06−03−16 アメリカの牛肉
現在日本はアメリカからの牛肉の輸入を禁止しています。アメリカからの牛肉には狂牛病の疑いのある牛の肉が含まれている可能性がある、というのがその理由です。

牛の特定部位を除去した肉であれば安全であるらしいのですが、これが含まれていない事をアメリカに検査してもらい、輸入再開まで漕ぎ付けたものの、実はその検査が全然されていなかった事が判明して、再度輸入禁止になったという事でニュースになっています。

農務省のエライさんが、「日本向けの牛肉は完璧な検査をしてから輸出しま〜す。」、と啖呵を切ったのはいいものの、末端の職員にはナ〜ンも伝わっていなくて、「ウッソーおいら、そんな事知らなかった〜!」、と言う状況だったので日本国政府、及び日本国民は怒り心頭に達しているという訳です。

私はこのニュースを聞いた時、これは何か胡散臭いゾ、と思ってしまいました。。

私はアメリカ政府は最初から検査なんかする気は全くなかったのではないかと思っています。
そもそもそんな特定部位と称する部分が肉の中に含まれていようがいまいが、アメリカ人は日本に輸出する何十倍もの肉を毎日食べているのだから、日本の言う事なんか端から相手にしていないのではないかと思います。

と言うより、もし政府が本当に真剣に検査をやれば、いくら脳天気なアメリカ人だって、「おいおい、そんなに真面目に検査するって事はやっぱり食べるとまずいんじゃない?」、という事になるからです。

実は政府と業者はこれが一番怖い。
それよりもそんな検査全然やっていなかったと言う事実をアメリカ国民に見せる事によって
「検査なんて必要ないに決まってるジャン。だからまあ、適当に返事してただけなのさ。だってアメリカの肉は何の問題もないのだから。日本はちょっとおかしいんだよな〜。」、というメッセージを国民に送った
という事ではないかと思っております。

日本のいろんな人は、アメリカはやる事がズサンであるが、ここまでヒドイとはちょっと意外だった、というコメントを出していますが、それは違うと思っています。
アメリカは確かに大雑把で、いい加減です。が、一旦決めた事、やれ!という命令に対しては徹底的にやります。
とにかくこの徹底さと頑固さは日本の比ではありません。

例えば911の後の空港の検査体制を見れば一目瞭然です。赤ん坊が泣こうが、オッサンがわめこうが、会社の社長だろうが、制服を着たパイロットだろうが、ビキニのおねちゃんだろうが(これは今まで見た事がない)、あのゲートの検査に例外は全くありません。
そして検査方法にも例外は全くありません。

何かの拍子に80歳くらいのおばあちゃんが金属探知機に引っかかったら、そのおばあちゃんのノースリーブのシワシワの腕の上を金属探知機でしつこくチェックしていましたっけ。
まるでおばあちゃんの腕の肉の中に爆弾が仕掛けてあるのじゃないかと疑っているような感じでした。(これを見た時は正直、笑っちゃいましたケド。)
それはともかく、いくらアメリカだってやるときはやるのです。。

それが牛肉に関してはズサンもズサン、農務省の高官が、「日本の言うように徹底的な検査をする!」、と宣言したのに全くやられていなかったのは、最初からやる気がなかったからです。
牛肉は全く問題のない、安全な食べ物である、という事を自国民に知らせるため、逆に言うと自国民から、「本当に大丈夫なんやろか?」、という疑問の声が上がるのを恐れた結果だと私は思っています。

ところでこの牛肉輸入と狂牛病問題で先に輸入禁止をしたのはアメリカなのです。
アメリカが牛肉の輸入をするかって?
こんな全国津々浦々、牛だらけの国が。それが牛肉を輸入しようとしたのです。
しかも日本から。エッー!!って感じですが、輸入しようとした牛肉はすき焼用の霜降り肉でした。

輸入を申請したのはアメリカの日本レストランだったそうです。あの白い脂身と赤身が交じり合った霜降り、すき焼きはあれでなくてはいけません。
アメリカ政府に輸入申請をしたところ、アメリカ政府は困りました。牛肉大国であるアメリカが何で日本如きから買わなくてはならないんだ、と。
業者が真っ向から反対したのは言うまでもありません。

丁度その時、運悪くというか、運良くというか、北海道の牧場で狂牛病の牛が見つかったのです。
アメリカ政府と、アメリカの牛肉業者は狂喜しました。
「日本の牛肉なんか食ってみろ、狂牛病で脳味噌スカスカになるんやで〜!」

これで霜降り肉の輸入は一巻の終わりになってしまいました。。

さて、今は攻守変わって日本が禁止!
まあ、これは食品安全問題であると同時に半分くらいは政治問題ですね。ちょっと気になるのはアメリカの農務長官(確か)の発言です。
「日本の百何十万台かの輸入車の中に1台でもブレーキの効かない車が見つかったら、これらの日本からの全ての車の輸入は禁止すべきだ!!」
と吠えている事です。

ナルホド、ちょっとくらいのミスはお互いに、「ま、いいジャン。」、にしようよ、って事ですかね。でもアメリカの牛肉の方はミスではないんです、わざと検査しなかった、と私は思っています。
恐らくアメリカはそのうち、検査そのものを意味のない事だとか、何のかんの言って公式にやらなくなるのではないかと思っていますが、、、、、、。

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