11−08−06 観光地、函館
7月下旬に計画した函館旅行、出発の日に到来した台風のお陰で飛行機が飛ばなくなり、キャンセルせざるを得なくなりましたが、再度フライト・ホテル・鉄道などの予約をやり直して2週間後に行く事ができました。
オハイオにいた頃から日本に帰ったら函館に行こう、大した理由はありませんがナゼかそういう気持ちがあって、帰国後1年目にしてやっと実現しました。

函館のイメージと行ってみたいところは?
朝市、海の幸が豊富でおいしい、函館山とそれに上るためのロープウエー、いろいろな西洋館・教会、赤煉瓦倉庫、路面電車、そして五稜郭、などがあります。
会社勤めをやっている身なので休みも多くは取れませんので、今回は2泊3日という短期間の旅行になりました。

出発は中部セントレア空港、到着は函館空港、となるのが普通ですが、JALを利用するので到着地は新千歳空港となりました。

そして新千歳空港からは列車で函館に着くという、ちょっと効率の悪いルートになってしまいました。
でも列車にコトコト揺られて3時間、それはそれでステキな旅で車窓からの眺めは大いに楽しめました。

行きも帰りも飛行機、列車とも満席、ところが函館市内は観光地はどこもガラガラ、これはどういう事なのでしょう。季節は夏、シーズンのはずです。
行った日が平日だったからでしょうか?

でも観光客が少ないというのは行く方にしてみれば好都合です。何をするにも待ち時間はないし、静かにゆっくり見学はできるし、どこへ行っても座る場所に困らないし、いいことずくめなのです。

それと気が付いた事では、市内の観光地はどこに行っても説明書きは日本語と英語以外に中国語と韓国語で書かれている事でした。中国人、韓国人が来るのでしょうか。

でも彼等にとっては函館に来ても面白くはないと思います。
江戸時代後期から明治維新、その後の北海道開拓の玄関であった函館の歴史などには何の興味もないでしょう。
彼等は温泉と買い物、それにてんこ盛りの日本食(もどき)、北海道の場合これに加えてスキーを求めて日本に来ているだけですから。(レジャーランドとして来ているだけ、という人もいる。)

函館がこういう輩に汚染されないで、このまま静かな観光地でいてほしいものです。。
函館の街は静かでした。
そしてかなり寂れているように見受けました。駅前の商店街はシャッターを下ろした店が目立ちました。彼の有名な朝市も、実際に買い物をする人は殆ど見掛けないと言ってもいいくらいでした。

後で聞いた話によると函館が観光客でごった返したのは、やはりバブルの頃だったそうです。
ホテルは次々と建設され、土産物屋はあちこちにでき、海の幸を食べさせるレストランなどもこの頃に一杯できたそうです。
それがバブル以降、客ががっくりと減って、ここ数年中国人・韓国人の観光客で立て直そうとしているのですが、うまくいかないようです。
理由は上に書いたとおりで、彼等が求めるものと函館が提供できるものは、全く異質であるからです。
観光とはその土地(国)の自然、歴史、文化などを理解したい、知りたい、というのが基本です。

私も函館に行った目的の半分以上は歴史的な興味からでした。
その中心は明治維新後に新政府に反旗を翻した、榎本武揚率いる旧幕臣4000人が戦った函館戦争にありました。

函館山から五稜郭に向けた一帯、函館ドックがある付近の弁天台場など今は市街地になっているところは、全て戦場でした。短い時間ではありましたが実際に歩いてみました。
五稜郭の外堡も実際に歩いてみました。五稜郭は籠城できるような城ではないのが一目瞭然でした。

明治新政府に反旗を翻した榎本武揚は、その後明治政府の要人として、大きな功績を残した人物として有名です。

しかし榎本武揚を慕って新政府軍との戦いで1000人以上が戦死しており、福沢諭吉が、「これらの人の霊があるなら、榎本という男は只の寝返り武将であった、と言われるのは必至である。」、というような意味の事を言ったのを思い出したりしました。
今風に言えば榎本武揚はかなり要領のいい人間であった、ということでしょうか。

ほんの一瞬の函館訪問でしたが、路面電車に乗ったり歩き回って本で読んだ地名が目に入った時、ここはやはり明治維新の街だな〜、と実感しました。
今回の旅でちょっと恵まれなかったのが食べ物でした。
私は旅行の目的として"旨い物を食べる"というのは特別なところを除き普段は重きを置きません。
しかし函館は別です。函館は海の幸に恵まれており、大いに堪能できる、と耳タコで聞かされていたし、自分でもそう思っていました。

でも一軒を除いて全部ダメでした。2泊3日の旅ですから食事をする回数自体が殆ど限られているので断定的な言い方はできないのはわかっていますが、私の中では最低に近いランクの食事を2回もしてしまったのは運が悪かっただけでは済まされない気分です。

特に駅前にあった割烹風居酒屋は質、量、サービス、値段の4拍子そろってCランクでした。
活烏賊のお造りなんか注文して30分以上経っても出てこないので、「まだできないの?もし作ってないんだったら注文取り消して下さい。」、と言ってから15分くらいしてから出てきました。

天ぷらの盛り合わせなんか、ゴミ箱から拾ってきたような野菜をかき集めて揚げて、それに小指くらいのエビ天をくっつけて1000円!

〆で頼んだカッパ巻きなどは最初に出てきて、しかも手で持っただけでバラバラになってしまうし、もう殆どキレる寸前でした。

何よりも函館の特産である海の幸が、チェーン店の居酒屋レベルにも達していなかったのには、驚きを超えたものがありました。

入り口の構えさえ小綺麗にしておけば観光客相手なので、こんなメチャクチャな事やっても店は成り立っていくのでしょう。
典型的な観光地のすれっからし商売の店に入ってしまったようでした。

食事以外にもいろいろな細かい面で、観光地としての”荒れ”を感じました。
日本人の客が減って、中国人・韓国人の観光客の呼び込みに熱を入れているのようですが、まず観光地としての基本的なホスピタリティーを充実させるのが大事ではないでしょうか。

外国人を呼んで観光客の”数”が増えればホテルの稼働率は上がるし、落していくお金も増えるので表面的な経済的効果は得られるでしょう。
でもそうなれば観光地函館の本来の意味と姿を理解しない(できない)人が押し寄せるだけの、もっと”荒れた観光地”になるのは間違いありません。そうなった時点で観光地としての函館は終わりです。

函館がこうならないように祈りたいと思います。
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