06−06−21 慰問団、祖国より来たる!
先日の日本のニュースでこんなのがありました。XX県でゴミ捨て場で自転車を漁っていた2人組に職務質問をした警官に対し、その2人が刃物を振り回して危害を加えようとした。
そこでその警官は拳銃を発射したが、2人組はそのまま逃げてしまった。その2人組みは東南アジア系らしい、というものでした。
拳銃を発射したにも係わらず逃げられたというのは如何にも情けないと思いますが、やはり急所を外して射撃をするように言われているので、射撃がうまくいかなかったのでしょうか。

この事件のあと警察が真っ先に行った事は県警本部長が、「拳銃発射は正当防衛で問題はなかった。」、という記者会見でした。でもこれっておかしいと思いませんか。

県警本部長が真っ先に言わなければならないのは(こんな事件でイチイチ本部長発表があるとは思えませんが、もし言うとすれば。)、「2名の不審者を逃がして申し訳ない。」、ではないでしょうか。
先ず拳銃発射の正当性を発表するなんて、こんな県警本部長の下で仕事している末端の警官は可哀相、それに警官が武器を持った不審者に拳銃を撃ったら、ニュースになる国って、これも何かおかしい、、、、。

私はかなり前にブラジル・サンパウロの北のスマーレという都市の近くにある工場に出張をした事があります。
メキシコもそうですが、ここの守衛さんは武装をしています。武装と言っても拳銃だけですけど。(メキシコの守衛さんは確か、ショットガンと拳銃でした。)

その時、この工場は拡張工事か何かをやっており、建築機材がとかが現場には置いてありました。私が出張した数日前、その建築機材を集団で盗みにきた盗賊がいたのです。守衛数人は即拳銃を発射、盗賊を討ち取ろうしたら連中は自動小銃で反撃に出て、守衛は手も足も出ず、機材の一部は盗まれてしまったそうです。

出張に行ったその日、この会社の総務では守衛に機関銃を持たせるかどうかの会議をやっていました。結果はどうなったか知りませんが、世界中の私の会社の現地法人で、守衛に機関銃を持たせるかどうかが総務課の議題になるのはここだけじゃないかなー。
オハイオ州コロンバスというところは、日本では一般的にほとんどの人が知らない所だと思います。五大湖の南200kmにある典型的な中西部の中都市です。私の住まいはコロンバスの郊外の住宅地ですが、車で15〜30分も走れば広大なとうもろこし畑が広がる、のんびりした風景が続きます。

オハイオには私の会社を始め日系企業が数多く進出しており、コロンバスだけでもこれら企業の駐在員、そしてその家族を入れると1000人以上の日本人がいると思います。オハイオ州立大学には大分前の話ですが100人以上の日本人留学生がいるとも聞きました。
こちらの高校は数百台分の駐車場があります
そのコロンバスで何と、吉本興業の桂三枝師匠の創作落語独演会が行われたのです。
桂三枝師匠はテレビでお馴染みで、名前のとおり落語家であるのはわかっているのですが、私にとってはいろいろなバラエティー番組の司会者というイメージが強い芸人でした。

このオハイオのしかもコロンバスに桂三枝師匠が来る、ウーン、こりゃ見にいかないと行けないなー、、、と思いつつ、つい忘れておりました。

2週間ほど前カミさんから、「桂三枝の落語独演会のチケットの抽選が当たった!」、というのを聞き、あっそうかー、という事で思い出しました。

チケットの抽選はJALのある会員に対して案内が出されたもので、これに応募して当選をしたのです。クジ運の悪い我が家としては上出来であります。

開演は今日の夜の7時30分、場所は会社の近くのメアリーズビルという町の高校の講堂で行われました。
私は会社から家に帰ってもう一度この高校に来ると1時間弱がかかってしまうので、カミさんに会社まで来てもらい、カミさんを車に乗せて、会社から直接会場の高校に向かいました。

私の周りの駐在員でこの独演会に行ったのは、KさんとYさんの2名。Kさんは神戸出身なので、吉本新喜劇等は私より造詣が深く、Kさんは関東出身ではありますが、興味はある、という事でした。
会場のメアリーズビル高校の講堂は、1000人くらいは入れる広さで、エアコンもちゃんと効いてきます。
私はオハイオの高校に入ったのはこれで3校目ですが、いずれの高校にもこのような講堂があり、日本で言えば一流の劇場並みの講堂がある高校もあります。

7時30分の開演なので7時少し前に高校に到着、既に結構な人数が集まっており、開演の頃には400人くらいになっていたと思います。
7時30分に今回の主催者であるCOJAC(セントラルオハイオ日系企業懇話会)の挨拶があり、予定どおりのスタートです。
すっきりとした講堂です
出演者は桂三枝師匠以外に、桂三枝の弟子が2名です。
2時間にわたり、弟子が一コマずつ、桂三枝が3コマの合計5コマでした。

三枝師匠の落語はさすがというか、こんなに面白いとは思いませんでした。間違いなく、1年分は確実に笑わさせて頂きました。

「もう7時半を過ぎて8時近く、何でこんなに空が明るいんですか〜、、。」、
「今までいろんなところでやりましたけど、高校でやったのは初めてですわ〜。」、
「ここに来たらシカゴと違ごうて、首が痛とーないさかい、よろしいわ〜。」
(高層ビルを見上げていたが、ここは何もない、という意味)から始まって、客との距離感を縮めながら話を進めます。
このあたりもさすがです。

三枝師匠は毎年シカゴ(イリノイ州)には来ているそうで、今回は初めてオハイオまで足を延ばし、明日はシンシナティーに行くと言っていました。独演会は予定より少し遅れて9時40分頃に終了しました。

三枝師匠によると、古典落語の原点の、「分かりやすい」、「おもしろい」「結構奥が深い」、の「分かりやすい」「おもしろい」、をモットーに作ったのが創作落語で、落語が持つ、じっくりと聞く娯楽を大事にしたい、という思いがあるというような意味の事がパンフレットには書かれてありました。
それとちょっと気になったのは、三枝師匠の足です。何か調子が悪そうな感じでした。

オハイオに来た桂三枝師匠一行。ウーン、何かに例えられそうな出来事だなー。
わかった!オハイオという、日本から何千里も離れた外地で頑張る日本人への、慰問団みたいなもんかな?じゃ、おれ達は満蒙開拓団か?、違うよなー、、、。
いずれにせよ、大いに楽しめた2時間でした。
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