14−09−11 10Bの鉛筆
三重県はイメージがはっきりしない県である、というのをこのHPに書いたところ埼玉県に住むSTさんから埼玉県もイメージがはっきりしないところだ、というメールが来ました。

STさんとは2月にもバンコックに行った時にお世話になった既に25年くらい前からお付き合い頂いている先輩です。

「NさんのHPによると、"三重県というのはイメージがはっきりとしない県である"、そうですが埼玉県地位向上委員会出版の、"埼玉のおきて"、によりますと埼玉県もはっきりとしないそうです。

千葉には負けていないけれど、東京や横浜にはちょっとかなわない、という心情が心のどこかに浸み込んでいるそうです。

でもこの埼玉県地位向上委員会、一生懸命埼玉のスゴイところを探し出していました。
その中のひとつ10Bの鉛筆、埼玉限定だそうです。私も思わず買ってしまいました、

硬筆習字用だそうです、、、もし近所で見つからなかったらお知らせください。お送りします。古文書の勉強には役立ちそうですね、、、」


という事で送って頂いた鉛筆が2本、本日届きました。
製造メーカーは泣く子も黙る三菱鉛筆株式会社、商品名は"筆鉛筆10B"、とあり1本400円、高いというか非常に高価な鉛筆です。

鉛筆を削るのは切り出しナイフと決まっています。
引き出しから取り出したものの長年使っていなかったため刃を研ぐ必要があり、邪道ではありましたが普通のカッターナイフで削ってみました。

鉛筆を削るのって何十年ぶりです。
削った鉛筆で早速紙の上に文字を書いてみました。

ナルホド、筆と同じように線の太さも変えれるし、"はね・はらい・むすび"等の普通の鉛筆では書けないところが、あら不思議、何とか書けます。

こうやって鉛筆で文字を書くなんて久しぶり、書いていて何だか懐かしくなってしまいました。

でも毛筆の心得のない私にこの鉛筆は猫に小判、豚に真珠、SHINに10B、かな。

そう言えば私は小学生の時から鉛筆はBくらいの、みんなに比べて柔らかい芯の鉛筆を使っていた記憶があります。

そして当時、ナゼか女の子は全体的にH、中には2Hなんて硬い芯の鉛筆を使っていました。
たまにそれを借りて書くと文字が細くて薄くて、何だか文字を書いた気がしなかったのを覚えています。

STさんに送って頂いた埼玉限定販売の10B鉛筆、私の常用文房具のひとつになりました。

鉛筆の芯を削りながらふと考えた事があります。
今の小学校とか中学校の生徒は学校で鉛筆を使っているのだろうか、もし使っているとすれば鉛筆を削る事ができるのか、という事です。

これについてはまず小学校では"シャープペンシル"は使用禁止のところがほとんどで、鉛筆を使っている学校が多いようです。
ところがこれを削るナイフの持ち込みは殆どが禁止だそうです。

持ち込みがOKのところも、あの切り出しナイフ型のものはダメで、いわゆるカッターナイフタイプに限定するとかいろいろな制限があるそうです。

鉛筆を使うというのは同時にナイフを使う、というのと一体化していると思うのですが、どうも最近はそうではないようです。

それに子供達が竹とか木片を集めて、それを使って工作をしなくなった、それでナイフ等を使うことがなくなってしまった。

親も教師もナイフは危険なものと言うことで使わせない、結果として子ども達がナイフを使えなくなってしまったという事のようです。

つまり使わないからタマに使うと直ぐに手を切ってしまう、だから使わせない、ますます使えなくなってしまう、という悪循環に陥っているようです。

私がナイフを使い出したのは多分小学生1〜2年生の頃からで、笹を利用して杉の子(正確には何というのでしょう)を玉にした竹鉄砲を作ろうとした時だったと記憶しています。

以降、指を切ったのは数知れず、指先というのはナイフで切ると何であんなに血が一杯出るのか、痛さをこらえながら不思議に思ったりしました。

小学校の高学年になった頃は図書室で工作の本を借りてきていろいろなものを作るのが好きな工作少年になっており、私の周りにはそういう仲間が一杯いたと記憶しています。

ここで話は飛躍します。

オハイオにいたとき意外に思ったのは、オハイオ人の大男達は私が想像していたうんと器用な連中が多かった事でした。

私の周囲には日曜大工の域を越えた事をやる連中がたくさんいたし、町には巨大なホームセンターが幾つもあって、そこにはやる気と腕があれば家が一軒建てられるだけの材料、道具・工具が手頃な値段で売られていました。

実際に私のところにいたオハイオ人のDD君とかRK君なんかは家の増築を自分でやったし、そこまでいかなくても家のメンテナンス・グレードアップ、車のメンテナンスなど自分で何でもやる連中が非常に多くいました。
こういう連中が多かったのはオハイオは特にドイツ系移民が多かったので、これと関係あるかも知れません。

”日本(人)はもの造りに欧米人より優れている”、と一般的に言われています。
でもこれは正しくないと私は思っています。
正確に言うと、"日本(人)は工業製品を均質に安く作る事に優れている"と言える時もある、という程度だと思っています。

コツコツと時間をかけて個人又は少人数で何かを作る事に関して、欧米人は日本人に比べて決して劣っている訳ではなく、むしろ彼らの方が一般的にかなり上ではないかと思います。
正確さに欠ける部分はありますが、時間を無視するならば個人がやる仕事の出来映えはしっかりしているし、工具の使い方・手入れ等は我々より上だな、と感じていました。

と、ここまで書いたらSTさんからメールが来ました。

「、、、、最近の子供は鉛筆が削れません。教師や母親が危険だからと禁止しているそうです。
冗談じゃない、危ないからこそ子供のうちに教え込まなければならない。怪我をして初めてその危険さを痛みと共に覚えるのです。
痛みを体で経験しないから簡単に他人を傷つける

私は子供の頃親父が使い終わった両刃の髭剃りの片側に紙を巻いて使っていました、上手に巻かないと親指をザックリやられます。そのかわり鉛筆の削り方は今でも自慢できます。

鉛筆は無くなりそうになったらお知らせください。」

STさん、ありがとうございます。

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