13−05−25 気になること

今年になってから為替レートが大きく変化しています。特に気になるのが円に対するドルのレートで、数ヶ月前は”1ドル=80円”前後だったレートが今では”1ドル=100円”になっています。
会社ではこれが時々話題になります。つまりレートが円安方向に振れると日本からの輸出が利益を増し、業績が向上するからです。

しかし我々の業界は1980年代後半から製品を日本から輸出するビジネススタイルから、現地で生産にする形に切り替えを進めており、為替レートの影響を受けにくい構造に変化し、為替レートのインパクトはかつてほど大きくはありません。

会社の事はともかく、海外駐在帰りという身にとって為替レートは大いに影響がある人が少なくありません。
アメリカ駐在の場合、給料は現地でUSドルで受け取ります。サラリーマンですから、将来に備えて貯金をするのが普通で、これもドルで行う事になります。

2010年6月の円ドルレートは”1ドル=85円”くらいだったと思いますが、私のオハイオ駐在期間の1996年6月からの14年間の加重平均レートをエイヤで計算すると”1ドル=115円〜120円”です。

つまり帰国時点で貯金は何もしなくても円換算で−30%の目減りとなっていました。
僅かなお金を毎月コツコツと貯めたのにレートの変化で、例えば1万ドルが115万円〜120万円の価値があったのが、一気に85万円になったという訳です

そこで私は帰国時にドルを円に替えるのが忍びなく、ドルのまま持つ事にしました。つまりドル預金です。
その後ずっと1ドル=80円〜83円の超円高、専門家先生達の意見では近い将来1ドル=60円くらいになる、という予測が出ていたりして、「アーア、オレの14年間の貯金は黙っていても2分の1になるのか」、と諦めていました。

ところが今年になって風向きが変わってきたのです。
テレビとかの報道では、「円安!円安!」、って叫んでいます。エコノミストの多くも、そして経済の専門家先生どもも、「円安!円安!」、と口を開くと言っております。

私は、「アホか、君たちは」、と言っております。今のレートくらいでは円安とは言いません。
今までが異常な円高で、それが正常なレートに戻りつつあるだけ
なのです。

また最近時のレート変化で、輸入原料の値上がりが国民生活をモロに直撃、困っている、とも報道されています。これも奇妙な報道で、今までが異常な円高だった訳で、そもそも今のレートは6〜7年前よりまだまだ円高なのです。
「為替レートは実体経済に近似しなければならない」、という人がいますが、これから行くと”1ドル=150円”くらいのレートになるそうです。

難しい事はともかく私の場合で言うと、”1ドル=120円”になれば貯金の目減りがゼロになるので、早くこういうレートにならないか、待ち望んでいる今日この頃であります。

私はアマチュア無線用の無線機を持っています。これは同時に超高性能短波受信機でもあり、短波の全ての周波数を受信することができます。
ですから時々、短波放送を聞いたりします。朝鮮民主主義人民共和国の日本語放送も聞きます。なかなか面白い内容です。
と言うか、あまりの滑稽さに、つい聞き惚れてしまうほどです。内容は喜劇に近いとも言えます。

こういう滑稽な放送はキライ、という人には台湾国際放送などがいいと思います。観光案内とか、台湾の人が何をどのように食っているか等、なかなか面白い(真面目に)内容です。

それはともかく最近気になることがあります。それは航空管制の通信についてです。航空管制は普通は超短波を使って行われていますが、遙か洋上を飛行する国際線の飛行機には超短波の電波は届かないため、短波を使った管制が行われています。

ヒマになるとこれを聞くことがあります。
西太平洋、東南アジアを飛行する航空機と地上の交信の様子が全てわかります。どこを飛んでいて、どこに向かうか、天候状態もわかります。
地上側は東京(府中)、マニラ、ホノルル、SFなんかも聞こえます。

これが、、、最近ものすごい妨害電波に見舞われているのです。
全く同じ周波数で仲間同士の通信、それに音楽を流したりしているのです。
音声通信の言葉は中国語です。特に日本時間の20:00〜22:00頃はヒドイ、の一言に尽きます。

航空管制側は幾つも周波数を持っており、妨害がひどくなると周波数を切り換えて交信を続けようとします。
すると妨害側もその周波数に切り替えて追いかけているのです。
先日は北太平洋を飛んでいるデルタのフライトがしつこくやられて、妨害の合間を縫って苦労して交信を終える事ができるといった状況でした。

問題は、、、この妨害電波はどこの国から誰が出しているか?という事です。明らかに航空管制の周波数を狙ってやっています。
私は電波の匂いがわかります。これによると、ごま油・ラードの油の匂いがします。
早く解決しないと大問題になりかねません。

実は、日本は不法無線局で満ち溢れている国なのです。無線機は誰でも簡単に驚くほど安い値段で手に入り、電波監理局の取り締まりが非常に弱い(と言うか、普段は取り締まりがやられていない)周波数で電波を出す限り滅多に捕まりません。

既に秩序と法の網は、あって無きがごとくの世界です。これでいいのでしょうか。
最近読んだ本の中でちょっと印象に残った3冊です。

1. 眼の気流 松本清張(新潮文庫) ★★★☆☆

久し振りに松本清張の短編集を読んでみた。読むきっかけはある週刊誌の書評に載っていたからである。
この小説は、我々サラリーマン生活を間もなく終えようとしている者が読むと妙な現実味というか、断片的な状況はそこかしこにあったのではないかと思いたくなる内容である。

松本清張の作品の多くは、秘密を一つひとつ解明していくプロセスの面白さ、事実は何で想像は何か、というこの2つを入り交えて進められるストーリーで、この面白さは他の作家の追従を許さない。
松本清張の小説というと、”砂の器”のような、読むにはちょっと気合いを入れる必要がある長編が頭に浮かぶが、この本は5つの短編によって構成されており、松本清張の入門書としてもお薦めである。

2. レンズが撮らえたF.ベアトの幕末 小沢健志・高橋則英監修(山川出版社) ★★★☆☆

これは写真集である。ベアトという人物はイタリア生まれであるがイギリス国籍を持ち、戦争写真家・日常風景生活写真家として幕末に日本に来た。
1863年には横浜に住んでおり、当時の日本・日本人の写真を多く残している。
全部で200ページあまりの写真集であるが、江戸末期の暮らし・風景が信じられないようなリアルさで写真に納められている。
食事の様子、街並み、振り売りの姿、庶民の様々な生活の様子、侍の姿、ページを開くと150年前にタイムスリップする写真がびっしりと納められている。

風景はあくまで美しく、街並みは整頓され、人々の顔は実に穏やかである。今の我々はこういう人達の末裔である、と思うと何だか不思議な気持ちになる。
この写真集は私の本棚に残る一冊になった。

3. 海外とは日本人にとって何か 城山三郎(文藝春秋) ★★★★☆

これは古い本を整理していた中の一冊で、著者は今は亡き、経済小説の草分けの城山三郎である。内容は1977年から1978年の文藝春秋に連載された記事を単行本化したものである。
すっかり忘れていた本であるが、パラパラとページをめくったところ、北米についての内容が全体の6割を占めており、もう一度じっくりと読んでみようと思い、先日一気に読んでみた。

城山三郎が各地の日本人駐在員を訪ね、その国の事情・駐在員の生活を取材しながらその国と日本の関係を鋭く分析、現在から将来を予測している。
この本を買ったのは1979年であるから自分は30才になっていない、まだ今の会社に入ったばかりの頃である。ナゼこの本を買ったのか記憶にはない。

AMAZON.COMで中古でまだ手に入る本である。お薦めの一冊である。
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