13−10−30 3ヶ月が経ちました

退職したら時間がたっぷりあるので、読書の量がグンと増えるかと思っていましたが、それほど増えていません。
仕事をやっている時とあまり変わりません。多分1日の中でこの時間帯は読書をする、というペースが定着できていないからだと思います。
そんな中、最近読んだ本で印象に残ったものの感想です。

1. 吉村昭が伝えたかったこと 文藝春秋編(文藝春秋) ★★★★☆

私は所謂小説は殆ど読まない。いつ頃からだったか、"作り話"というものに興味を感じなくなったのが理由だと思う。
しかし吉村昭の小説は読む。ナゼか?それは吉村昭は事実に基づいた小説であり、”作り話”ではないからである。

小説を書くに当たりそのテーマについて徹底的に調べる。同じ事を別な資料、別な人物から取材してその事実を小説にする。小説というより歴史の記録といった方がいいのかも知れない。
しかしその構成はこの作家独自の方法をとっており、やはり小説と言える。
これらの歴史小説を通じて吉村昭が明らかに伝えたかった事がある。この一冊はそれを簡潔にまとめあげている。

この本で注目すべき小説は"関東大震災"と"三陸沖大津波"である。
特に"関東大震災"では何が起きて、それにどう対応したか詳細に冷静な筆で書かれており、この事実を我々はもう一度きっちりと読みとる必要がある。

社会秩序が破壊された中何が起きたのか、関東大震災でも美談で埋め尽くされているが、実際は何があったのか。関東大震災では殆どの人命は火事で失われている。火事はナゼ起きたのか?震災はお昼直前であり、今でも台所の火が原因だとされているが、これは誤りである。

関東大震災後に発行された"震災予防調査報告"という報告書に教訓の多くは記載されているが、これが全く生かされていないとある。
テレビ会談で現在の東京・大阪の行政の防災担当責任者に聞いたところその存在すら知らなかった、とある。
吉村昭が伝えたかったことは、何百年以上の昔から日本を繰り返して襲う大地震がどういうものであったか、そして彼の小説にはそれらが詳しく書かれている。

吉村昭は小説家なので、「じゃ、どうすればいいのか?」については殆ど書いていない。但し、教訓が生かされていない事には批判を加えている。
この本は文庫本で約450ページ程であるが最初から182ページまでを読むだけでもよい。興味深い一冊である。

2. 退化する若者たち 丸橋賢(PHP新書) ★★★☆☆

若いくせに元気がない、動きが鈍い、疲れやすい、学校や仕事が続かない、若年層を襲う心身の不調や学力低下の原因は何か。歯科医師の著者は、彼等の顎・歯列の異変に注目。

彼等の下顎のエラは細く、顔は縦長で左右に歪んでおり、更に歯列はひょうたん型にくびれ、噛み合わせが悪い。
ズバリ、
日本人は生物学的に急速に退化しているという。
人間の退化は咀嚼器官から先行して進むそうで、日本の若者に蔓延する退化病は既に憂慮すべき段階に来ているそうである。

世界中を見てもこの日本人の突出した退化は一体何によってもたらされたのか。
それは直接的には柔らかいものばかりを食べるようになった事、その背景にはアメリカ文化の受け入れによる文化的荒廃であるであるとしている。

また日本人が潜在的に強く持つ
”甘えの精神構造”が淘汰を否定し、"優しさごっこ"の風潮を一気に作ってしまった事も大きいとしている。

筆者はこの状態が続くと、100年後には日本という国と日本人はどうなっているのか大きな危機感を募らせている。
柔らかいものを食べるようになった日本人、それが生物としての人間を退化させ、民族の行く末を危うくさせる、衝撃の一冊である。

筆者の多くの臨床例と海外での調査結果も豊富であり、一気に読める本でもある。


3. 1日6時間座っている人は早死にする 坪田一男(ベスト新書) ★★☆☆☆

会社勤めをしていた時も殆どが椅子に座って仕事をして会議室との往復をする、という生活であった。この本の表題の”6時間”という時間は多分当てはまる生活であった。
これが退職をしたらどうなるか、やはり当てはまるのである。つまり自宅にいる間は基本的に座っているからである。

この本の結論は極めて単純である。”運動をしろ”、それだけである。

運動をしないとナゼ不健康になるか、ナゼ長生きできないか、意外と具体的に知らないのではないか。私もそのメカニズムについては曖昧であった。
この本はそれを分かり易く解説している。

運動をしない生活を”セデンタリー・ライフスタイル”と言い、これはタバコ、不健康な食事、アルコールの飲み過ぎと並ぶ早死にの原因だそうである。

ではどんな運動をどのようにすればいいのか、これも分かり易く書かれており、全て実行可能な方法ばかりである。
例えばダラダラと歩くのは効果が薄く、さっさと歩く、そして少しだけ体に負荷を掛けるのが重要だそうである。

著者はテレビなどにもよく出ている有名人、眼科医・大学教授である。187ページの本であり、半日〜1日もあれば読めてしまう。

仕事を辞めて丸3ヶ月が過ぎました。3ヶ月とはたった90日、13週間ですが自分の感覚としてはとてもそんな短い時間には思えません。
既に半年以上は経った感じがしています。

よく、あっという間に3ヶ月が経った、1年が経った、という話を聞きますが私の場合はこれと逆です。どういう事なのかよくわかりませんが、とにかくカレンダー上の日の経過と感覚としての日の経過にかなりのズレがあります。

新しい生活のペースにもほぼ慣れました。体を使う、頭を使う、道楽をする、この3つはバランスはともかく、何とか実行できています。
夕方の7Kmのジョギング・うーキングは毎日は逆効果とか言われたので2〜3日に1日は休むようにしています。
体重は少し減り、自分でも足腰がしっかりてきたと感じます。
たった3ヶ月でこういう効果は嬉しいものです。

食事の方は昼食と夕食の中身を入れ替えました。
夕食を軽くして、今までの夕食のメニューを昼食にしました。体内にエネルギーが蓄積なれないようにする、つまり体重の増加を防ぐにはこの方法が有効、と聞いたからです。
いままで夕食にお皿がいくつも並んでいたのが、2〜3個になってしまうのは寂しいですが、そのうち慣れると思っています。

いずれにせよ、新しい生活に入ってまだ3ヶ月、1年くらい経った時に自分が一体どういう生活になているか、自分でも興味津々です。

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