04−03−06 アメリカの高校
今日は近所の高校で、JAPAN FESTIVALがある日です。オハイオに来て、丸8年、今まで行こうと思っていたのですが、ナゼか行く機会を逃してしまい、今回が初めてでした。
場所はダブリン高校、私の家からほんの少しのところにある高校です。

この高校は普段もよく前を通るのですが、学校には入った事がありません。
イエ、8年間でアメリカの学校に入ったのは1回だけ、下の娘が転入をするために、その話でカウンセラーとか、ESLの先生に会った時だけです。
その時は、入り口の近くの事務室に通されたので、学校の中を見るまでには至りませんでした。

そんな訳で、今日はJAPANFESTIVAL見学のついでに見た、アメリカの高校の印象を紹介します。
残念ながら、普段の日ではありませんので、教室・廊下には誰もおりませんでしたので、校舎の紹介と言ったところでしょうか。
(JAPAN FESTIVALは「オハイオ生活」のページに写真を入れておきました。)
アメリカの学校はその市の財政状態によって先生の給料も違うし、また設備もうんと違うそうです。ダブリン高校はどのレベルにあるのか、よくはわかりませんが平均よりは上だと思います。

これは通学している生徒の車(上級生になると高校生でも車で通学します。)を見れば一目瞭然で、結構イイ車に乗っています。

それなりの家庭の生徒が多いと言うことで、ある程度の生活レベルの家庭の生徒である、その市の税収が高い、つまり先生にそれなりの給料を払える、学校の設備も整える事ができる、という理屈です。

ダブリン高校の生徒用の駐車場は広く、何百台も駐車できそうです。
アメリカの学校は道路側の外から見ると窓が殆どなく、日本の学校のように、ガラス張りで教室がずらっと並んでいるという感じとは全く異なります。

ところが裏側に回ると、やはり大きな窓というか、ここの高校は全面ガラス張りの通路とかがあり、日本の学校の運動場の何倍もの広さのグランドが見えるようになっていました。

つまり窓から見える景色は、家とか道路とかは見えなくて、グランドと遠くに林が見えるだけです。
やはり土地が広いのでこのようなレイアウトができるのでしょう。
日本のように、窓から店の看板が見えたり、走っている車が見えたりしないようです。

広大なグランドは全部芝生が敷き詰められており、夏に見れば素晴らしい眺めに違いありません。

校舎の中は清潔で、よく清掃が行き届いており、廊下はカーペットで敷き詰められております。廊下を走っても殆ど音が出ません。

廊下の幅も広く、廊下には生徒のロッカーがずらりと並んでいます。そしてロッカーにはアメリカらしく、大きな鍵が掛かっております。

日本の高校(公立高校)を訪れた最後が8年前ですが、その時の様子とあまりにも違うので、びっくりしてしまいました。
肝心の教室ですが、この日は土曜日。
学校は休みなので、生徒もおらず、教室は全部鍵が掛かっております。

小さな窓から中を見ると、何となく雰囲気が判りました。誰もいないので写真も数枚撮らせてもらいました。

教室には先生の名前が書いてあります。つまり、教室は先生の部屋ということなのでしょうか。
生徒はその先生の部屋(教室)に行って、授業を受けるという形式なのです。

よく映画で見る風景で、休み時間になるとワーッと生徒が廊下に出てきて、そして次の授業を受けるためにそれぞれの部屋(教室)に吸い込まれていく、という感じなのでしょう。

どの教室にもオーバーヘッドプロジェクターがあり、大きなテレビ、それに先生の机というか、先生が陣取るコーナーには先生用のPCと書棚等があって、これもゆったりと配置されておりました。

物理とか、化学教室は日本の高校と同じようなイメージで、これらの教室だけは床がリノリュームになっているせいでしょう。
普通の教室は中も床は基本的にカーペットになっています。

ついでにトイレも見ておきました。

当然ですが、おしっこの匂いが全くしない、非常に清潔なトイレです。
アメリカの学校は、基本的に生徒が教室、廊下とかトイレの掃除はやりません。

掃除は全部、掃除人を雇うのでこれらの人がやってくれるのです。
日本では、「掃除」も教育の一部という事で、これを生徒にやらせている訳ですが、このへんも考え方の違いですね。

面白いのはこの写真の反対側の壁に大きな鏡(姿見)がある点です。トイレは服装とかも直す場所なのです。

手洗いは手を近づけると自動的に水が出る、日本もよく見かけるものです。
大きい方の用を足すトイレの仕切が床までないのは、アメリカ共通の形式です。
ちょっと驚いたのは、立派な劇場がある事でした。
これは劇を見るためだけに使うのではなく、いろいろな集会にも用いるそうです。

この日はJAPAN FESTIVALという事で、ここを本来(?)の目的で使っておりましたが。

椅子とかは本格的な劇場、映画館で用いているものと同じで、雛壇になっております。
全部で2−300人は入れる感じでした。

これ以外に、日本の(公立)高校にはまずないものとして、食堂(カフェテリア)があります。食事は食堂で、という考え方のせいです。

広さは全校生徒(ここは1200人くらい)が入れる程の広さはなく、これには理由があります。

つまり高校では昼食時間は決まっていないのです。10時に食べてもよし、1時に食べてもよしで、自分で決めるのです。

つまり高校になると大学と同じように、授業のカリュキュラムは自分で全て決めるので、その中で自分の昼食時間も決めるので、バラバラになってしまうのです。中には昼食を食べない生徒もいるそうです。

また、高学年になると車通学なので、マクドナルドとか昼食を外に食べに行く生徒も多いようです。

教室で授業中に弁当を食べる、あのスリル。
それに2時間と3時間目の間に弁当を食べてしまう、「早弁」、の楽しさ。アメリカの高校生にはわからない事です。

要するに、自分で決めた授業を受けて、試験にパスすればそれで良いわけで、行動の自由はそれ束縛されていないという事です。

アメリカで中学と高校の一番大きな違いは何か?というと高校になると大人の世界になるという点だと思います。
それとある駐在員が興味深い事を言っていました。
「アメリカの高校は勉強をするところではない、身体を鍛えるところだ。」

一般的な高校生は、日本のように塾に通い、受験を目指して猛勉強という訳ではなさそうです。
もちろんそのような生徒もいますが、それは少数派で、クラブ活動で優秀な成績を収めた生徒とかが、高い評価を受けると言っておりました。
今日はアメリカの高校の中を実際に見ることができ、いろいろと考えさせられました。日本、アメリカどちらがいいという事は言えません。
例えば、アメリカの高校の先生の給料は非常に安く、夏休み等は給料はもらえません。という事は、ズバリ優秀な大学生は先生にはならないのです。

いろいろな制度が違うので一概には言えませんが、ただ環境を比較するとナゼこんなに違うのか、どうしても納得がいきませんでした。
目の球が飛び出るような授業料を払う私立高校ならまだしも(コロンバスにもあります)、公立高校でこのレベルの学校があるという点です。

今回はオハイオ州のダブリン高校での印象という事なので、他の市、州のもっと多くの学校を見れば、印象も変わってくると思いますが。

来月は中学校を見る機会がありそうなので、また感想を書きます。
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