08−03−08 一大事!
水曜日から土曜の朝までデトロイトの日系企業の取引先におじゃまをして、朝から夜遅くまである案件に関して徹底調査を行いました。丸3日間も一つの取引先におじゃまをするというのは普通はあり得ないのですが、過去1年以上いろいろとやってきてどうしても納得がいかなかった事があったので、一大決心をしてこういう行動になってしまいました。

結果は、、、私なりに結論は得ました。3日間の価値はありました。考え方を変えなくてはならない事がわかりました。

3日間この取引先の社長さん、日本からの出張支援の方々と付き合うと、大半は今まで分かっていたと思っていた事の大半が実は分かっていなかった、という事が分かりました。(ややこしい言い方ですケド。)

この3日間、ズバリ非常に貴重な経験をさせて頂いた次第です。

仕事の事はさておき、これらの合間を通じて興味深い話を社長さんからお聞きする事ができました。

社長のMさんはアメリカ生活25年、お話の真実味と迫力は他の方、まして私の会社の連中等とは一味どころではない違いを感じました。

例えば、「人種とさぼり方のうまさ。」、のような一見タブーのような話題について、一般的な日本人はこういう問題を、「良い」、「悪い」、で論じようとしたり、論じる事自体をやりたがらないのですが、事実はどうなっているか、という観点での話は非常に興味深いものがありました。

またアメリカでいうところの「平等」、とはどういう事かなのか、という話もズバリ言ってくれたましたが私が薄々感じていた事と同じでした。

デトロイトの日本人人口はコロンバスより少し多く、2000人くらいだそうで会社から車で20分くらいの範囲にいくつもの日本レストランもあり、夕食は不便な思いをせずに済みました。。

金曜の午後、コロンバスは大雪になり始めており、会社のHさんに電話をかけたところ会社は生産停止、全従業員は帰宅せよとの指示が出ているとのことです。
デトロイトは2日前までの雪が残っているものの、そのような大雪の気配は全くありません。WEBで天気予報をチェックすると確かにオハイオは今日から明日にかけて大雪となっています。
40cmくらいの積雪で、道路はゆきかきをしていますが、マイナス6℃でガチガチの氷状態です。
仕事は7時くらいに終わったので、コロンバスまで帰れない事はないのですが、大雪の中の夜間の運転はやりたくないという事で同行のKさんともう1泊する事にしました。

土曜日の朝ホテルを出てコロンバスに向かいます。I−75を南に走りミシガン州からオハイオ州に入る当たりまではよかったのですが、オハイオに入って急に積雪が多くなってきます。

コロンバスの120kmくらい手前からはスゴイ雪で、スリップして道路から20mも30mも路肩の向こうにすっ飛んでいる車があちこちにいます。

そのうち道路なのか路肩なのか中央分離帯なのか全くわからない状態で、運転はずっとKさんがやってくれており、Kさんの運転テクニックは安心できるのですが、まるで雪の平原を走っている感じでかなり不安になってきました。

ノーマルタイヤで雪原を60kmとか70kmで走るのはスリリングでもあります。あの巨大なトレーラーとかタンクローリーもあちこちで道路から飛び出しており、時々交通渋滞も起きています。
このような大雪はオハイオに来てから何度も経験はしていますが、こういう状況の時は当然自宅でじっとしている訳で長距離ドライブをする等というのは始めての経験です。

自宅の付近はどんな様子かカミさんに電話を掛けると40cmくらいの積雪があり、何とか道路からガレージに車は入れることができるのではないかという話です。

ところが、ここでカミさんがトンでもない事を言うのです。

「今朝起きたらどうもヒーターが故障しているみたいで、今は暖炉の薪で暖をとっている。」
どこが道路やら全くわかりません。ここを80kmでぶっ飛ばすのはなかなかのスリルです。
エーッ!!!!詳しく聞くとファンは回っているのですが、ガスが燃焼していないようです。
外はマイナス6〜7℃で今夜はマイナス10℃くらいになるという予報ですから、ヒーティングシステムの修理屋に来て修理をしてもらわないと家にいる事自体が危険です。

