05−03−02 交通事故

オハイオには電車はありません。もちろん地下鉄もありません。バスもないと考えていいです。タクシーはありますが、流しのタクシーはゼロ。タクシーは捕まえるものではなく、呼んで来てもらうものなのです。つまり交通手段としては車と飛行機だけです。

飛行機は車で6−7時間以上(距離にして600−800km)の場合使い、それ以下ではまず使う事はありません。そして歩いて行ける所はどこもありません。洗濯屋に行くのも、ちょっと食事に行くのも、それこそ石鹸1個買いに行くのも、歩いて行ける距離に普通はありません。みんな車です。
第一、道路には歩道がありません。大都会の町中は別です。)人が歩くという事を前提に道路が作られておりません。

小学生から高校生までの生徒はスクールバスで学校に行きます。又は親が車で送り迎えします。歩いて学校に行かせると、警察がすっ飛んでくるそうです。誘拐とかの可能性があるからです。
高校生も高学年になると自分で車を運転して通学します。だから高校には生徒用の広大な駐車場があります。

車は靴と同じで生活のための必需品なのです。でも全てのアメリカ国民が車を買えるわけではないだろう、車を買えない人はどうするの?そう、車を買えない人は一杯います。車を買えない人はダウンタウンの密集地に住むしかないのです。

どこの町にも車なしで生活ができる、密集地があります。ここは500ドル(6万円)の中古車さえ買うことのできない人が住んでいる場所と思って差し支えありません。そして一般的には治安は良くありません。
アメリカの大都市の一部では治安の問題もなく、車のいらない生活ができる場所もあります。でもこれは例外中の例外と思って差し支えないと思います。

車が交通手段の国ですから、道路はよく整備されています。みんなが車に乗りますから、交通事故もよく見掛けます。スピードを出していますから一旦事故を起こすと、ものすごい事になります。そして大体が信じられないような大渋滞が発生します。
私は1年間に4万キロくらい走りますから、既にアメリカに来て35万キロくらい走った計算になります。大事故の経験はまだありません。(もちろん、絶対にしたくありません!!)

強いて言えば、あるデパートの前の交差点で信号待ちをしているとき、高校生の女の子にドン、と後ろからぶつけられた事くらいです。いくらアメリカ人でも、まだ高校生、しかも女の子、「すみません」、と謝ってくれました。
随分ボロイ車に乗っていましたっけ。(私の車は新車でした。)

保険屋に修理費用を請求するために警官の事故証明が必要なので、携帯電話から911で警察を呼んだら、相手のいう事がよくわかんない。
で、適当に返事してその高校生とパトカーが来るのを待っていたら、でっかい救急車が2台とパトカーがすっ飛んできました。これにはもうビックリ。

お巡りさんは、
「事故は、どこだー!」、って叫んで聞いてきたので、その女の子、「この2台です。」、って返事をしたらその警官呆れていましたっけ。

多分私が電話で警察にパトカーを呼んだとき、2人が大怪我でもしていると伝わってしまったのでしょう。だって早口で、しかもすごいわかりにくい英語だもん。フンフンって適当に言ったのが多分まずかったのだと思います。

それ以外には、会社の中で冬にスリップして看板をなぎ倒したのと、クリスマス休暇に入る最後の日、これも会社で、同じ日本人駐在社員のWさんの車に駐車場でドスン、とドアにぶつけたくらいです。

カミさんはオハイオに来て1月目くらいに、交差点で中型のピックアップトラックにドスンとぶつけ、その数ヶ月後に、ある建物の駐車場から道路に左折で出ようとしたときに、直進してきた車にフロントフェンダーの付近に猛スピードで突っ込まれるという大事故をやっています。

フェンダーではなく、ドアーだったらカミさん、どうなっていたかわかりません。
その車が右折のウインカーを出していたので駐車場に入るだろうと思ったので、首を出したところ直進をしてきたというのです。

直ぐに警察が来て事情聴取、幸いな事に英語に堪能な日本人が近くにいる場所だったので、警官に説明をしようと試みたのですが、警官は日本人側の話は殆ど聞かなかったそうです。
最後に、「お前が悪い!」、と言って切符を切って帰って行ったそうです。ここはオハイオですから、警察はオハイオ人を守るためにあります。この警官、極めて模範的、優秀な警官です。

オハイオではウインカーは絶対に信用してはいけません。その前に先ずウインカーを出す車は稀です。右折、左折、割り込み、殆どウインカーを出さずにやります。タマにウインカーを出しているのを見かけますが、右にウインカーを出して左折する車なんか珍しい事ではありませんので、全くアテになりません。
カミさんのケースのように、ウインカーを出したままずっと直進している車もよく見かけます。

オハイオに来て9年、かく言う私も最近段々とウインカーを出さなくなってきました。だって前の車は100m先に1台、後ろには300mくらいのところに1台。これでも車線変更にウインカー出さなきゃダメ?
この習慣が市街地走行にも現れてしまうのです。段々オハイオ人に似てきたみたい。

今朝は8時30分からドクターRのところへ。
治療を受けているとドクターR、「Tさんを知っていますか?」、と突然聞いてきました。

「Tさん?Tという苗字は非常に一般的な苗字で、何人も知っていますが。ファーストネームわかりますか。」
「Yさんといいます、実はこの人、私の患者だったのですが、昨日交通事故で亡くなりまして。」

このTさんは私もよく知っている人で、同じ会社。セクションは全く違いますが一緒に仕事をした事もあります。
YさんはTさんの奥さんで、昨日小学生の子どもを学校に送っていった帰りに、トラックと衝突事故を起こして亡くなられてしまったのです。

私は昨日は事務所にもあまりいなかったし、昨日から今日にかけて地元のテレビも新聞も見ていなかったので知るのが遅れてしまったのです。
会社に行ってWさんにこの事を話すと、新聞のコピーを見せてくれました。アメリカのトレーラーは巨大で、これに左折をしようと大通りに出たところを、運悪く運転席に追突されたのですから、たまりません。私のカミと全く同じパターンです。

運転手の話とか、目撃者の話とかが新聞には書いてありましたが、いずれも不可抗力であり、トラック側に非は認められないようなトーンの記事になっております。
見出しそのものも、「トラックドライバー、学校から出てきた車を避ける事ができず!!」、とまるでTさんの奥さんが飛び出してきて、どうしようもなかったという感じです。またこれだ!

現場検証とか目撃者の証言に基づき、警察がどういう判断をするのかわかりませんが、こちらは日本人、TYさんは亡くなっており状況の説明はできません。何かイヤな予感がします。

2人の小学生の子どもを残して亡くなってしまったTYさん、何と言っていいのか言葉もありません。心からご冥福をお祈り致します。

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