14−08−28 19年、4年ぶり
先週の金曜日から用事を済ませるために5泊6日の予定で東京へ。
宿はいつもの目白のRホテルでしたが土曜日が満室で予約がとれません。

昼過ぎにRホテルに到着、「明日の土曜日が満室との事、何とかなりませんか?」、と言うとフロント嬢は奥の部屋に消えて1分ほどして再び姿を現し、「はい、部屋はご用意できます」との事。

時間が早かったのでチェックインができないため荷物を預けて再び東京駅まで行き、大手町でABさんに面会。その後の変化についていろいろと話を聞きましたが、思ったより状況は悪そう。

打ち合わせを終えて再び目白まで。夕食はいつもの寿司屋で、軽く液体燃料を注入してホテルに帰り、これでこの日はおしまい。

翌日は東京ビッグサイトに行って「HAMフェアー2014」というイベントを見学です。これはアマチュア無線同好の士の集まりで何万人も集まる結構大きなものです。
私が最後に来たのが1995年ですから19年ぶりです。

でも行ってみてびっくり。会場に来ている人の平均年齢は確実に65才を越えていると思われる、人生の先輩ばかり。

イヤー、今時アマチュア無線なんかやっているのはこういう年代の人だけなんだ、と改めて思い知らされました。

かつて埼玉に住んでいた頃、私は小学生・中学生だった娘達を連れて来た事もありましたが(当時は晴海の国際見本市会場で行われていた)、今はそういう人も見かけませんでした。

アメリカでもこういうイベントは毎年あちこちで行われており、これに比べると規模はともかく中身がお話にならないくらいに薄いのにはがっかりでした。
会場も狭く、見るものもない、暑い、ただ人だけ多い、、、もう二度と来る事はないと思いました。

でも10年来SKYPEでしか話した事のなかったKSさんに逢い、その友人のSTさんも紹介して頂き、昼食を食べながら楽しいひとときを過ごす事ができました。

夕方から会場のワシントンホテルで私の高校の1年後輩のKTさん主催のある同好会の懇親会に参加。大いに盛り上がりました。
KTさんは人を何となくまとめていくのがうまく、これは昔と全く変わっていないとつくづく感じました。

今回もメインの用件の間にいろいろな人と会いましたが、そんな中のひとりに3週間前にオハイオから日本に帰国をしたAKさんと新宿で会う事ができました。
AKさんは私の上に立つ人でしたが定年後もそのままオハイオの会社に残り、その後3年で退職をして帰国をしたのでした。

久しぶりに見るAKさんは真っ黒に日焼けして元気そうでした。日焼けの理由は仕事が終わってから、また休日などにずっとテニスをやっていたからだそうでした。
私がオハイオから帰国して4年間にあった出来事等はある程度は知っていましたが、こうやって直接話を聞くのは久しぶりでした。

やはりいろいろな出来事の核にある問題はオハイオ人と日本人の関係で、簡単に言うと結局は日本式・日本流のやり方(マネージメント)とアメリカ式・アメリカ流のやり方(マネージメント)の衝突であると感じました。

私がオハイオにいて感じたのは、アメリカ式・アメリカ流のマネージメントというのは一体何がベースでそうなっているのか、という本質の部分についての基本的な知識・見識・考察が不足している日本人が結構いた、という点でした。(わかっていても実行しない輩もいた)

オハイオの会社が抱える課題は過去も今も将来も変わる事なく、そして解決される事もなく(不可能です)、日本人とオハイオ人の綱引きが永遠に続くのでしょう。
これは私のいた会社だけではなくどこの会社でも同じで、舵取りを間違って大きな失敗をした会社をいくつも知っています。

AKさんは2回の駐在で合計20年という長期間のオハイオ勤務を経験しており、これらをベースに導き出されるやり方は、直ぐには理解できない人も多くいたに違いないと思いました。

この日は12:30に新宿紀伊國屋で待ちあわせをして、食事をしてその後喫茶店で話をして気が付いたら17:30を過ぎていました。あっという間の5時間でした。。

今回の東京行きは肝心の用件だけであれば2泊で済んだのですが、間に土日を挟んだので5泊6日と比較的長くなってしまいました。
この間に読んだのが単行本3冊と雑誌2冊。待ちあわせでちょっと時間があると喫茶店・コーヒーショップに入って鞄から本を取り出す、以外と読めるものです。
その中から2冊を紹介します。

1. ビゴーが見た日本人  清水勲(講談社学術文庫) ★★★☆☆

この本は明治初期から中期に17年間日本にいたジョルジュ・ビゴーというフランス人画家が残した漫画・挿絵・銅版画などについて解説した本である。

ビゴーという画家は明治15年から32年まで日本にいたが、最初の数年を除き日本で定職は得ておらず、一方では遊蕩にふけり乱れた私生活を送っていたらしい。

そういう生活の中で彼の目に映った日本人を巧みにスケッチ、2000枚近くの絵を残している。
当時は既に写真が普及していたというものの、写真の多くは部屋の中でかしこまって撮る事が多く、日常生活のスナップショットというのは少ない。

漁村で働く女、当時はまだ少数ではあったようだが髷を結った男の姿、村一番の伊達男とはどんな格好であったか、等々。風刺的であるが庶民のスケッチは実に生き生きとして素直に当時の様子が伝わってくる。
悪意のある風刺画の多くは日本政府、日本の官憲に対する反感から来ており、当時の欧米人共通の心理であったらしい。

日本人女性と結婚したが帰国の時に息子をフランスに連れて帰り、夫人は捨てられている。
昔も今も多くの日本女性が経験している事である。

ビゴーの描いた絵も解説も大変興味深い。

2. 領土喪失の悪夢  小川聡/大木聖馬(新潮新書) ★★★☆☆

中国との尖閣列島問題について何が起きているか、何が起きるのかについて書かれている。

尖閣問題はその先にある沖縄の独立、沖縄の中国への取り込みを抜きに考えられないのだが、この尖閣・沖縄の両方についてきちんと書いた本が割と少ない。
非常に偏った内容で、読んではイケナイ本が多い。

そういう中で2人の読売新聞記者によって書かれたこの本は冷静に読める数少ない本である。
田中角栄の日中国交正常化の時に何が話されたか、これをトリッキーに書き上げて日本人にとんでもないウソを吹き込んだり園田元外相発言を悪用した孫崎亮氏、、、、公文書の解読・分析と取材活動からの情報に基づき、「この問題の問題点」がわかりやすく書かれている。

中国は沖縄の独立運動に深く関与しており、沖縄が日本の領土であること自体がそもそもおかしい、という事を既に発言している。

中国の言う話し合いとは、「日本が一方的に譲歩すること」、と同義語であり、これの見通しのない日中の話し合いなど中国は最初からやる気はない。

尖閣問題は沖縄独立問題でありその先に何があるのか、中国は何を狙っているのか、日本はどうすればいいのか等を示唆してくれる一冊である。

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