早速カミさんに修理屋の電話番号を聞いて、車の中から修理屋に来てもらう事にします。3軒目の修理屋がやっと、「行けるかも知れない。」、という返事です。
しばらくすると今度は修理マンから直接電話がかかってきました。

「この雪じゃ、行けないかも知れないなー、、、故障はどんな状態なの。」、と聞いてきたのでとにかく来て欲しい、故障の状況はファンモーターは回っているのがガスが着火していない、イグナイターが壊れているのではないか、と伝えました。

デトロイトからコロンバスまで大雪の中を5時間半かけてやっと自宅に帰り着きます。
車を降りようとすると再び修理マンから電話、「今日はあちこち道路が閉鎖されているし、行けない。ひょっとしたら明日の朝には行けるかもしれないけど。」、という内容です。再度、「エーッ!!!」、です。

どうすればいいんだ、これじゃホテルに退避するしかないなー、と思いながら家に入ります。家の中は底冷えしていて、カミさんはジャンバーか何かを着込んでいます。そうだよなー、この寒さじゃなー、、、。

仕方がないので最後の手段、会社のJさんに電話をして助けてもらう事にします。「そりゃ大変だ!直ぐにTに連絡をとって修理に行かせるから!」。
ところが10分後、「Tは今週はアラバマに行って、いない。SHINさん、今から私が行くから。」という連絡です。
事故で渋滞です。ガソリンは常に満タンは冬場の常識です
30分後Jさんは自宅まで来てくれてあれこれやってくれましたが、ダメです。
「私の家に電気の温風ヒーターがあるからこれを持ってきます。」、と言ってJさんは再び大雪の中を帰っていきました。

ヒーターの故障は実は7年前にも1回経験しており、この時はイグナイター(着火器)が焼け切れており、Jさんが帰ったあとイグナイターを苦労して外すとやはりイグナイターが見事に焼け切れています。

そうこうするうちにJさんが再び家にやってきました。
「SHINさん、ほらヒーターを持ってきましたよ。」

Jさんって何て親切な人なんでしょう、この大雪の中を小型の電気ヒーター2台を持って来てくれたのです。私は故障の原因を見つけたので、この部品を買いに行くのを手伝ってもらうようにJさんにお願いをしました。

大雪の中をイグナイターを買いに2件の巨大なホームセンターに行きましたが、イグナイターは売っていませんでした。
「これは非常に故障が少ない部品で、ヒーティングシステム修理の専門店にしか置いてない。」、というのが買えない理由で、同じ事を2軒とも店員に言われました。
この小さな部品を交換するのに260ドル(28000円くらい)を取られました
アーア、万事休す。
「Jさん、先ほどはある業者に修理を断られたのですが、どこかJさんの心当たりの業者はありませんか。費用の事は気にしないので、修理を頼んで欲しい。」、とJさんに最後の望みを託しました。

30分後、「SHINさん、今から2時間以内に修理に行けるという業者が見つかりました。2時間して来なかったら連絡を下さい。」、という電話がありました。
既に夕方の5時、外はマイナス8℃、大雪です。

そして約2時間後、コンコンコン、ドアをノックする音が聞こえました。やったー!!
修理マンは5分で修理を終え、帰っていきました。

やはりイグナイターを交換しただけでした。ボッ、という大きな音を立ててガスが着火、家中の各部屋に温風を送り始めました。

でもJさんって本当に親切なオハイオ人です。電話1本でこの大雪の中を車で走り回ってくれたのです。私はヒーターの修理が無事終わって、これで今夜は安心して自宅で寝れる事をJさんに報告をしました。この低温の中ではヒーターなしで家にいるのは危険で、近所のホテルに退避する事を考えていましたから。

「SHINさん、何かあったらいつでも連絡下さいよ。絶対に遠慮はいりませんからね。」。Jさんはそう言って電話を切りました。私は心からJさんの親切に感謝をしました。

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