように2極化しているのがNYです。

さてグランドサークルとはユタ州の南にあるパウエル湖を中心に250kmの円を描いた地域の事を言い、10以上の国立公園と数え切れない州立公園などがある、アメリカンの宝と呼ばれる地域です。
この中で日本人なら誰もが知っているのがグランドキャニオン国立公園だと思います。

グランドサークルの旅で見た自然の美しさと雄大さは一生忘れること4ができません。
「スルメの味を知らない人に、何百回言葉で説明してもその味を伝える事はできない」、と言いますがグランドサークル内の大自然は実にこの比喩のとおりです。

ナゼアメリカの宝と言うのかとか、世界自然遺産とはこの事を言うのだ、とか来て見ないと納得できない事ばかりです。

この旅を日本から申し込んだ時、最初は希望日のツアーが定員一杯でダメ、更にしつこく食い下がったところモニュメント・バレーでは皆と別のホテルになると言われ、それを承知で申し込みました。
(結果的に同じホテルになった)

それにもう一つ、添乗員・ガイドがルックアメリカのツアーで超人気な"堀ちえみ"さんという事で、こりゃ何としてでもこの日に行かなくては、となったのでした。

"堀ちえみ"(芸人と同姓同名)さんは、実は8年前に同じく4泊5日のイエローストーンの添乗員・ガイドで、この人のお陰でどんなに楽しかったことか。
これも先ほどのスルメの例えで行った人でないとわからない事ですが。

出発の集合はモンテカルロの裏玄関を出たところに07:30。
スーツケースを持って外で待っていると現れました、8年前と殆ど変わららない真っ黒に日焼けした堀ちえみさんです。

「よろしくお願いしま〜す」、さあGSの旅の始まりです
グループは全部で26名、2組のアメリカ在住の夫婦を除いて全員が日本からの観光客です。このツアーは1週間〜10日間隔で行われており、前回のツアーは40名の大所帯だったそうです。

26名というとバスの中は全員が2席にひとりで座れる、誠に具合のいい人数です。
天気は真っ青な雲ひとつない"ネバダ晴れ"です。運転手はロブ、私と同じくらいの年令の黒人です。

グランドサークルの旅は水の持参は必須です。気温が高く、空気が乾燥しているので簡単に脱水症状になってしまいます。
サンドイッチの外側がパン粉状態になっるくらい乾燥しています。

体の水分が少なくなると血液がドロドロになって頭痛がします。水を飲んでもおしっこがあんまり出ません。

そんな訳でアメリカ人用の観光ガイドには、ひとり1ガロン(3.8リッター)の水を準備しておくこと、なんて書いてあるくらいです。

ツアーでは0.5リッターの水をくれますが、これでは足りないのでホテルの水を持ってきました。
でも持ってこなくても心配いりません。ラスベガスを発ったバス、トイレ休憩を挟んで3時間後にセント・ジョージという村のスーパーマーケットにバスは入るからです。

この辺まで来ると1泊27ドル、なんてモーテルの看板があります。27ドルだから蚕棚の万年床だろう、と思うのは間違いです。
きちんとした部屋に真っ白なシーツのかかった清潔なベッドとシャワールーム、洗面所です。

さてスーパーでは何をするか、それはバスの中で食べる昼食を買い込むためです。
このツアーは昼食はレストランに入りません。時間がもったいないからです。

スーパで好きな物を買ってバスの中で食べる、これってやってみないとわからないのですが、結構楽しいのです。

寄ったスーパはハーモンズ、ユタにしかないスーパーで良質の食料品を売る店だそうです。
7年前もここでした。
サラダバー、各種鶏肉・ローストハム、どれを見ても旨そうです。何と寿司まであります。
フォーク・ナイフ・ナプキンも無料で取り放題です。

20分くらいで買い込んでバスに乗ります。外の風景を眺めながらかぶりつく鶏のもも肉は格別です。
この間も堀ちえみさんの軽快な説明は続きます。

お願い事項の中に窓のブラインドを閉めないで下さい、というのがあります。

日本人の旅行ではバスの中では居眠りをして、目的地についたらおもむろに目を覚まし、背伸びをして外に出て観光をする、という人が多くいます。

また女性の多くは日焼けを嫌がり、ブラインドを閉めて帽子までかぶって日焼けを防ごうとします。

ドイツへ行った時もみんなこれをやるので閉口しました。
外の風景が見えないのです。

バス旅行のいいところは窓からの風景が楽しめるところなのです。
これが自分で運転をしていると風景は楽しめません。

スーパーで食料品を買ってバスに乗る時に、添乗員・ガイドの堀ちえみ嬢にあいさつをしました。

「7年前にイエローストーンのツアーでお世話になりました。今回のツアーは堀ちえみさんという事で旅行会社に無理を言って参加させてもらいました」

「あ、やっぱり、どこかで見た人だな〜と思っていました。ところで私変わっています?」
「いえ全く、でもよく焼けていますね〜」


そんな会話で仁義を切った次第であります。。

最初に着いたのがザイオン国立公園、公園の中は一般車両は乗り入れ禁止でトラム、又はシャトルバスに乗って移動するしかありません。

我々は旅行会社企画のツアーの特権、アメリカ人達の羨ましがる目を見ながら専用のトラムの乗って公園内を移動する事ができました。

切り立った岩に緑の木々、大きなサボテンもあります。何億年も前の地層とかも見事にみえます。

トラムは川の近くに停まり、みんな川の方に行ってびっくりするような冷たい水に手を触れます。

再びトラムに乗って元の場所に戻ります。
ここは割と大きなロッジがあってかなりの人が宿泊しているようです。

みんな何をしてるか観察するとロッジの芝生に椅子を出したりロカフェの椅子に座ったりで、特に何もやっていません。

アメリカ人の観光とは何もしないのが観光なんだよな〜、実に "sight seeing" なのです。

これは日本人には理解しにくいのですが彼らはこういう場所に来て何をするのかというと風景を見るのです。

1日中ボーッと座って景色を眺め、たまに本を読んだり、その辺をブラブラと散歩をする。要するに "sight seeing" なのです。

それに食べ物の店屋がありません。
少なくともみえるところには一切ありません。ヤキソバ、おでんの旗はありません。

"sight seeing" を邪魔するような人工物を許さない!こんな頑固な精神がひしひしと伝わってくる感じです。

世界遺産に指定された美保の松原に1年ほど前に行った事があります。

何とかダンゴを売る店、うどん・ソバ屋、土産物屋の幟、土産物屋は殆どが食い物を売る店、店員の呼び込みの声、、、。

観光客はみんなビニールの袋を下げてあちこち動き回っていました。

世界遺産の登録でバンザーイ!って叫んで喜んでいたのは実はこういう商人達だったのか、とその時あらためて納得しました。

世界遺産に登録されたのなら、こういう店屋とかを一掃して松林だけにする、とかどうしてそういう事ができないのか。

と、一瞬この前に尋ねた美保の松原の事を思い出してしまいました。

我々はザイオンを後にして、次のブライスキャニオン国立公園に向かいました。

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