会社では私のところが組織を変更するという事で検討を行っていましたが、この検討の途中で改めてオハイオ人の考え方を赤裸々に知る機会があり興味津々でした。以下に改めて日本とちょっと違うな、と感じた事を思いつくままに羅列してみます。
・部下の数を優先して組織の割り方を決める傾向がある:
組織というのは簡単に言えば機能、役割から見てくくりを考えていく訳ですが、オハイオ人はこれ以上にアイツの下には何人の部下を配置する、みたいな感覚が非常に強く話がかみ合わない事が多くあります。
・上司が部下を教育するという概念は希薄、というか無いとも言える:
もちろん上司は部下の結果に対して評価しますが、仕事の過程を手伝ったりノウハウ的な事を教えたりはしません。部下も、「教えてくれ。」、という事はあまり言いません。自分の能力を暴露するというイメージがあるようです。
また伸びようとする部下を押さえ込む上司の比率は日本よりうんと多い感じです。
・教育とは椅子に座って、特定のコースを受けた場合のみ言う:
OJTという言葉はあっても実践される事は殆どない感じです。彼らはトレーニング、という言葉をよく使いますが、これは100%どこかに行って、いわゆる講習を受ける事を意味します。
ですから結構な予算を組む必要があります。学歴、講習歴、職歴、この3つが彼らが転職時の武器です。
・管理、監督ポジションにつくと技術領域にタッチしなくなる:
管理、監督ポジションというのは基本的に人、予算等の管理をするポジションなので、優秀な実践的な技術屋を配置する時は要注意です。例えば優秀なエンジニアーをマネージャーのポジションにつけた瞬間、技術領域には一切タッチしなくなって、「あれ?」、なんて事になるケースがあります。
・マイノリティー(有色人種、女性)のポジションは最優先:
組織の要はやはり誰をそれぞれの長にするかというのが一番重要なのですが、マイノリティーをどうするかという点を忘れて配置するわけには行きません。これに関しては会議の場では誰も明確に口にしませんが、みんな心と心で通信し合っているのがよくわかります。
・カッコいいタイトルをとにかく欲しがる:
まあこれはどこのアメリカだけではなく、どこの国のどんな人でも同じなんでしょうが、こだわりは日本人より強いと思います。日本人も結構強い人がいますけど。
・組織を横断的に機能させるのが非常に困難:
アメリカはとにかく縦割り組織です。下の者は上しかみません。その上は更に上しか見ません。
スタッフを作って組織を横断的に機能でくくって何かをやろうとしても大抵は失敗します。というかそのような発想は彼らにはもともとありません。
・放っておくと際限なくジョブスライスを始める:
ジョブスライスとは一人でやっていた仕事を2人でやるようになり、気が付けば3人でやっていたりする事です。これを5年とか7年くらいかけてジワジワやられるので機会を見て大掃除をしなくてはなりません。
パーキンソンの法則は見事に当てはまります。
・できそうもないと思った目標は腹の中では無視される:
日本人は結構なレベルでも目標と願望と方針と概念をゴチャゴチャにして全部「目標」、という言葉を使う事がありますが、彼らは目標と言った瞬間「必達」を意味しますので、かなり要注意です。日本流の「努力目標」、とか「チャレンジ目標」、とかの場合は”TARGET”という言葉を使ってはいけません。
今から数年前までは私の職場も寿司ラインとハンバーガーラインで、随分苦労をしました。これは多くの日系企業が大なり小なり抱える問題の一つで、指示・命令・報告系統が組織の中で二つ存在する状態を意味します。
「寿司ライン」、すなわち日本人のライン、「ハンバーガーライン」、すなわちアメリア人のラインです。これがあるうちは、上も下もコミニケーションなんてのは絵に描いた餅になってしまいます。
ここ数ヶ月間オハイオ人といろいろと話し合い、意見を交換し時には大きく脱線したりしましたが、組織検討を通じてオハイオ人の仕事のやりかたというか、考え方というか日本人との違いを改めて知る事ができました。
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