05−05−10 日本のサラリーマン
3月ー7月は転勤、昇格等の人事が発令される時期です。いろいろな方から転勤の挨拶のメールを受け取るのですが、そのような中、本社のKさんさんから転勤の挨拶のメールが入っておりました。

Kさんは20年くらい前に何度か会ったような記憶があるのですが、はっきりと仕事でお付き合いのあったのは6年ほど前にタイに行った時が最初でした。当時Kさんはタイの駐在社員で、結局タイには5年以上見えたのではないかと思います。

タイの前はインドネシアに5年、今度の転勤はマレーシアとありました。Kさんは私と同年代で英語、インドネシア語、タイ語を操ります。多分私とは頭の構造が違う方です。風貌も口髭を蓄え、日本人離れしております。
Kさん、頑張って下さい。

ところで日本人の一人前のサラリーマンの条件は何でしょうか。いろいろな考え方と見方がありますが私の勝手な偏見から言わせてもらうとすれば、次の5つの条件を満たしている事だと思っています。いわゆる「サラリーマン五苦行」とでも言いましょうか、、、。

1.満員電車通勤の経験があること
真夏の満員電車、飲み会の帰りの終電(酔っ払い運搬列車)、うっかり居眠りして終点まで行ったりすると、もう大変です。電車通勤を続けると、歩き方が段々ズリ足になってきます。これは電車の中で他人の足を踏まないように気を付けるのでこうなってしまうのです。

2.転勤の経験があること
お父さんにとって転勤は仕方ありません。問題は子どもです。小学校の高学年以上の子どもがいる家族の場合、やはりいろいろと大変です。高校生の場合は実質的に転校が不可能です。
私自身も子どもの頃、それまで単身赴任をしていた父が何故か家族を連れて転勤、友達と別れるのが本当に辛かったのを覚えています。

3.単身赴任の経験があること
冬の夜、真っ暗なアパートに帰ってきて電気を点ける。何か料理を作る気力もなく、冷蔵庫から取り出した缶詰こじ開けて、これを肴にコップ酒。そのうち酔いと疲れでバタンキュー。
土日は掃除、洗濯、お買い物。でも日本の単身赴任の連中、何かみんな楽しそう。どうしてかなー、、、、。

4.左遷、又はそれに近い経験があること
長いサラリーマン生活、ずっと順調に出世をしていく人はほんの限られた人だけです。左遷というのは、いいポジション、あるいはラインに乗っかっていたのに、そこから外れる事を言います。
高々度を飛んでいた飛行機が、急に高度を失うのに何となく似ています。では普段から高度が高くない飛行機(私はこれに近いかも)が高度を落とせば、、、、地面と激突、つまり墜落です。

5.仕事でとんでもない大失敗の経験があること
失敗のないサラリーマンなんていません。上司、同僚、後輩に助けられその失敗を乗り越えていくのです。大失敗の時に周りの人のありがたさが身にしみて分かるのです。
また、自分一人で何でもやっていると思っているサラリーマンが時々います。ですから仕事は自分一人でやっていると思っている。このような人は何も分かっていない、はっきり言ってアホです。


これら、「サラリーマン五苦行」をみっちりと経験するには、サラリーマン経験20年以上、やはり45才以上でないとダメなようです。

かつて、私のある上司が、「N君、サラリーマン近代五種をを知っているかね?」、と言いました。これを聞いたのは私が30代前半の頃でしたので、今から20年前です。サラリーマン近代五種とは次の5つです。

(1.ゴルフ) (2.カラオケ) (3.マージャン) (4.英語) (5.パソコン)

1.から3.のゴルフ、カラオケ(酒)、マージャンというのは、サラリーマンは上とも下とも人付き合いをこまめにやれという事でした。
英語というのは、この上司は、「これからは昔と違って殆どの人が海外に行って仕事をするようになる。」。というのが口癖で、事実私の会社も直ぐにそのようになりました。

パソコンは当時はまだWINDOWSなんて便利なソフトはなく、MS−DOSでも初期のバージョンで、個人ではNECのPC88とかPC98、会社ではIBM5550とかいう世界でした。BASICでプログラムが組めないとPCが使えないと言われていた時期でもありました。
「PCをどのように自分の仕事に生かすか、このセンスこそがこれからのビジネスマンの勝負どころ。」、とその人が言っていたのを覚えています。

この5つ、ちょっと古臭い感じがしないでもありませんが、今でも立派に通用すると思います。というより、今ではできて当たり前(除くとしたら3.かな?)という条件になっている事に驚かされます。

「サラリーマン五苦行」と「サラリーマン近代五種」、それぞれ会社のオハイオ人には話した事はありませんが、話したところで理解を得るのは殆ど不可能だと思います。

単身赴任については話した事がありますし、オハイオに単身で来ている駐在社員も結構いますので、オハイオ人も知っています。でも彼らにはエイリアンの世界の出来事のようです。
オハイオ人は出張ベースでも3週間以上のスケジュールを組むと多くの人が拒否をします。

オハイオからLAに2週間の連続出張の場合でも、土日にはオハイオに帰るように会社として考慮を必要とします。1ヶ月間の海外出張なんて、余程の事がない限りあり得ない世界です。会社の転勤で夫婦が何年も離れて生活をしなければならない、という事になったら彼らは躊躇なく会社を辞めるでしょう。

今度マレーシア転勤のKさん、本社の3年、その前のタイ5年の少なくともこの8年は単身赴任でした。マレーシアも恐らく5年間くらいはいる事になると思いますが、今度はどうなるのかなー、、、、、聞くのを忘れました。

いずれにせよ、オハイオ人には全く理解できない人種です。日本のサラリーマンは。

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